コミック・アンソロジーの問題点
- 企業が発行するものであり、本来営利を目的としない同人誌を逸脱するものである
- 同人への理解のない人や子どもの目に触れる可能性が高い。そのため、非同人であるファンの反撥をさらに買うと考えられる
- 上記の問題があるにも係わらず、1つの指針となりやすい
特定者への非難につながるかと思ったのですが、まあ私見までに書くことにしました。
アンソロジーとは、個人が作品を楽しむ上で作った作品を編集した著作権者の許可のない発行物です。個人が企画として行うものや、オンリーイベントで主催者が発行する記念本、ファンの書いたイラスト・記事を集めた関連本、企業が同人原稿を編集して発行したコミック・アンソロジーなど、発行者の立場により呼称や取り扱われ方など異なります。私がこのサイト中で「アンソロ」としているのは、企業の発行する「コミックアンソロジー」のことです。
アンソロの問題点はこのページの冒頭にまとめました。「企業が発行するものである」ことや、「同人への理解のない人や子どもの目に触れる可能性が高い」ことが何故問題となるのかは、「ハリポタ著作権問題とは」の、どのジャンルでも起こり得ることを読んでいただければご理解頂けると思います。
「企業が発行している」という意味では関連本もあります。関連本は創作としてはストーリーを伴わないイラストを掲載するのみであり、ほとんどは考察や感想を中心とした非同人を対象としているため、問題が起こりにくいと考えられているように思います。
前述した2つの問題点は、同人誌全般に言えることです。侵害の可能性はいつだってあります。けれど所詮個人のすることは見過ごされやすい。アンソロは企業がからみ、書店で販売されるため目に付きやすいものです。だから、問題を意識して同人活動をしている人間の警戒を呼びます。著作権について神経質になっているジャンルで、アンソロへの風当たりが強くなるのはそのためです。不買や執筆の拒否を言うなど、反対の意思を行動で示そうとする人もいます。
95年〜2005年ごろかと思いますが、アニメ化されているような人気のあるマンガのアンソロが、書店で平積みされているなど見ることがよくありました。(2019年現在ではここ数年見かけないなーって印象ですが、出版数などは調べてません)同人誌への理解のない人がそれらの作品を見たり、あるいは知的財産を傷つけられたと著作者が思う危険性はどこにでもあります。それに加えて、同人の問題点を知らないままこれらの作品に親しむ人が増えていることも、とても危険ではないかと私は思います。アンソロの問題点の中に、「1つの指針となりやすい」と書いたのはそのためです。
出版社が出したものだからといって、合法なものだとは限らないという認識を、私たちはしばしば見失いがちです。「同じようなものが売っているから大丈夫」という考え方を持つ人がいるのは自然なことです。特に「やってみたい」という意識が先にあるときは、否定的な意見を遠ざけてしまいます。
私は同人誌もやおいも好きですが、それでも前提知識のない子どもの目に触れさせたいとは思いません。問題を知って欲しいとも思います。その時アンソロは障害になります。その認識を、アンソロ参加される方には持って欲しいと思います。