潮風の消える海に

ブランドlight 発売日2007.1.26
パッケージ版3150円 ダウンロード版2940円
ハードPC ディスク数DVD1枚
OSWin2000/XP ジャンルADG
原画ぽよよんろっく
水上ろんど
 シナリオ早狩武志
音楽樋口秀樹 
音声あり ボーカル曲あり

ストーリー
神奈川県横浜市鶴見区に広がる工業地帯。
意味などない、ただの行き止まりの、詰まったクソみたいな場所。
誰も来ないはずのこの場所でぼんやりと海を眺めていた進は、偶然、この場所に訪れた東上浩介と出会う。浩介はつまらなそうにしている進に話しかけ、水没したヨットの再生計画をもちかける。

「沈んでいるヨットを引き上げ、自分たちの手で再生して、何処か知らない場所に行きたい。」

そんなあまりに突拍子もない話をする浩介に惹かれ、進もヨットの修理を手伝うことになる。さらに複雑な家庭環境にコンプレックスを持つ榎木田美潮と明るくて穏やかな飲み屋の娘の椎木莉佳子がメンバーに加わり、4人はヨットを修理していく。
様々なトラブルやすれ違いが起こりつつも、4人はそれを乗り越え、絆を深めていく。
そして、進は自分と同じようなコンプレックスを持つ美潮にだんだんと惹かれ始めていき…

はたして4人は無事ヨットを完成させ、旅立つことができるのだろうか――?

キャラクター名私的お気に入り度声優属性
榎木田美潮■■■■■■■■ 8/10安玖深音お嬢様・強気
椎木莉佳子■■■■■■■■ 9/10佐本二厘正統派
東上浩介■■■■■■ 7/10杉崎和哉友人
宮地進■■■■■■ 6/10木島宇太主人公

主要搭載システム
BGM及びボーカル曲
●オートメッセージ
●スキップ(既読判定あり)
●バックログ
●バックログ中の音声
●オートセーブ
●クイックセーブ
●クイックロード
●CG鑑賞(クリアー後)
●シーン鑑賞(クリアー後)
●BGM?曲
●ED歌
 セイリング
 WHITE-LIPS
雑感
個人的名曲
 エロゲー業界で最も好きなシステムの一つがこのメーカー。オートメッセージも非常に細かく設定可能。シーン回想もHシーンだけではなく、全編にわたって回想シーンが設定されています。ただ、今回は音楽鑑賞がないのが残念です。そういえば、選択肢がないからオートセーブの意味がないのですが(笑)  私が好きな樋口氏が担当しているのですが、EDのセイリングとその歌なしバージョン 以外は、氏が過去に担当した僕と、僕らの夏Dear My Friendなどからそのまま流用しているのが非常に残念。音楽も楽しみにして買っているんですから、フル新規で作ってほしかったです。サウンドノベルは音楽が重要な要素の1つを占めています。そのゲームのために作られた音楽が無ければダメなんです……。よって、音楽得点は若干低め。

●セイリング
セイリング
(C)light
潮風に乗って……
早狩ファンとして……


 群青の空を越えてではボロクソに言いましたが、それでも私は早狩氏のファンのようです(笑) 結局、本作を購入したのもシナリオを早狩氏が担当しているからですしね。

 本作は、パッケージ版に先行して最近流行のダウンロード販売が行われています。これまでのlight作品はノンプロテクトでID認証を通してゲームをプレイ出来るという仕様でしたが、今回はコピープロテクトをかけて登録情報をlight側で徹底管理するアクティベーションシステムを導入してきました(詳細はリンク先参照)。メーカー側の意見も分かるのですが、パッケージ版を購入したのに、こういうことをされると所有している気が薄れるので好きではありません(ID認証も好きではありません)。これによって良いゲームがザクザク出てくるなら結果的には良いのですけどねぇ……。ゲーム熱が下がる原因は、ユーザー側より良いゲームを作れないメーカー側にあると思いますよ。開発費がコンシューマ業界より格段に低いからと言って、求められるレベルまで下がると勘違いしているメーカーが多すぎるんです。我々は馬鹿ではありません。その点をユーザーはきっちり理解しているから駄作を買わないだけなのです。現に、良作とされるFateや戦国ランスはID認証など導入しなくても売れています。その辺りの認識の差を埋めていかなければ、この業界はもっと……何の話だ? ともかく、私はパッケージ版を購入したのですが、内容はダウンロード版と同じですので。それと、驚いたのはメモリーが256MB以上、CPUがPenV600Mhz以上必須である点。割と高スペックを要求するゲームですので購入の際はお気を付けを。と言っても、今ではメモリー1GBでCPUもPenD1Ghz以上が当たり前なんでしょうかね?


友情ドラマ<恋愛ドラマ


■シナリオ
「壊れたヨットを4人で修理して旅に出る」青春ドラマ……だと思ったのですが、途中でヨットである必要がなくなっているのが悲しいところ。実際は、ヨット修理の中での友情よりも主人公とヒロインのドロドロした愛憎関係のウェイトが大きく「ヨットで旅立つ〜」は単なるきっかけに過ぎません。ですから、本編を進行していても「仲間4人で何かを成し遂げた」と言う達成感や爽快感より、常に主人公がコンプレックスと戦い続けるという圧迫感や閉塞感を覚えることが多かった点で予想外でした。その一方で、恋愛面で青春ドラマであったことは確かです。主人公は、自分が世界で一番不幸な奴だとくよくよ悩んでみたり、かと思うとヒロインに会いたいがために家の前に何日も張り込んでみたりと、とにかく情緒不安定。そんな中で必死に相手のことを理解しようとヒロインにアタックを仕掛けるもいつもそれが空回ってしまい、見ていられなくなった友人が助ける……そんな青臭さに溢れた話になっています。いつものように群像劇で語られるのですが、今回は主人公もヒロインも結構ひねくれているので、こちらまでヤキモキさせられてしまいました。そう考えると、私は主人公より主人公を見守る友人的な立場でゲームを進行していたのだなあと今更ながら思ってしまいました。以上から、本作のイメージとしては、クラブ活動的な友情劇ではなく昼ドラ的な恋愛劇を想像していただければ良いのかなと。

■キャラクター
 原画はぽよよんろっく氏。独特のぷにぷに感が抑えられていますので比較的万人向けの絵になっていると思いますが男が不気味。卑下しているわけではありませんが、天下の渡辺明夫も今ではすっかりエロゲー絵師ですね。
 キャラクターの相関図なのですが、コンプレックスを抱える主人公、主人公に無い物を持つ友人、コンプレックスを抱えるメインヒロイン、ヒロインに無い物を持つサブヒロイン……となっております。面白いのは、コンプレックスを抱えあう主人公とメインヒロインがくっ付く点で、相互補完ではなく謂わば傷の舐め合いと言う様相を呈しているのが特徴。よって、割れ鍋に綴じ蓋が成立せずに、支え合うつもりが支え合い切れないという展開に。シナリオと結びつくように意図的な性格付けがきっちりされていることが分かります。主人公にまでボイスが入っている点にも注目。

■テキスト
 早狩氏はよく主語を省略します。確かに我々(?)は物を考えるときにいちいち主語を付けて考えたりしませんので、感情描写としてはストレートで的確な表現と言えるのですが、読み手としては分かり難く感じるかもしれません。主人公に共感出来るか否かで評価が変わって来そうですね。理屈っぽく回り道をした表現ではないので、慣れの問題かもしれません。後、専門用語多すぎ。前回は戦闘機で今回はヨットですか。こだわりがあるのは分かるんですが、私はヨットの知識が無いので置いてけぼりでした。読み手に理解させるのもシナリオライターの腕の見せ所とは思うのですけれど……(と言いつつ早狩作品は好き)。

■演出
 オープニングムービーは実写の中にCGが挿入される形で、キャラクター紹介的な内容となっています。海のシーンでは海面が揺れていたりと細かなこだわりが感じられます(若干、処理が重い気がしますが……)。また、グラフィック項目でもあげましたが、ゲーム内時間が進行するとキャラクターの立ち絵が変わる演出から、キャラクターの成長を視覚的に実感出来たのでポイント高いです。

■ゲーム性
 1本道のシナリオで選択肢は一切ありません。プレイ時間は4時間弱とかなり短いゲームです。と言うかゲームではなくて読み物ですね。攻略出来るヒロインは1人だけ。音楽も使いまわしですし、費用対効果は薄い気が……。

■Hシーン
 2回あるのですが、1回目のHシーンでかなり重要な台詞があるので無くなるとまずいかもしれません。ただし、実用性は皆無。純粋な純愛系Hシーンと言えるかどうか微妙ですが、鬼畜ではありません。大問題として、メインヒロインにHシーンがあるのに対して、サブヒロインはHシーンはおろかポロリもありません。どうなってるんでしょう……ってHシーンには端から期待していないので怒ることもないのですが。

■グラフィック
 背景は非常に綺麗で見応えがあります。おそらく実写を丁寧に写生したものでしょう。今度聖地巡礼に行ってみるつもりです(笑) イベントCGは枚数が少なく、やや安定感を欠いています。塗りは良くも悪くもありませんが、キャラの顔が別人になりかけているものがあります。一方、立ち絵はパターンが多く、ゲーム内時間の経過によって絵が変わる点は嬉しかったですね。


総合得点■■■■■■ 63/100
おすすめ度■■■■■■  7/10
ボイス■■■■■■  7/10
シナリオ■■■■■■  7/10
テキスト■■■■■■■■  9/10
キャラクター1■■■■■■■■  8/10
キャラクター2■■■■■■■■  8/10
音楽■■■■■  5/10
演出■■■■■■  7/10
システム1■■■■■■■■  9/10
システム2  0/10
Hシーン1  0/5
Hシーン2■■■■■■  3/5
グラフィック1■■■■■■■■■■  5/5
グラフィック2■■■■■■  3/5
潮風とは


 潮風とは海上を吹く風のこと。潮風がないとヨットは進めません。主人公をヨットに例えると、美潮は潮風に相当します。つまり、美潮がいなければ主人公は先に進むことは出来ません。ヨットを進めるためには、波風を立てるしかありません。駄洒落のように感じますが、潮風のない海で主人公が先に進むためには――潮風を起こすには――仲間内で波風が立つ必要があったのです。本作は、潮風の消える海に潮風を起こすまでの物語。ゲーム終了時点で、主人公はようやくスタート地点に立つことが出来るのです。コンプレックスという行き止まりを解消して、終わりのないはるか先を目指す主人公の成長劇を温かい目で見守る……そんな第三者的視点で楽しむことが出来る作品。主人公に共感出来る人も共感出来ない人も、うまく包容出来る構成になっているので、青春ドラマと文章をじっくり読むのが好きな方にお勧めします。

 本編内でガツンときた台詞を(以下反転)>
 回想シーン「二度目の夏の終わり」で莉佳子から「どんな関係が必要なのよ! 友達じゃダメなの? 進くんって、女の子とは恋愛しか考えられないの? ……バカ! ガキ! 最低!」――これは響いたなぁ。恋愛ゲームをしていると、ヒロインを「攻略」する観点に立っている自分がいるので。

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