12

……翌朝。葵の姿はもうない。
「おはようございますカイト君。今朝は君にいいニュースがあります」
 上機嫌で語りかけてくるムラタ。
 カイトはそっぽを向いたままだ。
「今日、君の破瓜の儀式をすることに決まりましたよ」
 相変わらず、カイトは無反応。
「ああ、ごめんなさい。無学な君に破瓜なんていっても分かりませんね。要するに、処女喪失してもらうんですよ」
 無視を決め込んでいたカイトの顔がこわばる。
「おや、そんなに嬉しいですか?」
「て、てめえっ!」
 処女喪失とムラタが言う意味はカイトにも分かった。
 バイブやローターなどではなく、男とのセックスをさせると言われているのだ。
「フフフ。きっと思い出に残るような素敵なロストバージンを演出してあげますよ」
「ふざけんな! てめぇの粗チンなんか近づけてきたら噛み千切ってやる」
「強がりも可愛いですけどね。でも、君が嬉々としてペニスを受け入れて腰を振ってる様が僕には見えますよ」
「誰が、そんなこと!」
「君の初めてのお相手は僕じゃありませんよ。君も知ってる人ですけどね。その人がどうしても君のバージンが欲しいって言っててね」
「まさか……」
 用具室でカイトにふともも間にペニスを擦りつけてきた沼作の脂ぎった顔がまざまざと脳裡に甦った。
「君がどんなに抗ったところで、今日、君は男に抱かれて本物の『女』になるんですよ。フフフ、ハハハハ……」
 そこへカイトの「世話係」ともいえるカジとハネダがやってきて、カイトの鎖を手綱に付け替えた。
 朝晩一度ずつカイトに許されたトイレの時間だった。
「さっさと歩けよ」
 手綱を引っ張られると、胸のピアスにまで力が届いて乳首が痺れるように痛んだ。
 自分でも驚くほど従順に手綱にしたがうほかなかった。
 カジたちはわざと男子トイレのほうに入った。
「どっちでも好きなほうを選びな」
 そう言われてカイトは立ちすくんだ。
 小用の便器と、個室の和式便器のどちらかを選べと言われてるのだ。
 トイレに入ってから、急速に尿意は高まってる。
 かといって、男性用の朝顔を使おうとすれば、昨日のような醜態を晒すだけだ。
 選択の余地もなく、カイトは個室へと入った。
 カジたちがニヤニヤと見守っている。
 ブルマとパンティを降ろすと、つるんとした股間が露わになった。他にどうしようもなく、カイトはその場でしゃがみこんだ。
「おやおやぁ、座っておしっこするなんて、まるで女の子みたいだねぇカイトちゃん?」
「うるせぇ!」
 立ち上がって叫んだとき、ちょろちょろと尿が流れ出した。
「!」
 女の体は、男に比べて排尿のタイミングが操作できない。
 あわててカイトは腰を屈めた。
 排尿の間は、立ち上がることすらできない……。
 カイトは悔しさに顔を真っ赤にして尿が出尽くすのを待った。
 そんなカイトを嘲笑うようにペニスを突き出したハネダが横合いからカイトの便器に小便をしてきた。
 ジョボジョボと威勢のいい音が響く。
「は〜〜、立ちションすんのは男の特権だねぇ」
 カイトは飛沫がかからないように身をよけると、ペーパーで己の股間をぬぐった。
 カジたちがその様子を揶揄する。一般に男は小用でペーパーを使うことは少ない。
 だが、女の体で用を足してみると、尿道口の周辺が濡れていて拭かずにはいられなかった。
 カイトは黙って侮辱に耐えながらペーパーを股間に押し当てた。
 これから、毎日こんなふうに屈辱に耐えなければならないと思うと、気の遠くなる思いだった。
 教室に戻ると、カジたちは授業の用意があるといってそそくさと本校舎のほうへ引き返していった。
(そういや、今日の一限って体育だっけ……)
 頭の片隅でカイトは思った。
 つい一昨日まで普通に授業に出ていたのに、それが何年も昔のことのように感じられる。
 カイトは鎖の届く範囲でうろうろと行ったり来たりした。
 一人にななると、ムラタの言ってたロストバージンの儀式とやらが気になって仕方なかった。
 いまにも沼作がやってきて、あのすえた臭いのする性器を突き立ててきそうだった。
 カイトはブルマの上から性器のあたりに触れてみた。
 指で押すと、やわらかく盛り上がった肉を押し分けるようにして指が沈む。
 ブルマとパンティを引き裂かれ、その部分に硬いペニスを押し当てられたら……。
 カイトは腹を押さえた。
 体の内側にモノが突き刺さる感触を生々しく想像できてしまった。
 それは、自分の体が受け入れ側のものであることを無意識に自覚してしまったことでもあった。
 そして、沼作の野太いペニスが自分の中に入ってくるところを想像すると、それだけで全身に冷や汗が浮かんだ。
 気色悪い。怖い。壊されそう……
 女しか感じない種類の感情だ。
 不安に苛まれカイトは行ったり来たりを繰り返す。
 何度も鎖の範囲を超えそうになって胸のチェーンが引っ張られ、足を止めたりもした。
「ああもうっ、この鎖が!」
 服の中に手を突っ込んでチェーンが外れないか試す。もちろん外れる筈もない。頑丈な素材のリングピアスでしっかりと胸に固定されている。
 そこを指でさぐったりすると冷たく固いピアスが胸にめり込む。
 激しく動くと耳にぶら下がる飾り玉も揺れて、耳元で音を立てる。
 あがけばあがくほど、女であることを意識させられるようになっている。
 ため息を付いて椅子に腰掛けた。
 逃げられないのなら、せめて沼作に反撃してやろうとカイトは考えた。
 沼作のことを考えると股間が無防備に感じられて、無意識にきつく膝をとじ合わせてしまう。それがひどく女らしい仕草であることにカイトは気付いてなかった。
(あの用務員野郎がきたら、最初は大人しく従うふりをして……)
 猿ぐつわでもされて押さえ込まれたら、何一つ抵抗できなくなってしまう。
 沼作とのあいだの体格差や腕力の差が信じられないほどあることは、以前の経験ではっきりと分かっている。
(あいつが油断してちん●をしゃぶらせようとしてきたら、噛みちぎるの一手だな。そうじゃなくても、キンタマを蹴り潰してやったら白目剥くだろ)
 沼作が鎖を外す鍵を持ち歩いてればよし。そうでなくとも、むざむざ沼作に犯されてやるつもりはなかった。
(犯される、か……)
 そんな心配をしてる自分がおかしくてカイトは思わず、くくく、と自嘲気味に笑っていた。
「ん?」
 不意に廊下のほうに気配を感じて首をめぐらせた。
 ことり……
 小さな足音を立てて入ってきたのは、沼作ではなく、浩司だった。
「カイト……」
 浩司は呼び捨てでカイトの名を口にした。以前は同級生でありながら「カイトさん」と呼ばせていた浩司が。
「なにしに来たんだよ。授業中じゃねぇのかよ」
「フケてきたんだ」
 浩司は落ち着かない様子で廊下のほうを窺った。誰もいないかどうか気になってる様子だった。
「聞いてるか、カイト」
「何を」
「今日、おまえ男とセックスさせられるって」
「ああ、聞かされたよ。わざわざそれを言いに来たのか?」
「カイトはそれでいいのかよ?」
「あん?」
「わけの分かんない奴にちん●ブチ込まれて平気かって聞いてるんだよ」
「てめぇなんかに心配されたくねーな」
 プイとそっぽを向いてカイトは言った。
 すると浩司はわざわざ回り込んできた。
「俺さぁ……カイトが他の男のチン●突っ込まれるなんて嫌なんだよ」
「はぁ??」
 浩司の告白にカイトは目を丸くするばかりだった。
 浩司は妙にもじもじしながら言葉を口にした。
「その……俺……女のカイトに、なんていうか、惚れちゃったみたいで……」
「オイオイ!」
「中身があのカイトだって分かってても、どうしても気持ちが抑えられねーんだ」
 そんな告白を聞かされて、カイトは絶句してしまった。
 まさか、パシリの浩司に「惚れた」などと打ち明けられるとは思ってもみなかった。
「ムラタ先生がおまえのバージン、沼作の奴にあげるって話してたの聞いて……こんなのバレたら半殺しにされそうだけど、俺、ムラタ先生に無断で来ちまった」
 浩司はまっすぐカイトの目を覗き込む。
 妙にどぎまぎするような気持ちになってカイトは身じろぎした。
「頼む。カイトのバージン、沼作なんかじゃなくて俺にくれっ! この通りだよ」
 浩司は深々と頭を下げた。
「なっ……ちょっ……」
「俺、童貞なんだ……」
「知るか、そんなこと!」
「きのうからカイトのことが頭から離れなくて……。なあ、沼作なんかにヤらせるぐらいなら、俺の童貞きってくれよ。俺さ、マジであんたのこと好きになっちまったんだ」
 浩司がそばによると、発情した若い牡の臭いがふっと鼻腔をくすぐった。男だったときは気付いたこともない体臭のシグナル。
 その臭いを吸い込んだ途端、カイトは腹の奥に異変を感じた。子宮がきゅっと収縮する感覚だった。
 自分の体の勝手な反応にカイトは慌てた。そんな気持ちを知ってか知らずか、浩司はさらに畳みかけてくる。
「カイト。俺を受け入れてくれたら……カイトのこと俺が守ってやるよ」
「畜生、なに生意気な……」
 言いかけてカイトは口をつぐんだ。
「俺を守るって、どうやってさ?」
 浩司の真剣な眼差しを見ているうちに、はたと自分の立場を悟ったのだ。
 女の武器が使えるという、いまの立場に。
「俺、その鎖を外す鍵の在りか、知ってるんだ」
 カイトの全身が耳になった。
「俺、ムラタの奴からあんたを助けてやってもいいと思ってんだ」
「浩司……」
 カイトの中で、脱出への希望が一気にふくらんだ。
 葵と違って浩司は鍵の隠し場所を知ってる。
 もし浩司をその気にさせることができれば、鎖を外させることもできるだろう。
 問題は旧校舎を見張ってるらしい沼作の存在だが、もし浩司が協力してくれるなら、充分に突破は可能だ。
「……やっぱ、俺じゃダメ?」
 カイトの返事がないことに落胆して浩司は肩を落とした。
「そうだよな、童貞なんて格好悪いもんな。沼作の奴はああ見えても、セックステク凄いらしいし……俺なんて……」
 後半はブツブツといじけた呟きになっていた。
 そのまま浩司がとぼとぼと引き返してしまいそうな気配にカイトは焦った。
「待てよ、浩司!」
「なに?」
「ダメだなんて、言ってないだろ」
 カイトは唇を湿らせ、次のセリフを考えた。
 とにかく、浩司を繋ぎ止めておく必要がある。そのためには、忌々しいがムラタに与えられた女の肉体を武器として使うのもやむを得なかった。
「おまえ、童貞だったんだな、ハハ……」
「もういい、俺かえ……」
「ぬ、抜いてやってもいいぜ!」
 浩司は振り返ってまじまじとカイトを見つめた。
 カイトはペニスをしごくようなジェスチャーをしてみせた。
「特別に、一発抜いてやるよ」
「…………」
 浩司は恨めしそうな眼差しを向ける。
「そんな口調で言われたら、まるで男のカイトさんに馬鹿にされてるみたいで、俺……」
 しまった、とカイトは内心舌打ちした。
 つい照れが先に立って、ことさら男っぽい口調になっていたのだ。
 しかし浩司が惚れているのは、あくまで女のカイトだ。
 もし浩司を手玉に取るのなら、それ相応の演技が必要ということらしい。
(クソ、ここは忌々しいが、浩司の童貞野郎をおだてなきゃいけないのか)
 深呼吸をして覚悟を決めた。
「浩司……くん」
「カイト!?」
 甘ったるく名前を呼んでやるだけで浩司の鼻息が荒くなった。
(単純な奴。やっぱ童貞だわ)
 内心を押し隠し、カイトはなおも演技を続けた。
「オレも……沼作なんかより、浩司、くんのほうがいい……」
「えっ!」
 その気になると、自分でも驚くほど可憐な少女のような声音が出た。
 もともと、意識して男っぽく喋らなければ、ピッチの高い可愛らしい声が出るような声帯なのだ。
「それ、マジで?」
「浩司、くん、がオレを助けてくれるなら、この体、好きにしてもいいよ」
 胸に手を当てて、そう告げた。
(オェェェ……なんで浩司ごときに色目使ってんだ、俺は!)
 浩司は気付いてないようだったが、カイトの内心の葛藤は凄まじいものがあった。
「ほんとに、ほんとに好きにしてもいいの!?」
 コクリと頷くと、間近に迫った浩司の鼻息が腕にかかって熱いくらいだった。その上、先ほどからカイトを悩ます牡の体臭もさらにきつくなっている。
「オレも浩司、くん、にだったら抱かれてもいいって思うから……」
 浩司の鼻息が最高潮に達した。
 ふと見下ろすと、浩司の股間がこんもりとタワーを立てていた。
(オレ、そんな色っぽいのか? ……色っぽいんだろうな)
 何度もガラス窓に映る自分自身の姿に欲情した身としては、浩司の反応も納得できた。
 同時に、浩司の股間でいきり立つ男の象徴が自分にはないことを痛感して、ひどく虚しい気分にもなった。
「……オレのこと、触ってみるか?」
「悪い、オレじゃなくって『あたし』って言ってくれないか」
 浩司はそう言って頼み込むように手を合わせた。
「初めての相手が元・男だったってこと、意識したくないんだ。だから今だけでもいいから、あたしって……頼むよ、な?」
 浩司の必死の嘆願にカイトはため息をついた。
 ここまで来ると、童貞のささやかなロマンにおかしさすら感じる。
「分かったよ。オレ、じゃなかったアタシ。これでいい?」
「いい。いいっス! すげぇ可愛いよ、カイト!」
「きゃっ!」
 突然浩司に抱きしめられて、カイトは演技でなく少女らしい悲鳴をあげてしまった。
「ちょ、ちょっと浩司、くん! ここで……その、ヤっちゃうのか?」
「鍵、手元にないから。俺もう、我慢できなくて……ダメなのか?」
 おあずけをくった犬のような目つきがたまらなくおかしくて、カイトは吹き出してしまった。
「いいよ。好きにしな……して」
「はぁはぁ……好きなんだ、カイト」
 はじめのうち、浩司はカイトの身体を抱きしめるばかりだった。
 そうこうするうち、浩司の股間のふくらみがグリグリとカイトの腰に押しつけられてきた。
(うわっ、男のアレってこんなふうに感じるのか!)
 力任せの抱擁の中で固くなりながらカイトは押し当てられるモノの感触を分析していた。
 やがて浩司は果物の皮でも剥くみたいにカイトの体操着を脱がしていった。
 シャツのほうは乳房の上まで捲りあげられた。
 ブラジャーのホックは外れなかったので、浩司は乱暴にブラをずり下げ、押し出されてきたたわわな果実にむしゃぶりついた。
「ンッ!」
 胸の谷間のあたりにキスをされてカイトはピクリと震えた。
 いつのまにかカイトは机の上に座らされている。
 女の本能からか、カイトの膝はぴたりと閉じられたままだ。
 浩司の愛撫はまず、胸に集中した。
 乳首に取り付けられたピアスを弄ばれる。リングを掌で転がされ、軽く引っ張られたりする。
 その刺激に反応してたちまち乳首は固く立ち上がっていった。
「すげ、敏感なんだ」
「言うな……あ、言わないで」
 コリコリと尖った乳首を指でいじられると、そのたびに体がわなないた。
「はうっ、そこだけだと刺激が強……ンンッ!」
「そっか、おっぱい全部いじってほしいんだね?」
 一瞬ためらってから、これが「演技」だったことを思い出してカイトは頷いて見せた。
「ねえ、言ってみせてよ。オッパイ弄ってって」
「そんなこと……」
 浩司の手が止まった。
 と同時に浩司に去られて千載一遇の脱出チャンスが流れていく恐怖がカイトを打った。
「お……オッパイを……」
 ゴクリとツバをのみこんでから、もう一度言った。
「オレ……あたしのオッパイ、弄ってください!」
「すげぇ……」
 浩司の口から感嘆のため息が漏れた。
「いまのすげぇエロかったよ」
 ここぞとばかりに浩司が胸に手を伸ばしてきた。
 双つの半球が荒々しく揉まれた。ぐにぐにと音が聞こえてきそうなほどだった。
「あふっ……くぅぅぅん」
「もっと、もっとイヤらしく喘いでよ!」
「あんっ、あんっ、そんなにオッパイこねないでぇ!」
 演技だから、と自分に言い聞かせなければいけないほど、自然と口をついてイヤらしい言葉が出てきた。
 エロビデオのAVアイドルにでもなったような奇妙な気分だった。
 そうやって責められているうちに、じょじょに体が火照ってくる。おまけに、ときおり指の腹で乳輪や乳首を擦られると、痺れるような快感が全身に走る。
「女の子ってさ、こういうとこが感じるってホント?」
「ふぇ……?」
 浩司の手が胸から離れ、腋の下をなでてから首筋へと移動した。
「え、え、分かんない……」
「どれどれ」
 浩司は本格的にカイトの後ろに回り込むと、背中から首筋にかけて舌先でツツッと愛撫した。
「はぁぁぁぁんっ!!」
 その愛撫がもたらした電撃のような快感に、カイトは仰け反った。自然と突っ張った足のつま先が折れていた。
「おお、本当にたまらなく気持ちいいみたいじゃん。ねぇ、男のときより気持ちいいの?」
「き、気持ちいいよぉ……はひぃっ!?」
 指で髪を梳かれただけなのに、甘くせつない感覚に囚われ、カイトは我を忘れそうになった。
「わぁ、攻略本に書いてある通りじゃん。やっぱ、髪いじられると快感なんだ、女って!」
 続いて耳の裏にキスをされて、またもやカイトは甘ったるい声で叫んでいた。
(攻略されてる……浩司の思い通りに……)
 心の片隅でそんなことを思っていても、新たな性感体を刺激されるたびに押し寄せる波は、容赦なくカイトを高い場所へと運んでいった。
「カイトはおへそでも感じちゃいそうだね」
 浩司の指が腹を滑ってへその穴に差し込まれ、そこをグリグリと掻き回した。
 信じられないことにカイトの体は反応してしまった。
(そんな! これじゃまるでセックスロボットじゃないか!)
 触れられるたび、愛撫されるたび面白いようにカイトの肉体は敏感な反応を示して浩司を悦ばせた。
 もはや演技がどうこうと言ってる余裕はまるでない。
「あひっ、ひっ、そんなとこ触ったら……あんあんっ、ダメ、いいっ、あああぁぁぁん!!」
 支離滅裂な言葉が口をついてるのにも気付かずカイトは悶えた。
「どう? そろそろオレのチン●、入れてもいい?」
「あ……」
 耳元で囁かれた途端、ヴァギナがひとりでにジュンと濡れた。
 女として「濡れる」感覚をまざまざと味わってしまった。
「ダメぇ……」
 息もきれぎれにカイトはつぶやいた。
 これ以上続けたら、演技ではなく本当に女の感覚に溺れてしまいそうだった。その恐怖がカイトに拒絶の言葉を口走らせていた。
「でもさぁ、気持ちいいんでしょ?」
 浩司はカイトの胸の下に指をさし入れて、下乳をくすぐるように愛撫した。
「巨乳の女の子って、これに弱いんだって。カイトもそう?」
「は……あああああああ!!」
 仰け反って逃げようとしてもまだ執拗にそこを愛撫され、カイトは苦しげに喘ぐだけだった。
 すっと手が引かれる。
 愛撫されて張ってしまった乳は、固く上を向いたままだ。
 今度はやおらブルマの中に手が侵入してきた。
 あっと思って止めようとしたときにはすでに手遅れだった。
「待って! そこはっ!」
「……ここが肝心な場所じゃん」
 ブルマの中で蠢く手がさらにパンティを潜って、ついに秘所へと到達した。
「すげ……ぐちょぐちょにヌレてんじゃんっ!」
 狂喜にも近い浩司の反応に、カイトは顔を真っ赤にした。
 ぬるっ!
 粘液に覆われたスリットの中に指が入り込んできた。
「ひぃっ!」
 カイトは思いあまって浩司の腕に抱きついていた。いままさに愛撫を続けているその腕に。
 指はまず、確かめるように花びらの表面をなぞった。
「ああ、あああっ!!」
 その刺激だけで言葉も喋れなくなってカイトは腕に抱きつき、がくがくと震えるばかりだった。
「教えてよ。濡れるって、どんな気持ち?」
「い、いや……」
「サイコーに気持ちいいのにチン●がおっ勃たないって、どんな感じなのさ?」
 嬲るように言葉を囁かれると、それだけでトロリと熱い液体が湧いて出てしまう。その女体の感覚はカイトを戸惑わせ続けた。
 浩司の指が浅く入り口の戸を叩いただけで、膣がゆっくりと収縮を繰り返す。カイトの意志などまったくお構いなしに。
 やがて愛液にまみれながら浩司の指は秘裂の上で小さな尖りを見つけ出した。
 カイトも、そこが何であるかは分かっている。
「クリだ……」
 感慨深げに浩司がつぶやくと、カイトはパニックを起こしたように浩司に向かって叫んだ。
 抱きついた腕を引っ張ってブルマから手を出そうとするが、浩司の腕は頑として動かない。
「ダメ、もうそこはダメって!」
「クリってさ、すっげー優しく愛撫しないとダメなんだって。こう……こんな感じかな?」
 ハッと息を呑むカイト。
 次の瞬間、さわさわという愛撫が開始された。
 言葉通り、浩司は繊細にやわらかくそこを刺激してきた。
 ほとんど力を入れず、包皮の上からやわやわと指を上下させるだけである。
 激烈な性感が襲ってくることはなかった。
 けれどそうやって微妙な刺激を加えられているうちに、確実に体の芯に快感が蓄積していた。
「ンッ、ンンッ、ふぁぁぁぁっ!」
「気持ちいいの?」
「いい! 気持ちいいよぉ」
「へぇ。やっぱクリっていいんだ」
「あ……いやだ、気持ちいいのやだぁぁぁ……ふぅぅぅっ、あぁぁぁん、いい、いいよぅ……」
 カイトの混乱した反応に浩司はクスクスと笑った。
 浩司の腕にしがみついてるカイトの様子もひどく可愛らしく浩司の目に映っている。
 しゅっ、しゅっ……
 クリを摩擦しているうちに包皮がはずみで剥けた。
「ひぃんっ!?」
「まだまだ!」
 やわらかな刺激がさらに続いた。
 時折摩擦する方向を変えたり、包皮を巻き込んだりしながら、愛撫は続く。
 絶妙な力加減に、ときどきカイトは腰を浮かしそうになる。
(気持ちいい……でも……これは演技で、浩司を騙す……ため……)
 そんな理屈は既に、快感にとろけそうな自分を誤魔化すお題目に過ぎなかった。
 しゅるしゅるとクリをこする刺激。
 ほんの少し、その刺激が強かったら……と思い、動きに合わせて腰を浮かしそうになってしまうのだ。
「ねえ。挿れて、いい?」
「んんっ……」
 曖昧な反応に浩司はわずかに指の刺激を強くした。もう片方の手で乳房の愛撫も再開する。
「セックスしようぜ」
「せっ……くす……」
「犯してもいい? カイトちゃん」
「あふぅ……お、犯されるのは……」
 どこかトロンとした目つきでカイトはつぶやく。
 すると不意に浩司は愛撫を止めてしまった。
「あン……」
 鼻にかかった吐息をカイトは他人のもののように聞いていた。
 浩司は無言でズボンを脱いでいる。
 たちまち濃厚なオスのエキスを嗅がされ、カイトの心は狂いそうになった。肉体のほうは、一歩先に発情しきっていた。
 さんざん愛撫を受けてしまった躰が疼き始める。
 もっと。
 もっと、もっと!
 快感を求めて自然と腰がくねる。
(なんで止めちゃうんだ……)
 心の中で誰かが囁いた。
(ダイテ……オカシテ…………)
 カイトはいつしか潤んだ瞳を浩司に向けていた。
 浩司の下半身から発散される体臭を吸い込むだけで、頭が痺れてくるようだ。
(ほしい……ほしい……オチンチ●……オレに無いモノ……)
 浩司はニヤリと笑った。
「おねだりしてみて」
「おね……だり……?」
「可愛らしくおねだりできたら、続きをしてあげる」
 かぁっ。元から上気していたカイトの顔は朱に染まって湯気を出しそうなほどになった。
(浩司ごときにオレが!)
(もうなんでもいいから早くシテ欲しい!)
 心の中で二つの声が交錯した。そして、後者の声が圧倒的に強かった。
 カイトはからからに干上がった口を一、二度パクパクさせると、屈服したように浩司の肩にもたれかかり、そこで囁いた。
「お願い、浩司くん……あたしを……犯して……」
「よくできたね」
 浩司はキスをしたかと思うと素早くカイトを抱きかかえた。
 カイトは不思議な浮遊感に身をゆだねた。
 力強い男の腕に抱えられていることが不思議と心地よく感じられた。本能的に。
 カイトはマットレスの上に仰向けに寝かされた。
 それまでぴたりと閉じていた両脚は、浩司によってこじ開けられた。
 両脚の間に浩司の頭が入る形になった。
 そして、ピチャピチャと水を舐めるような音が。
(アソコを舐められてるんだ!)
 自覚するより先にカイトの躰は反応していた。
「あぅぅぅぅぅぅぅぅっ……」
 まるでスイッチでも押されたようにとめどもなく愛液が分泌される。
 そして、強すぎる刺激から逃れようとマットレスの上でじたばたして、浩司に腰を掴まれた。
「処女の滝のぼりにはまだ早いんじゃないの?」
「そんなこと、言うな……ああああっ!」
 秘所への舌を使った愛撫を想像を超える快感だった。
 頭の中で白や黄色の光が弾ける。
「さて……『犯して』あげなくちゃね」
「う、うそ……マジ、で……?」
「いまさら何言ってるんだか」
 下半身を丸出しにした浩司が、カイトの上にのしかかってきた。
 真っ直ぐに顔を覗き込まれるのが気恥ずかしくて、カイトは横を向いた。
「可愛いよ……」
「ひゃうっ」
 そう言いながら浩司は耳たぶを甘噛みしてきた。
 快感に耐えようとしてカイトは夢中で浩司に抱きついていた。
 欲望で張り詰めた熱い塊が、股間に押し当てられた。
「はぁん、ち……ちん●ぉ……」
 喪った物に巡り逢ったような気がしてカイトはつぶやいた。
 だが、その塊はゆっくりとカイトの花弁を貫いて体内への侵入を開始した。
「あ……痛い、痛い……」
 痛いというより、大事な場所に他人の器官の侵入を許してしまう戸惑いから、カイトは腰を浮かせた。
 半ばパニックに陥ってじたばたともがき、ペニスから逃れようとする。
 カイトの躰がマットレスの前方にズレた。
「おいで、カイト」
「あくっ」
 浩司は体重をかけてカイトの両肩をマットレスに押しつけた。
 男の力で制圧されたその体勢は理屈抜きにカイトの抵抗の意志を奪った。
 女の体の本能がカイトを支配し、制圧者である男を受け入れようとする。
 もう一度、ペニスが押し当てられる。
 今度はそれから逃れる自由はない。
「せぇの……!」
「うあっ……」
 ずるりっ……
 男の器官が挿入された。
 膣壁がひくひくと蠢いてペニスを感じた。
「犯される、気分ってどう?」
 ずっ、ずっ……
 さらにペニスが奥深く押し入ってくる。
 カイトは声を出せるような状態ではなかった。
 ひたすら「犯される」というその感覚を味わっていた。自分の存在そのものが誰かによって支配されるような……
 一度挿されたペニスが半ばまで引き抜かれたとき、膣とクリトリスの近くが同時に刺激された。
「い゛っっ…………!!」
 その深い快感が最後の一押しとなって、カイトはエクスタシーに達してしまった。
 低く唸るような声を自然に撒き散らして、全身がわなないた。
 躰の内奥に溜まりに溜まっていた快感が一気に奔流となって解放される感覚。
 男に貫かれることでもたらされたエクスタシーは、人工的に与えられたそれとは激しく違っていた。
 高い塔から突き落とされたような、深い水底にどこまでも沈んでいくような……。
 全身を、そして心の隅々までをも青い波で洗い尽くされていく。
 カイトは自分が浩司にきつく抱きついて爪すら立てていたのを知らなかった。
 そうやってエクスタシーに翻弄されている間にも、浩司は腰を動かしてピストン運動を続けていた。
 ようやく快感の狭間から意識が抜け出してきたカイトの目には、ギラついた目で腰を振り続ける浩司の姿が映った。
(オレ……セックス、しちゃったんだ……)
 悲しみにも似た感情が心をかすめたのに、躰のほうは逆に反応して貪欲に男のモノを求めた。

「ああ、すげぇ、すげぇ……」
 カイトの膣が収縮したことで浩司は白目を剥きそうなほどに快感を貪っていた。
 これが犯されるということなのか。
 カイトの心は醒めた。
 同時に躰は熱くなり、再び頂上へ向けて昇り始めた。
 何度も、何度も、ペニスが躰を貫く。
 男がそう望む限りカイトの躰は快楽を提供し続ける。道具のように。そして、カイト自身もやがて快楽に狂っていく。
 醒めた心でいながら、雌としての本能で男を受け入れ、甘い快感に身悶えするのはこれ以上ないほどの拷問だった。
(犯される、犯される、いやだ、いやだ!)
「ああン、いやっ、そこ、もっと……犯してぇ!」
 心と正反対の言葉を体は叫び、それを止める術もない。
 体内深くに突き刺さる男の器官を感じて、カイトの体は悦び震えた。
「ま、また……きちゃう……」
 行為の最中にまがりなりにも言葉を口走ることができるのは女であるカイトのほうだった。
 浩司はもはや快楽に取り憑かれ、機械のように単調に腰を動かすだけだった。
 いまにも弾けそうな快感の塊に、カイトはむせるような体臭を発する浩司の胸にしがみついた。
 そうやってしがみついてないと、どこか遠くへ流されてしまいそうだった。
「あ……あ……ああああ…………」
 再びエクスタシーの高みへと投げ出され、カイトの心は体に従った。すなわち、波のように重なる快感に呻き、恍惚感に浸った。
(あん、コウジぃ……)
 愛しいもののように浩司に抱きつき、首筋に顔を埋める。
 肉体の支配下におかれた心は、浩司を愛する者と認識していた。
 そのとき浩司の体も硬直し、震えた。
 ひときわ深く挿入されたペニスが信じられないほど膨張し、破裂したかのようだった。
 ピクリ、ピクリと浩司の体が痙攣し、何かをカイトの体内に注ぎ込む。
 そのプロセスが終わると、がくりと浩司の体から力が抜け、カイトの上に体重がかかった。
「お……もい……」
 まだ快感の余波で頭がぼうっとしていたカイトは、うわごとのように呟いた。
 もう少し意識がはっきりしてくると、カイトはのしかかってくる浩司の体を横にずらした。
 結合部からずるりとドロドロの液に包まれた浩司のペニスが抜けた。
 ペニスが抜けても、まだ膣の中に何かが差し込まれたような感覚がわずかに残っている。
「カイト」
「な、なに……?」
「気持ちよかった?」
「う……」
 しばらく迷ってからカイトは正直に答えた。
「物凄く、良かった……って、何言わせんだよ!」
「あはは……ねぇ、もう一度、あたしって言ってくれよ」
「なっ……ダメだ、ダメ。約束通り、一発抜いてやったんだ。あんま調子に乗るなよ」
「ちぇー」
 浩司は起き上がると、下着とズボンを身に着けていった。
 二度も達してしまったカイトは息も切れ切れで、まだ立ち上がれるほど回復してない。
「浩司ぃ、鎖の鍵のことなんだけど……」
「おーい、みんな。入ってきていいぞォ!」
 浩司は廊下に向かって大声で叫んだ。
「なっ!」
 カイトは上半身を起こしたまま硬直してしまった。
 浩司の呼びかけに応じて、廊下からカジ、ハネダ、それに他の数人の少年までが姿を現したのだ。
「なっ……これ……?」
 事態が掴めず言葉を詰まらせるカイト。
 浩司は鼻でせせら嗤った。
「ドッキリカメラ〜、なんてね♪」
 ぞろぞろと少年たちがカイトを取り囲み、その外にはムラタの姿もあった。
「浩司、おまえ……?」
「まだ気付かない? だ・ま・さ・れ・た・の! カイトちゃんは」
 ぱちん、と浩司のウィンク。
「うああああああああああああっっっっっっ!!!!!」
 カイトは顔を覆い、叫んでいた。
 トロッ……
 まるでタイミングを計ったように注ぎ込まれた精液が漏れ出て、白い太股を汚した。
 ムラタが言う。
「言ったでしょう? 破瓜の儀式で君は自分から腰を振ることになるって」
 いまさらのようにカイトはビデオを回す音に気が付いた。
 浩司との一部始終は、テープに収められていたのだ。
「ヘッヘッ、先生、いい絵が撮れましたよ」
「予定通り、あとでインターネットにアップしておきなさい。カイト君の艶姿を全国の皆さんに見てもらわなければいけませんからね」
「ラジャー!」
 カイトはももに垂れた白濁液を手でぬぐった。と、拭うそばからポタリと男の精が落ちてくる。
 カイトはその場にうずくまった。
 惨めに震えるカイトに、カジがとりすがった。カチャカチャとベルトを外す音がする。
「今日の割り当てはオレと浩司の二人なんだ。よろしく!」
「くうっ!」
 言うなり、カジは背後からカイトを犯した。
 後背から割り入ってくる男の侵入に、もはや抵抗することも忘れてカイトは身を任せた。
「うわぁ、気持ちいいぜぇ〜。あんた最高だよ、カイトさん!」
 カジの生臭い鼻息がカイトのうなじの毛を揺らした。
 浩司は皮肉っぽく言葉を投げかけた。
「また次のときも、『あたしを犯して』ってイロっぽく頼むぜ、カイトさん!」
 犯されながらカイトは浩司を睨んだ。
 そうやって睨むことだけが正気を保ってくれるというように。
 一度芯まで快楽を刻まれた体は、カジの単調なピストン運動にも反応してしまう。
「はぁっ……はぁっ……ああっ、くううっ!!」
 たまらなくなったのか、山田が剥き出しのペニスを振りかざしてカイトの前に位置どると、カイトの胸の谷間にそれを送り込んできた。
 前後から二人の少年に所有され、そしてカイトの肉体は快楽を受け入れていた。
「いっ、はあっ、あンっ……うううっ、クソぉ!」
 甘い吐息の合間にカイトは歯を食いしばり、浩司の姿を追った。
「て……めぇだけは絶対コロス!」
「カイトちゃん……腰、くねってるけど、もう限界なんじゃない? イッちゃえよ!」
「ひぐっ……!!!!」
 浩司の指摘と同時に、カイトは三度絶頂の波に襲われた。
 浩司が笑いながら見ている前でカイトは惨めに犯されたうえにイッてしまった。
 全身男の精液にまみれながら、カイトはゆっくりとマットレスに沈んでいった……。

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