憎しみの檻

-もしもの物語-

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 あなたが憎くてたまらない。
 想像の中で、夢の中で、何度も殺した。
 この剣でその身を切り裂き、最後は首を刎ねてやる。

 わたしが殺意を剥き出しにしているのに、アシルが目覚める気配はなかった。
 眠っているアシルの顔は無邪気で、まるで子供みたいだった。
 どうしてそんなに無防備でいられるの?
 普段なら、小さな気配や殺気でも起きるクセに。

 なぜ、起きないの?
 これを振り下ろした瞬間に、飛び起きて捕まえるつもり?
 それとも、いつか言ったみたいに、わたしになら殺されてもいいと思っているの?

 殺したいという衝動が、寝顔を見ている間に消えていく。
 あれだけ憎んだのに、いざ機会がめぐってきてみれば、思い出すのは彼の優しい温もりだけだった。

 誰よりも憎くて、殺したかったのに。
 いつの間にか、わたしはこの男を愛していた――。


剣を下ろす


剣を落とす



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