第8章 受精、そして……

 不二夫が陽子の口の中に熱い白濁を注ぎ込んだ時には、陽子は全く抗うこともせずにされるがままとなっていた。
「さあちゃんと飲むんだ」
 静かに不二夫は命令を放つ。陽子はむせつつも、必死に飲み下さんとその喉をひくつかす。
 口角から漏れた精液が涎と同じ軌跡をたどって流れていく。
「今後は、体の中も外もザーメンまみれにしてやるからな。そのうち、ザーメンを口にし続けないと生活できない体にしてやる。そこの操みたいになぁ」
 当の操は、絶頂の門の前で彷徨い続けていた。不二夫が自分の名前を言ったのにすら気付いていない様子で、ただ目を泳がせて自分の肉欲の世界に溺れながら、両手で巧みに自分の肉唇を愛撫していた。
 いや、決して操の意識が遠くへ旅立っているというわけではない。彼女の視界には確かに不二夫と陽子がいる。操は不二夫に犯されている陽子に感情移入しながら自分の過去をその上にかけ合わせ、自分自身の妄想を形作っている。
 不二夫は陽子の口から萎えた陰茎を引きずり出すと、そのまま彼女を突き倒し、部屋の隅に無造作に置いていた自分の服の中から、青い錠剤の入った瓶を取り出した。ラベルには「バイアグラ」と書いてあるが、中に入っている錠剤はそれとは異なるまた別のものである。
「全く、たくさんの女相手にしてると、この薬無しじゃ持たねぇぜ」
 そう言いながら、瓶のふたを開けて錠剤を二錠ほど飲む。
 するとどうしたわけか、不二夫の陰茎が再び起き上がってくるではないか。よれよれだった表皮は血管を浮き立たせ、小さかった亀頭は光沢を帯びて大きくなり、茎は熱気を満たしながら太くなっていく。
「あ……あぁあ」
 復活の雄叫びを上げんばかりに膨らんだ赤黒い肉刀を見て、操は口から涎の雫をこぼして甘い渇望の声をあげる。一方、陽子はただただ怯えたように目を見開いてそれを凝視するのみであった。
(そんな……終わりじゃないの……?)
 不二夫のまがまがしい男の象徴の復活が何を意味するか、それを頭の中で考えて陽子は背中に悪寒を覚える。そしてそれは即現実になった。
「よおし、いやがるお前に引導を渡してやるぁあああ!」
 残された陽子の服の下半身を、不二夫は乱暴に引き裂いた。赤白の縞のタイツも、デニムの半ズボンも、不二夫の手にかかればただの布きれと化してしまった。
「やあああああああ!」
 絶叫。陽子は思い出したように体を震わせて、腰を引きずって後じさる。不二夫はそそり立つ肉刀を股間でぶらぶらと揺らしながら陽子に迫る。
「いやがるお前のマンコをこいつで串刺しにして殺してやるんだ。全て事が済んだ後、お前は俺にひざまづくのさ」
「いやぁ、いやあ!」
 不二夫に掴ませないと肩を激しく揺らす陽子。
 小さいが形よく成熟した胸。ハリのいい血の通った柔かそうな肌。細いが肉付きがいいスレンダーな脚。砂浜のハマナスの群生のように小さく健気に股間に生えた陰毛――不二夫は陽子の体を舐めるように見ている。
 かすれるまで悲鳴を上げて暴れる陽子の肩を、不二夫が押さえ込む。そのまま覆いかぶさり、彼女の唇をべろんと舐める。陽子の体を鳥肌が波立つ。
 両足はぴっちりと閉じ合わせ、最後の秘室にたやすく踏み入れられないようにしていたはずだった。しかし唇を舐められて陽子はその足の錠を緩めてしまった。その隙に割り入って、不二夫は彼女の両脚を抱え上げて大きく股を開かせた。
 先に燃え上がって濡れそぼっていた陽子の陰裂。不二夫の突破はいともあっけなく成功した。
「あああああああああああぁ!」
 膣の玄関からおびただしい血が流れる。
 ほどばしる痛みに激しく悶える陽子にかまわず、不二夫は笑いながら腰を振り立て続ける。最初は低く小さく、だんだんと大きく、どんどん高らかに笑う。
「処女か、そうか処女かぁよかったなぁええ? うはは、はは、うはははははは」
 不二夫の腰の突き上げに体を揺すられるに任せ、陽子は嗚咽を漏らす。
「痛い……痛いの? あぁ、そのうち、そのうち……」
 操は陽子の姿を見て、自分も涙を流して自慰に耽る。
「今に、今に、気持ちよくなってくるぜぇ、うへ、うへへへへ」
 不二夫は陽子の姿を見て、なお笑いながら腰を振り立てる。
「ぎひいぃぃぃ、ひうううううう!」
 陽子は今の自分の姿をみて、しかしその状況を認めたくなかった。しかし彼女の膣内では、不二夫の肉棒が確実に暴れ回っていた。その激しさは背後の直腸にまで響き、子宮のさらに奥まったところに鎮座する卵巣をも揺さぶらん勢いだ。
 着実に膣壁は不二夫の肉棒にかき回されている。最初は突然の異物の侵入にややこわばっていた肉壁は、暴れ回られるにつれてほぐれていく。今まで経験すらしたことのない快楽の感覚が、ずんずんと鈍く脊髄を伝わり、陽子の脳を穿つ。
「あ、ああぁ、ああああぁ……う、えぅ」
 必死にこらえようとする陽子の舌を、不二夫は中指と人さし指で軽く挟み込んだ。
「え、えぅ、えう、えうぅーっ!」
「いい泣き声じゃねぇか。いいぜ、せっかくの初体験なんだから、おもいっきりはっちゃけていいぞ。イッたら、お前の子宮に目一杯ザーメン注ぎ込んでやる。それでお前も立派な、俺の奴隷妻だ!」
「えぅ、えうぅ、えぅう!」
 不二夫の腰はさらにその動きを激しくする。単調な動きではあるが、初体験の陽子にはそれだけでもひどく答えた。
(このまま、私はこの男の女になってしまうの? 美咲さんや操さんみたいになってしまうの?)
「えうぅ、ええぅ、ぇあああああ!」
「ほら、イクんならとっととイってしまえ! おりゃ、そりゃ!」
 陽子の体が跳ね上がらん程に不二夫は腰を突き立てる。
「えあっ、あぇっ」
 もう堪えられなかった。陽子の意識が、一突きごとに薄らいでいく。それに代わって、悦楽の心地よい感覚が沸き上がってくる。
「あ、えあああああああああああっ!」
 体を硬直させ、脚を震わせて、陽子は舌を挟まれたまま絶頂の雄叫びをあげる。
 同時に、不二夫の熱い肉棒から、さらに熱い液体がほどばしる。子宮の奥でそれを感じながら、陽子は体をビクンと痙攣させてそのまましおれたかのようにぐったりとした。
「イ、イクうぅぅぅ……っ」
 少し遅れて操が、膣の奥に自分の指をずぶりと突っ込んで陽子のあとを追った。大量の愛液を秘裂から滴らせて、床に身を横たえる。
 陽子の舌から手指を離し、不二夫はぐったりとした陽子から肉刀を抜かずに抱きかかえ、ゆっくり立ち上がる。オルガズムに達してもなお股間に手をあてがい、うっとりした目で自慰の余韻にひたっている陽子の乳房をつま先でつっつく。
「……っあ、あん……」
「おら、発情してないで美咲を連れてこい」
「あぁ、……はい……」
 まだ夢心地の目で、まだ不二夫に繋がったままの陽子を舐めるように見てから、操は出かけていった。
 それを見届けて不二夫は、再び腰を揺する。
「あぁ、やぁあ……」
「美咲が来るまでにもう一発注ぎこんでやる。遠慮せずによがっていいんだぜ」
「や……だ……あんっ!」
「そういう割には随分アソコの方は馴染んでるみたいだぜ? バージン貫かれたくせにヒクヒク絡んでくるぜ。へへ、素直になれや。怒らないからよ」
「い、……いや、あ、むぐむぅ!」
 必死に抵抗する声を押さえ付けるように、不二夫は陽子の唇を自分の口に含んだ。それから自分の舌を彼女の口の中に入れ、着実に征服していく――

 操が美咲を連れて部屋に戻って来た時、ちょうど不二夫は陽子に二度目の膣内射精を行っていた。二人の目に、血が滴る陽子の秘裂を深く刺して鈍く強く脈打つ怒張が飛び込んでくる。
 たちすくむ二人に、不二夫がにっと笑う。
「おぅ、紹介するぜ。俺の三人目の奴隷妻だ」
 ようやく不二夫が肉刀を抜いた。
 陽子の秘裂から白い液がこぼれてくる。それは、同じ所から流れる血に交わることなく、ただからみ合って太ももを流れていく。

 

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