第10章 発情の前夜

「Name:YOKO
 B.D.:May.1.XXXX
 Blood:A
 Size:76-56-80
 Put:Oct.2.XXXX」

 操と美咲は膝をついてしゃがみ、陽子の下腹部に刻み込まれた文字をまじまじと見つめる。
 握りしめた両手を口元に、ブリッ子のポーズをとって恥ずかしがる陽子。互いに顔を寄せあって自分のタトゥを見つめる二人を見て、さらに陽子は赤くなる。
「おい二人とも、タトゥならお前らにもあるだろうが。ちょっと下がれ」
 二人は不二夫の命令でようやく一歩下がる。その時、美咲が床の穴に足をとられてこけそうになったが、とっさに操が支える。
「よおし、教会に戻って来たところで改めて自己紹介してもらおうかな。陽子のおかげで二、三日結婚式伸びちゃったからな。まず最初に陽子からいこう。ついでにそのことについて二人に謝ってもらおうかな」
 不二夫はそう言った後で陽子の側に寄り添うと、そっと耳打ちした。陽子の目が驚きと羞恥で見開かれる。
「……そんな……」
「道端でクソ垂れて今さらカマトトぶってんじゃねーよ。ほら、言え」
 ぱちんと尻を叩かれる。陽子は最初恥じらいで唇をぱくぱくさせるだけだったが、ようやく声を絞り出す。
「……陽子と言います。私は……10月2日に不二夫さんのザーメンを子宮いっぱいに頂いて、奴隷妻の契りを交わしました。ティーンエイジャーの癖に、大人以上にマンコからたくさんエッチ汁を垂れ流すエッチでヘンタイな牝豚です。今でも不二夫さんの太い……おちんちんが欲しくて、ヴァギナの奥がうずうずしてたまりません……。こんな変態娘のせいで、結婚式を遅らせてごめんなさい。お詫びに、私のお尻をたくさん、たくさんひっぱたいて下さい……」
 言い終わった後、陽子は操と美咲に尻を向け、ぎゅっと目をつむった。
「――ということだとさ。じゃ、遠慮なく――!」
「ひぎゃっ!」
 小さな尻に大きな赤い手形を入れたのは不二夫だった。彼は一人、ひたすら陽子の尻を叩く。
「おいおら、操、美咲、お前らもせっかくの婚式を延期にされたんだ。思いっきりひっぱたいとけ」
 しかし二人は、自分達の主人の命令が耳に届かない様子で、ただ縮こまって陽子の赤く腫れ上がっていく尻を見つめるのみ。不二夫の手が陽子の小振りな尻に当たるたび、その音に彼女達はまるで自分の事のようにびくっと肩をすくませる。
「痛っ、あう、あぁ、ぁ……ああぁ!」
 廃教会の一室。陽子が美咲と操、そして不二夫と出会った場所。
 今その場所で、奴隷妻という禁断のレッテルを貼られた彼女の、哀しい声が響く。
 涙で陽子は潤んでいく。目の涙は首筋を滴って小さな胸の谷間に至る。そして、陰唇からも粘っこい涙がじわりと湧き出て太ももを流れていく。
 陽子の声に悲痛の色が薄らいでいく。それはだんだんと、道端で周り構わずまぐわう牝猫の甘ったるい鳴き声に似通ってくる。
(お尻が……なんでだろ? 痛いのになんだか感じちゃう……。ああ、もう私、後戻りできない……!)
「あぁあ、……ぁぁ、もっ……と……」
「あ? なんだ陽子、はっきり言ってみろ!」
「もっと、……もっとぶって! もっと叩いて下さいぃ!」
 それは意外な変身であった。操や美咲が驚いたのはもちろんだが、不二夫に至っては戦慄すら覚えたほどである。
 陽子は、少なくとも今の状況において、真性の淫乱マゾなのだ。
 不二夫の体が今まで経験したことのない興奮で震える。しばし彼は立ち尽くしていたが、思い出したかのように手を大きく振りかぶって艶かしく揺り動かされる陽子の尻を平手で叩き付ける。
 まるで膣内に指を入れられたような嬌声をあげる陽子。背筋をうねらせ、唇から涎の滴が糸を引いて落ちる。
「あぁあ、もっとぉ、あ! あ〜まだ、もっとぶって、もっとおぉおおお!」
「このヘンタイめ、ついに本性を現わしやがったか……末恐ろしいガキだぜ、アソコでザーメン飲んでさらにチンポまで食いちぎってしまうんじゃねぇか、あ?」
「うあぁ、ぶってぶってぶってぶってぶってぶってぶってぶってぶってぶってぶってぶってぇぇぇぇぇぇ!」
 狂ったような陽子の声、柔らかい皮膚を叩く弾けた音。
 まるで取り付かれたような不二夫の折檻は、陽子が床に体を沈めるまで行われた。それは余りにも壮絶で、もはや自己紹介できる雰囲気ではなかった。
 陽子が床に自分の乳房を押しつぶした時には、彼女の尻は内出血を起こしているのではないかと思えるほど赤く腫れ上がっていた。不二夫が熱を持ったその部分をやさしく撫でてやると、陽子は恍惚とした甘えた声でそれに答える。
 そんな陽子を猫さながらに自分のあぐらの中に迎え入れ、ようやく不二夫は平静を取り戻したかのような表情になる。
「手が痛てぇ……」
 何度も強く陽子の尻を叩いていたために、不二夫は右肘から先がひどく痺れているようである。関節付近を左手で握りしめ、時々軽く振って痺れをしずめようとする。
「では、続けようか。次は操だ。……おら陽子へたばってる場合じゃないぞほら」
「ぇひっ!」
 不二夫の呼び掛けにビクンとのけ反る陽子。
 肛門を指でなぞられたのだ。きゅっとすぼんでいるピンク色の括約筋を、人さし指の腹で円を描くように撫で回されて、思わず陽子は腰を跳ねさせた。
 下腹部に両手を組んで当てるそのポーズで、操は不二夫に促されるままに自己紹介を始めた。
「操です。不二夫さんの……ザーメンを私の中に入れられてからもう……一ヶ月です。なんだか、もう、お腹のあたりがぷっくり膨らみ始めてます……。その……不二夫さんの赤ちゃんが……」
 そこまで言って操は顔を赤らめてうつむいてしまった。
「ああ、もういい」意外な言葉が不二夫の口から出た。だが操に安堵の溜め息を吐かせる前に、彼はこう聞いた。「じゃあ聞くけどな、淫乱変態操ママ。今からもっとエッチして、スペルマ溜め込んで、お前の子宮の中にたくさん子供こさえたいか?」
「それは……、……はい……」操はタトゥの下辺りを撫で回し、はにかみながらだがしっかりと答えた。「不二夫さんが愛してくれるなら、望む通りにします」
「聞いたか陽子、操はもっと子供が欲しいってさ。そのためなら幾らでもザーメンが欲しいんだとよ」
「あああぁっん!」
 セックスの様子を思い起こさせるように、不二夫は陽子のヴァギナに人さし指を抽送する。
「ほら、お腹の中に胎児がいるのに、その上にさらにザーメンドクドクっ、それでまた胎児ができてその上にドクドクドクーっ!」
 まるで赤ん坊と戯れるかのように、不二夫は陽子に顔を近付けて、ひたすら彼女の肉筒に突っ込んだ人さし指を動かす。陽子は、腫れた尻を撫でられた時と違った喘ぎ声を上げて腰を揺らす。
「ああ、やめて……」
 その様子を見て、操はますます恥じらいを見せる。
「よおし操。これは夫の勤めだ、お前の望む通りお前の体の中にもっとザーメン注ぎ込んでやる。そうすりゃ一ヶ月後には臨月なみに腹デカくなるぜ、はは」
 不二夫の目が美咲の方を向いた。
「最後はお前だ。さぁ、自己紹介してみ」
 だが、美咲はただ突っ立ったまま、口に手を当ててはっきりしない様子を見せる。
「陽子、ちょっとどけ」膝元から陽子を下ろし、不二夫は美咲の側に行く。後ずさろうとする美咲の背にすかさず回り、丸みを帯びた彼女の肩を撫でて耳もとで囁くように言う。
「二人はちゃんと自己紹介できたんだぜ? お前もちゃんと自分のチャームポイントを教えてやれよ。あるだろお前、すっごく淫乱なチャームポイントがよ」
「あ……ありません」
「うそこけよ、じゃあここのあたりの隙間は一体なんなのよ、ん、ん?」
 美咲は足を閉じてなんとかそこを隠そうとしたが、無駄なことだった。手で隠そうとしたが、その前に不二夫の手指が背後からそこを責め立てる。
「……いっ、ひ!」
 足を閉じても埋めきれない美咲の股の隙間から、不二夫の手が覗ける。柔らかい割れ目に太い指が、隠しているのかいじっているのかよくわからない様子で覆いかぶさっている。
「い、いや、クニクニしないで……あぁ、いやっ、お願いそこだけは……」
「何いまさらいやがってんだよ。その体、この腰、この隙間。お前はエロエロの淫乱奴隷妻になるために生まれて来たんだよ。本当はすごく幸せなんだろ?」
「いやぁ、いや……」
 目に涙をにじませる美咲。だが不二夫の口は止まらない。
「上から下からじとじと涙があふれ始めたな。そんなに感じるか。遠慮するなよ、素直に『もっと』とか言ってみろよ。……おいおい見てみろよ、陽子のやつ、お前のいやらしい隙間見ながらオナニーしてるぞぉ」
 不二夫の言う通り、乾いたスペルマで汚れたままの眼鏡の奥から、陽子の瞳がまじまじと美咲の濡れゆく股間を見つめている。彼女の手はそのまま自分の股間にあてがわれ、その細い指で秘唇をいじっていた。
(なんでかよくわかんない……でも私、この中なら凄くエッチになれる。エッチになれちゃう。エッチになっちゃう!)
「んうううんっ」小さな身震いを見せて、陽子は美咲の顔を見つめて言った。「美咲さん、すごくかわいいです……すごく……エッチです……。私もその隙間に顔を埋めたい……」
「だとさ、美咲さん」
 不二夫は人さし指をぐぐっと陰唇の奥、膣の入り口まで押し込んだ。
「っむあああっ!」
 首を振ってはいるが、牝犬の遠吠えのように、美咲は心の奥に溜め込んでいたかのようなよがり声をあげた。
 そんな彼女を見て恍惚としながらまだ股間で指を蠢かせる陽子を、操が胸元に抱えてひたすらキスの雨を浴びせる。操の胸元で赤ん坊のように優しく抱かれた陽子は優しく胸を撫でられながら、静かにエクスタシーに達した。

 

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