夜。  
ロンドンにあるイギリス清教の女子寮。  
上条にと用意された部屋に、お風呂上りでホカホカのシスターさん4人が集まっていた。  
「ん……ふぅ」  
ゴクリ、と上条の喉が小気味良い音を鳴らす。  
彼は現在、風呂上りにお茶を頂いていた。  
「うまいな〜」  
と上条はティーカップ片手に和む。  
「それは何よりなのでございますよ」  
そんな彼を見て、笑顔で言うオルソラ=アクィナス。  
彼女の分泌する癒し成分?が、余計に上条をリラックスさせていた。すると、  
「シスター・アンジェレネ!就寝前の甘い物は控えるようにとあれほど!」  
「コレは甘くないチョコラータなので大丈夫なんですよ」  
と、ルチアの注意に、アンジェルネがペタンコの胸を張って答える。  
ぎゃあぎゃあといつもの騒ぎが始まる。  
「なんか姉妹(きょうだい)みたいだよな」  
二人を見て上条が言った。  
「あなた様は、ご兄弟がいらっしゃるのでございますか?」  
「いや、いないよ」  
言って、上条は(え、いないよな……)と不安になる。  
「だから、ちょっと憧れるよな〜」  
自身の中で「いない」と決着をつけそう続けた。そこに、  
「何の話しですか?」  
アニェーゼが厨房からホットミルク入りのポットを持って帰ってきた。  
「姉と妹、どちらがほしいか、という話なのでございますよ」  
相変わらずのポワポワとした笑顔でオルソラが答える。  
 
「それはおもしろそうですねぇ」  
上条の事を知りたいと思う気持ちもあるが、単純な好奇心もあるようで、恋する少女というよりは、  
『それでそれで?』と絵本を読んで貰っている子供のような表情で上条を見つめるアニェーゼ。  
(あれ?そんな話だったけ??)  
と思いながら上条は、  
「うーん、そうだなぁ」  
何時の間にか、ルチアとアンジェレネも騒ぐのを止め、上条の話に聞き耳を立てている。  
(姉か妹なら俺は……)  
     『甘えさせてくれるお姉ちゃんかな』 
     『面倒見の良いお姉ちゃんかな』  
     『おとなしい妹かな』  
     『ちょっぴり生意気な妹かな』 
 
 

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