作者
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NEW2
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匿名
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匿名ほか
(補足部は共著者)
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第501話
「へへへ、こんどこそぺちゃんこになっちゃえ。」
巨大な子供のころの石本は、楽しそうに片足を大きくふりあげた。
そしてその巨大な足の真下には、部長たちが一塊に集まっていた。
部長は、
「・・・、もうダメか。 こんな広い砂浜で隠れることも逃げることもできない。」
ダイちゃんは石本に、
「あいつお前なんだろ。 責任とってなんとかしろよ。」
「そんなこと言ったって・・・」
そうこうしている内に、上空では
「じゃあね〜。 こびとさん達〜。」
今にも巨大な足が踏み落とされようとしていた。
そのとき大ちゃんが、
「これ何だろう。 地面に埋まってたんだ。」
大ちゃんは、足元に落ちていたスイッチのようなものを拾ってみんなに見せた。
「もしかしてこれは! 押すんだ大ちゃん!!」
ポチッ・・・
ズズウウウウウウウン・・・・
子供のころの石本は力いっぱい足を踏み落とした。
「みんな踏み潰しちゃった。 気持ちいい〜」
足をどけて見ると、足跡だけがくっきりと残っていた。
「おもいっきりふんずけたから、跡形もないや。 さてと、もう一泳ぎしてこよーっと。」
子供のころの石本は、再び海の方に歩いていった。
そして・・・
「うわあああああ・・・」
「・・・??」
「あれ?」
「た・・・助かった?」
部長たちは元の部屋に戻ってきていた。
「やっぱりあのスイッチがこの部屋に戻るためのものだったんだ。」
するとどこからか声が聞こえてきた。
「ハズレの部屋からよく戻ってこれたな。 思ったよりなかなかがんばってるじゃないか。
褒美にヒントをあげよう。」
「ヒントだって?」
「ああ、君たちがさっき入った部屋はハズレの部屋だ。
私のいる部屋につながっているドアはひとつだけ。
つまり、それ以外はすべてハズレの部屋というわけだ。」
「ハズレだと、さっきみたいになるってことか?」
「そうだ。 ハズレの部屋には時間移動機能付きの転送装置が仕掛けてある。
部屋に最初に入った者の過去の時間へ自動的に送り込まれるというわけだ。
普通の転送装置と違って、時間の移動はデータ量が膨大になってしまうのだ。
だから送り込まれるとき、体や能力の大きさを縮めた状態に変換されるのだ。
そして戻ってくるためのスイッチは同時に転送されるが、
どこに転送されるかはランダムで決まる。
つまりハズレの部屋に入って無事に戻ってくるには、過去の巨大な自分達に
殺されるまえにスイッチを探しだして押すことだ。」
声はそれだけ言ってとまった。
部長が、
「スイッチを見つけないと戻れないなんて・・・。 リスクがでかすぎるな。」
ダイちゃんが、
「何言ってんだよ。 正解のドアを当てればいいだけじゃん。」
大ちゃんは、
「でもこんなにあったらどれが正解かなんてわからないよ。」
すると部長は、
「そうだ。 さっきこう言ってただろ。 最初に入った者の過去に転送されるって。
さっきは石本が最初に入ったからあんな危険な目にあったが、
大ちゃんなら大丈夫なんじゃないか?
もしかしたらスイッチを探すのも手伝ってくれるかも。」
大ちゃんは、
「ええ、なんか恥ずかしいな。」
「ハズレを引いても、この作戦なら安心だろ?」
第502話
「うーん、じゃ今度はどこにしよう。」
大ちゃんが言った。大ちゃんが迷っていると、
「ここなんかいいんじゃない?」
石本は先程のドアのすぐ左にあるドアを開けた。
「じゃあ行くよ。」
大ちゃんが一番先に入ろうとしたとき、
「うわあっ!」
すぐ後ろにいた石本はドアのところでつまづいて倒れそうになった。
部長は、
「まずい!」
部長とダイちゃんが、後ろから石本を引っ張って支えようとした。
「しまった!」
部長とダイちゃんも先にドアに入った大ちゃん、石本に続いてドアの
向こう側へ入ってしまったのである。
「どっちが先に入ったと思う?」
部長が言った。石本は、
「僕じゃないよね。多分。」
「言われて見たらどうかなぁ。入る瞬間すぐ後ろで石本のお兄ちゃん
の声がしたけど。」
大ちゃんが言うと石本は、
「ほら。声だけだって。絶対僕じゃないよね。」
するとダイちゃんが石本を指差して言った。
「いやこいつの方が早かった。」
「でも仮にそうだとしても二回目で当たりってこともありだよね(^_^.)」
すると部長が、
「残念だが、またハズレの部屋のようだ。」
「そんなあ(;_:)」
すると大ちゃんが、
「でもここどこだろう。」
「君の過去なんだ。よく思い出してよ。」
石本が言うとダイちゃんが、
「どう見ても……。」
「もう順番なんてどうでもいいじゃないか(T_T)」
石本が言うと今度は部長が、
「いや、悪いが順番が俺たちの運命を左右すると言ってもいい。」
そのとき、
-グアアアァァッ-
ものすごい轟音が部長たちの耳に響いた。
「なんなんだこれは。」
「え?何か言った?」
ものすごい音で部長たちの声はかき消され、大声で叫んでもほとんど
聞き取れない。しばらくするとその轟音は止まった。部長は、
「何だったんだ。今のは。」
その直後何気なく後ろを振り向いた石本が青ざめた顔で声を出した。
「あ……。」
部長たちの後ろには巨人が寝ていた。先ほどの轟音は、巨人のいびき
だったのだ。ダイちゃんは、
「それみろ、やっぱりお前が先だったんだ。」
石本は、
「う……うん、中学時代の僕みたい。」
「でも寝ているから。大丈夫……。」
大ちゃんがそう言いかけたとき、中学時代の巨大な石本は、部長たちの
方へ寝返りをうとうとしていた。部長は、
「このままでは潰される。逃げるぞ。」
第503話
「うわああああああ・・・」
ゴゴゴゴゴゴ・・・・ズウウン
間一髪のところで全員、巨大石本の寝返りに巻き込まれるのに逃れた。
部長が、
「ふ〜・・・、なんとか助かったが、このままじゃまた危険な目にあうぞ。
寝ているうちにスイッチを見つけるんだ。」
「うん。」
みんなはスイッチを探し始めた。
が、大ちゃんだけが何か言いたそうな感じでもじもじしていた。
石本が、
「どうしたの?大ちゃん。 大ちゃんも探してよ。」
すると大ちゃんが、
「さっき、逃げるときにちらっと見えたんだけど。
巨大な石本のお兄ちゃんが寝てる下にスイッチのようなものが・・・」
部長が言った。
「なんだって!! それじゃあ、こいつが起きないとスイッチを取れないのか・・・。」
部長は石本にげんこつをくらわした。
ごつんっ
「何でお前は寝返りなんかするんだ。」
「いたああい。 ひどいよ部長。 寝返りしたのは過去の僕なのに。」
「過去も今もお前はお前だ。」
「そんなあ〜。」
「それより石本。 お前このころ、こびとを見たとか言う記憶はないよな?」
すると石本は、
「えーと・・・。 言いにくいんだけど。 あるかも。」
「なんだとおおおお。 それで、そのこびとをどうしたんだ?」
「んーと・・・。 ちょっと恥ずかしいから言えない・・・」
「何言ってるんだ。 お前の行動で俺たちの運命がかかってるんだぞ! 早く言え!」
「この頃、オナニー覚えたてで・・・その・・・。 こびとにかけたような・・・」
第504話
部長はしばらく考えていたが、
「そうだ、石本が起きたら……。」
「あの部長、僕起きてるんだけど……。」
ごつんっ
「部長(;_:)殴るのこれで二回目だよー。」
石本が泣きそうな顔で言った。部長は、
「あのでかいほうの石本に決まってるだろ(怒)」
するとダイちゃんが言った。
「そうだ、自分自身なんだから行動パターンはわかっているだろ。」
そのとき、
「う……うーん……。」
巨大な石本は、体を大きく動かし、起き上がろうとしている。部長は、
「おい石本、行って来い。」
石本は、
「いやだよー。」
そう言った石本は自分をにらみつける部長に驚き、
「わ、わかったよ。」
そう言った石本は仕方なく巨大な石本の方へ向かおうとしたとき、
大ちゃんは、
「あ、お兄ちゃんたち危ない!」
-ズドォォォン-
巨大な石本は、起き上がる時に手をついた。その場所に部長がいたのだ。
それを見た大ちゃんは、
「だ……大丈夫かなぁ……。」
するとダイちゃんが言った。
「もうだめかもな。」
すると石本が、
「そんなぁ……。」
ダイちゃんはダメ押しするように石本に、
「お前がもたもたするから悪いんだ。あいつに悪いと思わないのか。」
石本は半泣きで、
「ごめんなさい。僕はどうしたら……。」
大ちゃんは、
「そんな……。まだそうと決まったわけじゃ……。」
そのとき、
「う……。」
部長の苦しそうな声が聞こえてきた。部長は巨大石本のおろした手の
指の間にはさまれていて動けない状態になっていた。するとダイちゃんが
言った。
「そうだ、あいつを捕まえてるのはお前自身なんだから助けてやれよ。」
「えーっ、こわいよー。」
石本がそう言った直後、
「うわあっ!」
部長の声が響いた。巨大石本は起き上がり、部長のはさまった手を上げ、
自分の顔の前に持っていった。巨大石本は、
「う、うーん。なんだろ?」
「こらー、石本ー。」
持ち上げられた部長は、必死で動くはずのない巨大石本の指を押し広げ
ようとしながら叫んだ。それを見た巨大石本は、
「わー、こびとだ。ほんとにいたんだ。小さな時海岸で見たのは夢じゃ
なかったんだ。」
しばらく手の中の部長を見つめていた巨大石本は、
「そうだ、面白いことを考えた。」
第505話
巨大石本は部長を握りなおすと、自分のパンツをスルリとおろした。
すると、まだ未成熟で小さめのチンコが姿を現した。
小さめと言っても今の部長たちの何倍も大きい。
ダイちゃんが言った。
「おい。面白いことって、何を思いついたんだ?」
石本は、
「えーと、それは見てればわかると思うし・・・」
「あいつが行動する前に聞かないと、先に作戦たてられないだろ!」
「うーん、ちょっとチンコにね・・・」
「チンコにどうしたんだ?」
「・・・。 あっ、ほらもう始めちゃったよ。」
巨大石本は部長を握っている反対の手で、自分のチンコをいじっていた。
皮に包まれたチンコを剥いていたのだ。
真っ赤になった亀頭が現れると、周囲にツンとした匂いが広がった。
そして部長を握っている手をゆっくりと開いて言った。
「さぁ、気持ちいいことさせてもらうぞ〜。」
そういうと、部長を摘んで亀頭に乗せた。
「じっとしてろよ。 もうお前は僕のおもちゃなんだ。
どうがんばっても逃げられないんだからな。」
「お・・おいっ」
部長が叫ぼうとしたが、突然暗闇に覆われた。
巨大石本が、剥いていたチンコの皮を戻したのだ。
亀頭の上に乗せられていた部長を巻き込んで皮は元通り亀頭を包み込んだ。
部長がいる部分だけ膨らんでいて、部長がもがくたびにもぞもぞと動いていた。
「ああ・・・、こりゃ思ってたより気持ちいいぞ〜。」
第506話
「こらー、やめろー、石本ぉ〜!」
巨大石本のチンコの中で部長が叫びながら暴れる。そんなことを
したところで巨大石本にとって気持ちいいだけで、どうにもならない。
「どうしよう……。」
下から見上げているだけの大ちゃんが言う。ダイちゃんは、
「心配するなよ。あそこに有るのが例のスイッチじゃないのか。」
「ほんとだ。」
「と、言うわけで押して来いよ。」
ダイちゃんは石本に言う。石本は、
「そんな〜。一人じゃこわいよ〜。ついてきてよ〜。」
そうしているうちにも巨大石本のチンコの中の部長はなんとかしようと
必死で叫ぼうとする。
「やめ……う……。」
巨大石本はチンコの皮の上から、部長を押さえつけた。巨大石本は、
「うるさいなー。静かにしないと、そのままつぶしちゃうよ。」
「く……。」
上からものすごい力で押さえつけられ、部長はほとんど話すことすら
出来ない状態だった。部長は、
(このままでは潰されてしまう。誰か早くスイッチを押してくれ……。)
そのときである。
-ズボッ-
一瞬、部長は何が起こったのかわからなかったが、しばらくして状況を
理解した。
(ここは……。)
巨大石本にチンコの皮の上から押さえつけられた部長は、尿道に
入り込んでしまったのだ。
(このままでは、たいへんなことに……。)
部長は必死で脱出しようと体をよじろうとするが、当然脱出など
無理である。巨大石本は、
「なんかすごく気持ちよくなってきた。もっとがんばれ。」
(苦しいが、なるべく動かないほうがいいのか……。もし動けば……。)
部長はがまんしてなるべく動かないようにしたのだ。すると巨大石本、
「何だよ。もう終わり?怠けるとつぶしちゃうよ。」
またもや巨大石本はチンコの皮の上から、部長を押さえつけた。
(やめロー石本。潰れる〜。)
部長は反射的に再び体をよじろうとする。
「ほらほら。潰されたくなかったらがんばれ〜。」
巨大石本はチンコの皮の上から部長をつんつんつっつく。それは
部長にとってはものすごい衝撃である。その衝撃の中で部長の意識は
遠のきつつあった。
第507話
ダイちゃんが石本に言った。
「早くスイッチ押してこいよ。」
「そ・・そんなこと言ったって・・・」
スイッチは巨大石本が寝ていた場所にあった。
つまり、今は巨大石本が座っている後ろにあるのだ。
もしスイッチに近づいたとき、巨大石本が後ろにもたれかかってきたら
ひとたまりもない。
だが、石本は嫌がりながらも少しずつスイッチの方向に歩き出していた。
能力は制限されているが、石本を移動させるぐらいの効力は残っているのだ。
「かってに近づいていっちゃうよ・・・。ダイちゃん止めてよ。」
「スイッチ押すだけだろ。 早く行けよ。」
そして、もう少しでスイッチのところにたどり着くときだった。
「ああー、ここにもこびとがいる!」
もう少しというところで石本が巨大石本に捕まってしまった。
ダイちゃんは、
「もう・・、何やってるんだよあいつ。
さっさと押してくればこんなことにならなかったのに。」
巨大石本は、反対側に座りなおした。
「お前には何をしてやろうかなー?
そうだ、僕の精液の中で泳いでもらっちゃおう。」
巨大石本はそう言うと、石本をポイっと自分の股間の前に落とした。
「ちょっと、僕だよ。 わからないの?
未来の自分なんだよ、こんなことやめて。」
石本は必死で叫んだが、巨大石本には届かなかった。
「ああ・・・気持ちいい・・・・」
巨大石本のチンコの中で、我慢できなくなった部長が
遠のく意識の中でもがきだしたのだ。
巨大石本のチンコは刺激され、急激に勃起していった。
「ああ、すごい。 すぐにイッちゃいそう。」
巨大石本のチンコは、今にも精液を吹き出しそうな勢いだった。
「や・・やめて・・・」
石本はその迫力に押されてへたり込んだ。
そのとき、手をついた場所に何かが当たった。
「ん? あ、す・・スイッチだ。 スイッチがあった。」
石本が落とされた場所は、スイッチのすぐ近くだったのだ。
そして石本がスイッチを押そうとしたときだった。
「あ・・・あう。」
ドッパーン・・・
巨大石本のチンコから大量の精液が吹き出した。
もちろん、部長も精液に巻き込まれいっしょに押し出されてきた。
巨大石本は、下にいる石本にチンコの先を向けていたため
石本にまともにかかった。
「ゴポ・・・ゴポポ・・」
石本も部長も、大量の精液に包まれて身動きがとれない。
(こ・・このままじゃ、自分の精液でおぼれちゃう・・・)
石本は必死でスイッチに手をやり、押した。
ポチッ
巨大石本は、
「ふいー、気持ちよかった。 やっぱりこびとで遊ぶのは気持ちいいな。」
自分の出した精液から、こびとを取り出そうと指で探ってみた。
「あれ? こびとがいない。 こびとって、精液で溶けちゃうのか。」
そして、スイッチを押してもとの部屋にもどってきた部長たち。
「はあはあはあ・・・・た・・助かったのか。」
大ちゃんが、
「危なかったね。 スイッチ押すのが遅かったらどうなってたか・・・」
第508話
「こわかったよー。」
石本がそう言った。部長は、
「だいたいお前が悪いんだ。今度は一番後から入れ。」
「わかったよ(;_:)」
「じゃあ行くよ。」
みんなはドアのところに大ちゃんが先頭に一列に並んだ。もちろん
石本は一番後である。大ちゃんは、ドアを開けて入り、みんなはその後に
続いた。その先は真っ暗だった。部長は、
「何も見えないな。」
「もうハズレの部屋はいやだよ。」
石本がそう言ったあとでダイちゃんが、
「お前が言うな。」
「でも今度こそ当たりだといいね。」
大ちゃんが言った。その直後、
-ズーン、ズーン、ズシーン-
「誰か来るよ。」
石本が言った。ダイちゃんが大ちゃんに、
「今度そそ一番に入ったんだろ。小さいころの……。」
-パチン-
電灯がつけられ、周りが明るくなった。それを見上げていたダイちゃんが、
「おい、だれだよあいつ。」
部長が、
「大声を出すな。気づかれるぞ。」
電灯をつけた巨人(もちろん、部長たちから見た場合のだが)は、
部長たちに気づいていないようだ。そのとき大ちゃんは、
「思い出した。いとこの淳兄ちゃんの家だ。小学校二年くらいまで
よくお泊りしていたんだ。」
石本が、
「なーんだ。大ちゃんのいとこだったのか。よかった。」
大ちゃんはしばらく考えていたが、
「そうだ、クラブの練習で帰りが遅くなったとき、こびとを見たって
言ってたことがあったんだ。僕はそのとき寝ていて知らなかったんだ。」
「寝ていたのかよ。」
ダイちゃんが言った。そのとき上から、
「あっ、こびとだ。」
第509話
「へ〜、こびとってほんとにいるんだな。 空想のものだと思ってた。」
淳兄ちゃんはしゃがんで、いろんな角度から部長たちを見ている。
部長が、
「どうする? 大ちゃんの過去でも、他のやつに見つかったら意味が無いよな。
淳兄ちゃんってのは、どういう性格なんだ?」
大ちゃんが、
「淳兄ちゃんは優しい人だよ。 いつもいっしょに遊んでくれたし。」
「じゃあこのとき、こびとを見て何をしたのか聞いた?」
「うーん、そこまでは・・・。
実はあんまり信じてなかったというか、
夢の話だと思って詳しくは聞かなかったんだ。」
「そうか・・・。」
すると石本が、
「大ちゃんのいとこなら大丈夫だって。
大ちゃんだって優しい人って言ってるんだし。
いっしょにスイッチ探してもらおうよ。」
部長が、
「いや。優しいのかもしれないが、それは大ちゃんに対してだろ。
こびとにまで優しいかわからないだろ。」
だが石本は、
「大丈夫。 僕に任せて。 ちゃんと説明すればわかってくれるから。」
そういうと勝手に巨大な淳兄ちゃんの方に近づいて言った。
淳兄ちゃんは、1匹だけ近づいてきたこびとを不思議そうに見つめた。
石本は出来る限り大声で言った。
「お願いがあるんだけどーーー。」
淳兄ちゃんは少し驚いた顔をして言った。
「お、しゃべれるのか。 ん? お願い?」
石本は続けた。
「僕たちは別のところから来たんだけどーーー、
スイッチを探して押さないと元の場所にもどれないんだよーーー。
スイッチ探すの手伝ってくれないーーー?」
淳兄ちゃんは独り言のようにつぶやいた。
「ふむ・・・スイッチか・・・。」
そして少し考えた後、
「うん、いいよ。 探してあげる。」
石本はうれしそうに部長たちのところにもどって行った。
「ほらね、探してくれるって。 僕のおかげだよ。」
だが部長は少し不安げに、
「うーん・・・、ほんとに信用していいんだろうか・・・」
ダイちゃんは、
「まあ、探してくれるんならいいじゃん。
あいつみたいにすぐに踏み潰そうとするようなことはなさそうだし。」
そして、淳兄ちゃんを含めて全員でスイッチ探しが始まった。
部長たちのサイズでは探せる範囲も狭くなかなかみつからない。
が、さすがに巨大な淳兄ちゃんは短時間で部屋中を見わたれるだけあった。
「ん? これかな?」
淳兄ちゃんにとっては、爪の先で摘むぐらいの小さなものだったが
器用に人差し指に乗せた。
そしてその指を部長たちの方へ近づけて見せた。
「これがそのスイッチ?」
石本は、
「そう、それだ。 今回はなにもなく帰れるー。 ありがとー。」
不安だった部長も、少し安心した。
だが、石本がスイッチを取りに行こうと指に近づいたときだった。
目の前にあった巨大な指が突然上に上がっていった。
石本は、
「ちょ・・ちょっと、そんな高いと取れないよー。」
すると淳兄ちゃんは、
「取る? 誰が渡すって言った? 僕は探すって言っただけだよ。」
「ええー、そ・・そんなー。」
石本はとぼとぼとみんなのところにもどった。
部長が、
「やっぱり・・・。 なんか裏があるような気がしたんだ。
それに、石本が勝手に何かするときはいつもろくなことにならない。」
「そんなこと言ったって・・・」
淳兄ちゃんは指にスイッチを乗せたまま立ち上がった。
「そうだなー。このままじゃかわいそうだしチャンスをやるとするか。」
淳兄ちゃんはそう言って、まわりを見渡した。
そして少し離れたところで寝ている巨大大ちゃんに目を止めた。
スイッチ探しに夢中でさっきまで気づかなかったが、
奥に過去の大ちゃんが寝ていたのだ。
丸々とした体でズボンが少しずり下がり、巨大な半ケツを見せて寝ていた。
大ちゃんは、
「うわ、ちょ・・ちょっと見ないで。 恥ずかしいよ。」
淳兄ちゃんは寝ている大ちゃんの方に近づいていった。
「よく寝てるなー。」
そう言ったかと思うと、半ケツのズボンを更にずらして
大ちゃんの尻が完全に出てしまった。
淳兄ちゃんはニヤニヤしながら部長たちの方を見て言った。
「スイッチはこの中にしまっておくよ。 欲しいなら勝手に取りにくれば?」
そういうと、スイッチを乗せた指を大ちゃんの尻に突っ込んだ。
「手、あらってことーっと。」
淳兄ちゃんは、大ちゃんの尻にスイッチを入れ終わると部屋から出て行った。
部長たちは巨大大ちゃんの寝ているところに向かっていった。
部長たちからすると、大ちゃんの巨尻は視界一面に広がる肉の壁だった。
大ちゃんは、
「こんなのひどいよー。
淳兄ちゃん優しい人だと思ってたのにこんなことしてたなんて。」
第510話
しばらく部長たちは巨大な過去の大ちゃんの尻を見上げていたが、
「仕方がない。スイッチを押さないことには戻れないんだからな。」
するとダイちゃんが石本に、
「そうだ、お前とって来いよ。いや、取って来なくてもスイッチ押して
こい。お前のせいだからな。」
「そんなー。それにどうやってあんなところへ登るの?」
「淳兄ちゃんとか言うやつがさっきずらしたズボンの端を登れば
いいだろ。」
石本は仕方なく巨大な過去の大ちゃんのずらされたパジャマのズボンの
端を上り始めた。しばらくすると、
-ズン、ズン、ズシーン、ズシーン-
先ほど出て行った淳兄ちゃんが戻ってきたのだ。
「うわわわっ!」
淳兄ちゃんの歩く振動で石本は自分の登っていた巨大な過去の大ちゃんの
ズボンの端から落ちそうになったが、必死でつかまり難を逃れた。
淳兄ちゃんは過去の大ちゃんを見て、
「よく寝てルナー。」
淳兄ちゃんは過去の大ちゃんの所まで近づいてしゃがみ、ズボンの端で
必死に体勢を立て直そうとしている石本を観察していた。淳兄ちゃんは、
「ふーん、こんなことしてるんだ。他のみんなは登らないのかい?」
すると部長は、
「万一のことを考えたら、犠牲は少ないほうがいいからな。」
「そんなー、部長まであんまりだよー(T_T)」
石本が泣きそうな声で言った。そういいながらも彼はズボンからなんとか
巨大な過去の大ちゃんの尻に乗り移り、穴のところまでやってきた。
そして、その中に入ろうとする。
「うーん、うーん。」
石本は巨大な過去の大ちゃんの尻の穴から中に入ろうとするが、
巨大な肉の塊はまったく動こうとしない。石本は、
「だめだよー、どうしても中には入れそうもないよ。」
すると淳兄ちゃんは、
「中に入るのは無理そうだから手伝ってやるか。」
そう言ってその場から離れ、近くの引き出しから何かを取り出した。
それは綿棒だった。再び淳兄ちゃんは過去の大ちゃんの所まで近づいて
しゃがみ、石本に綿棒を押し当てた。石本は、
「うわっ、何するんだよー。潰れちゃうー。」
それでも淳兄ちゃんは石本を綿棒で押し続けた。
-ずぶぶっ-
石本はそのまま押し込まれ、巨大な過去の大ちゃんの尻の穴の中で
動けなくなってしまった。
第511話
「うう・・・苦しい、これじゃあスイッチなんて探せないよー。」
石本は必死に動こうとしたが、まったく身動きが取れない。
それどころか、巨大な大ちゃんの尻の肉に今にも押しつぶされそうだった。
下では部長たちが、石本がスイッチを押すのを待っている。
「なかなか元の部屋にもどらない・・・。 あいつなにやってるんだ。」
そのとき巨大大ちゃんが少し動いた。
「ううん・・・」
巨大な尻を少し突き上げたのだ。
そして・・・
ブオオオオオオオ!!
ものすごい爆発音のような音が響き渡った。
巨大大ちゃんがおならをしたのだ。
もちろん尻の穴に詰め込まれていた石本もいっしょに吹き出てきた。
放物線を描いて石本は床に落ちた。
「い・・・いたたた・・・。」
それを見た淳兄ちゃんは、ゲラゲラと大笑いをしている。
部長たちは石本に駆け寄った。
「おい、スイッチはどうした?」
石本が、
「ひどいよー、僕の体を先に心配してよ。」
「今は元の部屋にもどることの方が重要だろ。」
するとダイちゃんが、
「う・・・。 お前臭すぎ。」
「尻に詰め込まれたんだから仕方ないでしょー。」
「近寄るなよ。」
「それにしても大ちゃんがあんなものすごいおならをするなんて。」
大ちゃんは顔を真っ赤にして言った。
「そ・・そんなこと言わないでよー。恥ずかしいんだから。
そんなことよりスイッチを探さないと。」
部長も、
「そうだな、今のおならでスイッチもどこかに飛び出したはずだ。」
ダイちゃんが、
「よし、今度こそあいつより先に見つけるんだ。」
第512話
部長たちは散らばり、スイッチを探しはじめた。が、なかなか
見つからない。淳兄ちゃんは座ってにやにやしながらその様子を見ていた。
そのとき、
「あっ、あれは例のスイッチじゃ……。」
淳兄ちゃんが床に手を伸ばそうとした方向へ部長が走る。
「くそっ、取られてたまるか。」
淳兄ちゃんは、スイッチではなく部長をつまみあげた。
「やーい。だまされた。」
淳兄ちゃんはうれしそうに先程つまみあげた部長を見つめて言った。
部長は、
「俺にかまわずスイッチを探すんだ。」
淳兄ちゃんは、
「早く見つけないと、つぶしちゃうかも。」
そういって部長をつまむ力を少しだけ強くした。それでも部長にとっては
ものすごい力がかかる。大ちゃんが言った。
「ひどい。やめてよー。」
「だめだよ。スイッチを探すのをやめない限りね。」
部長がまさにピンチになったそのとき、ダイちゃんは足元に何かある
ことに気づいた。淳兄ちゃんはダイちゃんのことを気にもせず、
「みんな僕のペットになるんだ。さもないとこいつを潰しちゃうよ。」
そういって部長をつまむ力をさらに少しだけ強くした。
「うわあっ!」
部長にさらにとんでもない力がかかるが、どうすることもできない。
石本は、
「どうしよう。」
するとダイちゃんが、
「とっておきの必殺技、テレポートキック!!」
そういって足元に有ったスイッチを足で押した。次の瞬間、大ちゃんと
ダイちゃん、石本はもちろん、淳兄ちゃんがつまんでいた部長も消えた。
「しまった!逃げられた!!」
そのとき、寝ていた大ちゃんが目を覚ました。
「うーん、淳兄ちゃん、どうしたの?」
「こびとに逃げられた。そう、さっきこびとがいたんだ。」
「ふーん。」
大ちゃんは、ズボンをずらされているのも気づかずにまた寝てしまった。
「もう僕が機転をきかさなかったら、みんなどうなっていたか
わからないよ。」
ダイちゃんが自慢げに言う。部長は、
「とにかく助かった。」
が、戻ってきたみんなは重大な異変に気づいた。たくさんあったドアは
消え、ひとつだけになっていたのだ。
「よかったー。これでハズレの部屋に行かなくてすむ。」
たったひとつのドアはこともあろうに石本の前にあったのだ。石本は
みんなが止めるのも聞かずにそのドアを開けた。
第513話
部長が言った。
「おい、石本。 勝手なことするなと言ってるだろ。」
だが石本は、
「でももう正解のドアしかないから、ここを進むしかないですよ。」
部長が、
「そんなことはわかってる。 だが、ほんとに正解かどうかわからないだろ。
もし正解だったとしても、どんな罠が仕掛けられてるかも
わからないんだぞ。」
石本は部長の話を最後まで聞かずにドアの向こうに進んでいった。
「あいつはほんとに・・・・、俺たちもあとを追おう。」
部長たちも石本の後からドアの向こうに進んで行った。
ドアの向こうは、すごく長い廊下になっていて
先に何があるのかよくわからない。
そして部長たちの少し前を石本が歩いている。
あきらかにハズレのときとは違う感じだった。
石本が、
「部長、正解だったでしょ。 ただの長い廊下だから安全ですよ。」
そのとき部長たちの後ろでガチャンと音がした。
部長たちが振り返って見ると、さっき通り抜けたドアが勝手に閉まっていた。
「・・・。 なんか悪い予感がするな。」
第514話
「そうだ。これが正しいドアだ思うんならお前そのまま先に行けよ。」
ダイちゃんが石本に言った。石本は、
「なんだかそういわれると不安になってきたよ。」
「石本、大体お前は後先考えずに行動するからな。」
すると大ちゃんは、
「でも、前に行くしかないんでしょ。もし何かあってもみんなで力を
あわせれば何とかなるよ。」
「そうだな。」
部長が言うと石本は、
「ありがとう。」
「別にお前のために言ったわけじゃないぞ。」
部長が言った。石本は、
「そんなー。でも……。」
そのときダイちゃんは石本に、
「何やってるんだ。一番先に入ったんだから、一番先に行けって
言ったろ。」
「わかったよ。」
石本を先頭に部長たちは長い廊下を歩いていった。そこは静かで、
部長たちの歩く足音だけが響いていた。しばらく歩いていると、
廊下は終り、突き当たりに大きめの両開きのドアがあった。部長は、
「石本、開けろ。」
石本はドアを開けた。
-ギィィィィッ-
ドアの向こうは明るい部屋だった。ドアの向こうにはビーミが
待っていた。部長たちと同じサイズで。
「おめでとう。よくやった。」
「何だよ。よくやったって。馬鹿にしているのか?」
ダイちゃんは怒ったような感じで言う。ビーミは、
「いや、実は君たちを試していたのだ。約束どおり元通りにこの星の
住民たちが暮らせるようにしておいた。」
「急にそういわれても信用できない。それに、試していたってどういう
ことなんだ。こっちは何度も死にそうな目にあったんだ。」
部長が言うとビーミは、
「だがそれはすまなかった。しかし、もし失敗して君たちの命に危険が
及びそうになったら、すぐにでも元の場所に戻すつもりだった。
実は君達がマジューイを追って居るということを知ってワープゲートを
遠隔操作し、この星へ来るようにしたのだ。そして君達がマジューイを
捕まえられるか試した。」
大ちゃんが、
「そういえば、それが原因でこの星へ来たんだっけ。」
「嘘だ。そんなことまでして、さてはお前マジューイの仲間だな。」
ダイちゃんが言う。
「以前はそうだったが、今は違う。」
「何だよ。悪人どうしで仲間割れか?」
ダイちゃんが言う。
「彼はもともとこの研究プロジェクトの一員だったが、研究データを
持ち出して悪用しているのだ。」
部長が、
「そういえば今思い出したが、黒の巨人って何なんだ?」
「この施設の保守点検や周辺調査のための生体ロボットなのだ。外見から
この星の住民には怖がられているが、本来人には危害を加えないはずだ。」
部長は、
「どうも納得がいかないな。」
「君たちを試すために悪役に徹したといってもすぐに信用しないだろう。
だが、マジューイに関する情報は伝えよう。今はおそらくワッカーマ星に
居るはずだ。君たちに必要だと思うものはミッソに届けさせた。」
そして、部長たちは宇宙船に戻り、ワッカーマ星に向かうことになるまで
それほど時間はかからなかった。部長は、
「あれだけ大変な目にあったのに、ラストはあっさりだったな。」
大ちゃんは、
「ビーミって本当は、いい人だったのかなぁ。みんなちゃんと元通りに仲良く
暮らせるようにしてくれていたし。」
ダイちゃんは、
「まだあいつのこと信用してないからな。きっと僕にやられるのが怖くて、
みんなを元に戻したんだよ。」
そこへサンドが来て、
「ミッソという人が突然現れて食料と宇宙船の燃料を持ってきてくれたの。
念のため後で調べたけど、異常はなかったわ。」
大ちゃんは、
「ええっ、そうなの?」
部長は、
「あいつがいいやつか悪いやつだったかどうかは、ワッカーマ星についたら
わかるだろう。」
そして宇宙船は、ワッカーマ星に到着した。
第515話
宇宙船はとりあえず、様子を見るために森に着陸した。
部長が、
「ここがワッカーマ星か。 マジューイがこの星のどこかにいるんだな。」
サンドが、
「そうね。 でも、この星にいるとわかってもこの星のどこにいるかを
突き止めるにはもっと調べないとわからないわね。」
ダイちゃんが、
「よし、僕をリーダーに調査隊を結成する。 てはじめにこのあたりを調査しに行くぞ。」
大ちゃんが、
「ちょっとダイちゃん、勝手にそんなこと言って。
まだまわりの状況がわかってないんだよ。」
「何言ってるんだよ。 わからないから調査しに行くんじゃないか。」
「そ、そうだけど。」
部長が、
「まぁ、調査するだけなら大ちゃんがいてくれれば大丈夫だろう。
もし危険な状態になったときは、大ちゃんが宇宙船に戻してくれればいい。」
「うん、わかった。」
ということで、ダイちゃんたちは宇宙船から降りてこのあたりを調べることにした。
部長が、近くに生えていた草の葉を見ていった。
「微妙にだが、全体的に少し大きくないか? 木も高く感じる。」
大ちゃんも、
「うん、少しだけ普通より大きいかも。」
ダイちゃんが、
「ってことは、ここの住人も少し大き目ってことかな。
まぁ、どんなに大きいやつがでてきても僕の敵じゃないけどね。」
第516話
部長たちはさらに森の奥の方へと歩いていく。
「うーん、なんか周りの植物が大きくなってない?」
大ちゃんが言った。
「なんだよ。植物が成長して大きくなるのは当たりまえだろ。」
ダイちゃんが言う。部長は、
「いや、確かにさっきより大きくなっている。」
「もしかして、成長がものすごく早いのかな?」
大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「まさか、なんなら少し調べてみる?」
部長たちは、立ち止まって周りの植物を調べはじめた。が、先程より
サイズが大きくなっているものの、特にかわった所はなかった。
「特にかわった所はないな。もしかするとおくに行くほど大きくなって
いるのかもしれない。もう少し先に行ってみよう。」
部長も消えた。が言うとダイちゃんが、
「それはリーダーの僕が決めることだよ。」
そのとき、
「おい、お前たちどこへ行くつもりだ!」
後ろからの声に、部長たちは振り向いた。そこには見たこともない男が
立っていた。ダイちゃんが言う。
「なんだ。人がいるじゃん。誰も僕たち以外誰もいないと思っていた。」
男が、
「お前たち何者だ。この先は勝手に入ったら大変なことになるんだぞ。」
すると大ちゃんが、
「あっ、ごめんなさい。僕たちあの、マジューイって人を探してる
んですけど。」
「マジューイ?聞いたことないな。とにかくここから離れろ。」
するとダイちゃんが、
「何だよえらそうに。知らなかったんだから仕方ないだろ。」
そう言ってダイちゃんが巨大化のポーズをとろうしたそのとき、
-ゴゴゴ……-
どこからともなく、大きな地鳴りのような音が聞こえ、それがだんだん
大きくなっていく。先ほどの男、ちなみに名前はフィキヨという。
フィキヨは、
「ほら、言わんこっちゃない。あいつが怒ったんだ。」
大ちゃんが、
「あいつって、誰のことなんだろ。マジューイのことかな?」
そのときである。
-ズバアッ-
突然土の下から巨大な手が現れ。フィキヨをつかんだ。
第517話
巨大な手は、フィキヨをつかんだまま締め付ける。
フィキヨは苦しみながら叫んだ。
「俺じゃない。 あいつらだ。 あいつらが勝手に入ろうとしたから
注意しただけなんだ。 助けてくれー。」
それでも巨大な手は、フィキヨを掴んだままはなさない。
大ちゃんが、
「ねえ、あの人僕たちのせいで捕まっちゃったよ。 助けてあげようよ。」
ダイちゃんは、
「うーん、でもあいついきなり偉そうだったしなー。」
部長が、
「助ければ何か情報を聞き出せるかもしれないぞ。 大ちゃん、頼む。」
「はい。」
ダイちゃんは、
「おい、リーダーは僕だぞ。 どうするかは僕に相談しろ。」
部長が、
「はいはい、リーダーさん助けて情報を聞き出しましょうね。」
「・・・、なんかムカつく言い方に聞こえたけど。 まあいいか。 よし、助けろ!」
大ちゃんは、巨大な手に向かって念じ始めた。
すると巨大な手はシュルシュルと縮み始め、フィキヨを掴めなくなってはなした。
その隙に大ちゃんが、小さくなった手に落ちていた小枝を握らせた。
手はフィキヨを握りなおせたと勘違いして、まだグイグイと握り締めている。
しばらくすると、手が地面から出てきて全体の姿を現した。
そして、
「これ以上先に行くやつは、握りつぶして・・・ あれ?」
握ってるのが小枝だったと知って、驚いている。
ダイちゃんが近づいていって言った。
「こっちだよこっち。」
第518話
「な、なんだおまえら?」
地面から出てきた男は辺りを見回した後、大ちゃんや部長たちを見つけて
いった。
「……て言うか、どうなってるのだこれは?」
ダイちゃんや大ちゃん、部長はそれを見てニヤニヤし、フィキヨは
きょとんとしている。
「もしかして、俺……。小さくなったのか?」
ダイちゃんが、
「なんならもっと小さくしてやろうか。それとも僕が大きくなって踏み
つぶしてやろうか。」
「うわぁぁぁっ!」
地面から出てきた男はそう叫んで走り出し、森の奥へと消えた。
ダイちゃんは、
「ちょっと、やりすぎたかな。まあ、逃げたやつはしょうがないとして、
情報は聞き出せそうだな。」
フィキヨは、
「助かった……。でもここからは立ち去ったほうがいい。」
部長は、
「一体どういうことなんだ。」
「もともと、ここはやつらの……。ここでは困る。私の家に案内しよう。」
フィキヨに案内され、部長たちは洞窟の奥へ入っていく。部長は、
「一体こんなところへつれてきて、どうするつもりなんだ。」
「もしも何かあったら、僕が巨大化して……。」
ダイちゃんがう言うと大ちゃんが、
「だめだよ。そんなことしたら洞窟が……。」
「言ってみただけだよ。」
フィキヨと部長たちは洞窟の中を進んでいくと急に広くなった。部長は、
「何だここは。」
洞窟の奥には、地底都市が広がっていた。大ちゃんは、
「どうしてこんなところにみんな住んでいるの?」
フィキヨは、
「本来この星は巨人たちが住んでいた。そこへ訳有って私たちがやって
きた。巨人たちの住む領域には立ち入らないという約束で私たちが
住むのを許可されたのだ。」
「ふーん。」
フィキヨは、
「だから、約束を破って巨人たちの住む領域に入ってしまったら何を
されても文句は言えない。」
フィキヨの家は、町の中心部からやや離れたところに建てられた
一軒家だった。部長たちはフィキヨの家の居間に居る。部長は、
「一人で住むには割りと広い家だな。」
フィキヨは、
「私の名はフィキヨ。実は少し前まで兄のブギヒアと二人で住んでいた。」
部長は、
「なるほど、ところでお兄さんは……。」
「もしかして巨人にさらわれたとか。」
ダイちゃんが言うとフィキヨは、
「そうだ。兄は巨人の住む領域に近づきすぎてつかまってしまった。
あなたたちの不思議な力で助け出してほしい。」
第519話
「さっき、大きくなって踏み潰すとか言ってましたよね。
巨大化することもできるってことでしょ?
それなら巨人の領域に簡単に入れる。 兄を助けてください。」
ダイちゃんが得意げに言った。
「そうだぞ。 ヒーローだから巨大化なんて簡単にできるんだ。
ここで見せてやろうか?」
大ちゃんが慌ててダイちゃんを止めた。
「ちょっとダイちゃん。 こんなとこでやったら大パニックになるよ。」
「冗談に決まってるだろ。」
「もう・・」
部長が言った。
「だが、どう見ても巨人の領域の方が圧倒的に広そうだな。
簡単に入れたとしても、小さなこびとを見つけるのは
難しいかもしれないぞ?」
ダイちゃんも、
「そうだな。 それに巨人に捕まったってことは、
もう食われたりしてるんじゃない?」
するとフィキヨが、
「いえ、それがそうとも限らないんです。
何度か兄を助けようと巨人に近づこうとしたことがあって、
そのときに巨人たちが話してるのを聞いたんです。
捕まえたこびとはある場所に保管されて、巨人の王様や王子の
おもちゃとして使われるとか・・・。
兄はまだそこに保管されてるかもしれないんです。」
部長が、
「なるほど。 そのこびとの保管場所に行けば、まだ助けられる
可能性はあるな。」
「お願いです。 たとえこの街に住んでる者全員でかかっても、
巨人ひとりも倒せない・・・。 兄を、捕まってる人を助けてください。」
第520話
「でもなぜみんなはわざわざ巨人の住む領域に近づいたりするんだ?」
部長がフィキヨに尋ねる。
「実は私たちがここに来たのと大いに関係があるんです。」
「なんだよ。手っ取り早く言えよ。」
ダイちゃんが言う。
「私たちは元はノーガ星に住んでいたのです。滅んだノーガ星を復活
させるために巨人の住む領域にあるレビウィという鉱石に含まれる
レアメタルが必要なんです。裕福な巨人たちはレビウィから作られる
アクセサリを身につけているのです。」
大ちゃんが言った。
「でもそれじゃ……。」
「わかってます。でもほかに方法はないんです。巨人たちは自分たちの
領域に近づくのはもちろん、レビウィを一切分けてくれないのです。」
ダイちゃんが、
「よしわかった。ヒーローとして助けないわけにはいかないな。きっと
レビウィかというのをえさにみんなを集めてつかまえているのかも
知れない。」
「ありがとうございます。」
部長たちは、一旦宇宙船に戻ってそのことを伝えた後に再び巨人の住む
領域に向かった。
「よしこの辺でいいだろ。」
部長が言った。するとダイちゃんが、
「それはリーダーの僕が決めるんだ。」
そのとき、
-ゴゴゴ……-
再び例の地鳴りのような音が鳴り響く。大ちゃんが、
「ダイちゃん、あれは……。」
「よし。いいタイミングだ。」
ダイちゃんがいつものポーズをとり巨大化、大ちゃんは部長を巨大化
させた後に、自分の力で巨大化した。その直後地面の下から巨人(と
いっても部長たちと同サイズ)が現れた。そして部長たちを見て、
「おい、お前たち。このあたりにこびとを見かけなかったか?」