D.C.U 〜ダ・カーポU〜
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D.C.2は、D.C.の53年後の世界を描いたゲームで、前作音夢エンド後の初音島を舞台に物語が進められていきます。アニメ版とも繋がりがあるようなのですが、私はアニメの方は見ていないのでそれについては分かりません(^^; 実は私は、前作の批評やプレイ記でも触れていますが、シスプリを葬り去る原動力のひとつとなったD.C.にあまり良いイメージを持っていなかったりします。しかしながら、前作にはそれだけの人気を生み出す原画家七尾奈留がいたことは認めざるを得ません(私はそこまでは好きでは無いのですが)。そうです、D.C.の人気は彼の絵があってこそ! ちょっとこそばゆい程度のシナリオはD.C.にとっておまけでしかないのです。そう思っていました。 ……しかし、出ましたよ「2」が。七尾奈留がいないのに「2」が出たんですよ。出てしまったのですよ。つまり、今度のD.C.は絵で勝負することは不可能(どう見ても劣化七尾イラストです)。つまり、今度のD.C.は――いや、ひょっとすると前作からなのか――シナリオで勝負するつもりなのです。七尾絵は無くとも、D.C.のネームバリューは未だ健在。何とか上半期売り上げはナンバー1です。一体、ユーザーはこのゲームに何を期待したのか? そして、サーカスは何を企んでいたのか? それが今、明らかにされる……。 どこかで見た顔、どこかで見たシナリオ 本作は、クリスマスパーティー、冬休み、3学期から成る3部構成で、それぞれ最初にムービーが流れます。つまり、ムービーは全部で3つもあります。しかし、すべてイベントCGを流しながらキャラクター紹介をするだけで工夫が無いのが残念です。3学期になればプレイヤーもキャラクターを覚えているでしょうから、紹介する必要は無いわけですよ。この辺り、何か変わったものにしれくれればもっと良かったと思います。 キャラクター。これは言ってはいけないことなのかもしれませんが、敢えて言おう、劣化七尾絵であると! この言葉が一番しっくりきます。どのヒロインも七尾キャラのそっくりさん。しかも劣化具合が酷い。視線があっていなかったり顔と身体のバランスが悪かったりと、もう少しマトモな絵を見たかったです。いくら七尾奈留が抜けたからってここまでしなくとも……。まったく別の絵でも良いでは無いですか。少なくとも、本作は純粋にシナリオで勝負しようとしたわけではないようです。その一方で、性格付けや存在意義は合格。ヒロイン設定はシナリオのためにあり、このヒロインでないとシナリオが成り立たないようになっています。ヒロインが相互に関係しているために、一人欠けるとシナリオが成り立たないのも高得点。しかし、一番好印象だったのはサブキャラの使い方でしょうか。渉や杉並や茜や委員長、そしてゆず――どれも欠けてはならない存在です。サブキャラが上手く使えている辺りからはシナリオ勝負の片鱗は伺えるので、結論としては絵にオリジナリティーがあれば良かったということになります。七尾奈留の影を追いすぎたのが敗因でしょうか。 グラフィック。背景はムラッ気があります。桜の木などは上手なのですが、建物になるとそれ程でもなく。立ち絵パターンおよび表情パターンは多く塗りも丁寧なのですが、それだけに絵がおかしいのが残念。イベントCGの出来栄えは良好。立ち絵とイベントCGでここまで差が出るとは思いませんでした。 ゲーム性。ヒロインが表示されるマップ移動型ADGです。寝る前にラジオを聞いてから目覚まし時計をセットして起きる時間を決め、それによって会えるヒロインが変わる目覚ましシステムがあります。この時、ラジオによってどの時間に起きると誰に会えるかヒントが流れるのが面白いです。難易度は総じて低いかと。 演出。もしらばであったような、各キャラの後ろ向きの立ち絵があるのがグッド。加えて、後ろ向き絵とキャラのアップ絵を利用しての距離感の表現もされていたことも良かったです。一方、画面上を舞う桜の花弁の出来があまりにもチープ。雪は細かく結晶を象っているんですが、いまいちリアリティーが無い。次回の課題ですね。また、これは前作でも感じたことですが、何故エンディングとエピローグで二回もスタッフロールを流すんですかね。歌だけならまだしも、スタッフロールを繰り返す必要は無いと思うんですよ。前作と違ってヒロインごとにエンディングの歌を変えたのは評価出来ますが、スタッフロールは一工夫欲しかったなあ。 Hシーン。ヒロインによって回数が異なりますが、いずれも短い上に声優の演技が下手で実用性は皆無。全部純愛エッチです。まあ、コンシュマー移植を前提にしているのでしょうし、Hシーンが無くても問題ないでしょう。 テキスト。前作よりパロディーギャグが減り、特徴の無い文章が多くなりました。読みやすさの点では問題なし。テンポの点でも問題なし。後半は短すぎなので、もう少しじっくり惹き込む様な文が欲しかったところ。 シナリオ。3部構成で、第1部で仲良くなり、第2部で付き合い、第3部でヒロインの謎に迫る構成。第1〜2部でヒロインの可愛さと主人公の心情が丁寧に表されているものの、第3部が全体的に駆け足で描写不足の感が否めません。そこがこのゲームの勿体無さなのですが、長さとしては丁度良いです。面白いのは、小恋とななかと美夏が学園友情編、音姉と由夢と杏が初音島謎解き編といった感じで分かれているところ。ただ、どのシナリオもどこかで見た気がして、新鮮味が無いんですよね。ななか編など前作のことり編と同じ設定を引きずってますし、シナリオまで前作と同じにしなくても良いと思いました。 以下、人によってはネタバレかもしれないので反転→全体的にどうもONEっぽさを感じるのですがONEとは違って世界のシステム説明をきっちり行なっているのでギリギリ合格としましょう。ONEは目的のためにかの設定を使いましたが、D.C.2は世界観説明の手段として使っているわけですから、根本的に求めるものは違うのかもしれません。
結論から言えば、本作は確かにシナリオ勝負していました。メインヒロインすべてをクリアーすると、前作同様「D.C.編」が現れ、ここですべての謎が解明されます。各ヒロインのシナリオは、このD.C.編のために存在していると言っても過言ではないのです。D.C.2はすべてクリアーしなければ劣化版D.C.に終わります。D.C.編をクリアーしたときにその良さが分かるでしょう。 では、D.C.2はD.C.編で何を表したかったのか? それは、人は誰もが幸せになる権利を持っているということ。そして、幸せを実現するのは魔法ではないのです。いえ、魔法と言えるかもしれません……人々がお互いを想い合う優しい気持ちこそ、幸せを呼び起こすのであれば。D.C.――それは曲のはじめに戻る指示を意味する演奏記号。はじめに戻ったのは初音島とそこに住む人々。人は魔法などなくとも大丈夫です。何故なら、人は最初から幸せを手にする力を持っているのですから……。 ――纏めたところでひとつ疑問点。一体D.C.編のエピローグは何なんでしょう? ネタバレのため反転→純一がさくらを復活させたけどそれでパワーを失った純一は代わりに死んでしまったということなんでしょうか? まさかただの3への伏線ではないですよね? だとすれば、やはりサーカスは褒められたメーカーではないな……。違うことを祈ろう。 |