『最高のプレゼント〜サンジに捧ぐ男の命〜
3』
万が一、誰かが起きてもすぐには来なさそうな場所へと移る。
今夜だけは絶対に邪魔はされたくない。
綿密に。緻密に。用意周到に。移った先、格納庫に毛布まで用意していた。
己の完璧さに酔い痴れつつ、相手の仄かに興奮残る様に色めき立ちつつ、毛布の上にサンジの身体を横たえ、性急に服を脱がして行く。
「なんら……よっ、テメェはっ」
酔いもいい加減醒めかけているらしく、サンジが少しの抵抗を見せた。
元々、船で、仲間のいるところでする事には極端に抵抗を見せる。だから、あまりヤれない。
「何もクソもあっか。プレゼントだって言っただろう」
「……言ったか?」
「言った」
正確に。何がどう言うプレゼントかと言った覚えはなかったが、ゾロは言ったつもりなので言い切る。
「ヤりてェ……だけらろ、テメェ」
こんなのがプレゼントになるか。なってたまるか。そんな意味合い含め、サンジはゾロの肩を押し返した。
緩い抵抗は返って誘われている様にしかゾロには思えず、押されて退くよりも余計に身体を沈め、前を剥いだ服から覗く肌に口を寄せた。
色白の肌は少し吸いつくだけで赤い痕が浮かぶ。色付く様はゾロの興奮を煽り、余計に調子付かせ、
「ヤりたいのは当り前だ。だけどな……」
ゾロはサンジの顔が良く見える位置に戻るとニヤリ笑んだ。じゃれつく様に擦り寄ってサンジの右の耳朶の下を鼻の頭で擽り、そうして囁く。
「テメェに……最高の一発を贈りたいんだ」
「…………………………………………」
サンジは引いた。
引いた引いた。酔いまで引いた。
その引きっぷりは綱引き大会優勝チームくらいの勢いで、サンジはゾロの耳に届かないよう、配慮を以って口元から吐いて出る溜息を手で隠す。
ここは引くだろう。当然。
だが、そんな気分であったとしても、馬鹿な子ほど可愛いとも言う。サンジは呆れながらも、しょうがないと口元を覆うのに使った手をゾロの首元へと回し、誤魔化した。
普段なら呆れ、怒り、足が出る所なのにそう言う気分にならなかった自分に、
『ああ。俺、酔ってんだなァ……』
そう思った。
酔っ払っている事と、誕生日だからと言うことで気分が良いんだと己を解釈し、ゾロの耳許に溜息に熱っぽさを込めて吹きかける。
「バーカ……」
言葉とは裏腹に甘い響きの声。それに再び、ゾロは突き動かされた。
「ああ…ッ」
互いの熱が判るよう、伝え合うように。全て晒した肌を重ね、睦み合う。
身体に挟まるモノはすでに我慢の限界が近かったが、額に汗をふつふつと浮かせながら、ゾロは忍耐の二文字を己に課した。
有言実行。言葉通りのモノを贈るために。
最高の一発のためにも前戯は疎かに出来無いと。
普段は我慢が利かなくなるとすぐに突っ込むし、我慢の限界も早い。反して突っ込んでからの耐久力は長くて、おまけに芸もなく揺さぶって来る。相手にしている方はしんどいことこの上ない男が今日に限って緻密に、サンジの弱い箇所を丹念に愛撫繰り返していた。
前日に一人こっそりとヌきまくったおかげとも言えるが、それを知らないサンジは相手のあまりの執拗さに驚きが隠せない。
そして、猛るモノは最初に散々舐られ、煽られ、達する手前で意地悪く止められてからは緩く握られ、軽く摩られるだけ。感じるばかりでイけないもどかしさにサンジの方が焦れる。
「…オイッ」
息は弾み。声は絶え絶え。焦らされている事にサンジは右目だけでゾロを睨みつけた。
表情はキツイが頬は紅潮し、瞳は涙で潤み、それに感じるのは艶っぽさばかりで、ゾロの喉が思わず鳴る。
ゴクリ。
可愛いとか、愛おしいとか思うより先、『エロい』と下半身に忠実な感想をストレートに抱いた。
「ゾロっ…、テメェ……ッンッ」
「……なんだ?」
あ〜突っ込みてェ。
欲望に正直な事を考えながらも計画半ばの為に堪え、平然とした風を装ってゾロは返事をする。
だが、左手はワザとらしくサンジの脇腹を下から上へと摩り、硬く立ちっ放しの乳首の尖りを親指で弾くと身体全体が一緒にビクンッと跳ねた。
「う…あッ」
見ている側の口元がニマニマと弛む程に良い反応だ。普段から感じ易い身体とは言え、珍しい程粘着……いや、念入りな愛撫に追い詰められる所まで追い詰められ、もがき、悶えている様は滅多とない。
それを眺め見る事に愉悦を感じていた。
……と、言うか、普段は余程コトを性急にやっているのだと言う事にも気付いて、ゾロはちょっぴり反省した。
下半身で反り勃つサンジのモノは、その先から汁をとめどなく滴らせ、意地悪く摩るだけの手を濡らしている。
コトに及んですぐ、ソコは口にした。下着事、ズボンを脱がしたらまだ勃ちかけだったソレが見え、しっかり勃ち、ズボンの中で窮屈を訴えている自分のモノと比べて『まだ、この程度か』と思ったら即行で口にしていた。
舌と口腔で舐り上げ、煽る。
唾液で濡れた指で後の孔に触れると洩れる声が一段と艶帯びた。
指先を僅かに埋めるだけ。深く突っ込んでその感触を味わえば、自分の我慢が利かなくなるだけなので、それを考えて先ずは浅い位置だけで過ごす。
全てはシュミレーション通り。
奥まで来ない事に不満を覚えているのか、サンジの腰が欲しがるように揺らいでいたが、その不満は決して口にせず。ゾロは口にしていたモノをキツク吸い、孔から指を抜いて竿から根元を強く擦り上げた。
短く、覚束無い声が連続で上がり、その声の調子でイきそうになる寸前で口と手の動きを止める。
その先は肝心な箇所はおざなりに、どうでも良い様な、だけど孕んだ熱を逃さないだけの刺激感じる箇所へ徒に触れた。
寸前で断たれた射精感は辛い。
何度かサンジの手がもどかしい熱を逃そうと股間へ伸びたが、その度にゾロは手を払い、決してイくことを許さない。
腹立たしげに、不満そうに睨め付けて来るサンジに、ゾロはゾクゾクと感じ入りる。我慢を重ねている状況も考えるとややマゾ的快楽を感じているっぽい。
たまにはこんなのも良いもんだとしみじみ思いながら、計画の順調を思ってゾロはニンマリとほくそ笑んだ。
だが、まだまだだ。
そう。まだまだ。
「も……、いー加減にし……ろッ」
余裕ないサンジの声。熱い息がゾロの耳許にかかる。
違うだろう、サンジ。
それだけの言葉じゃその先は譲れねェ。
とことん焦らし、今日こそは……
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