美しい琴の音が部屋の空気を震わせている。
奏でているのはこの屋敷の主、最上伯爵の令嬢京子である。
「そこは、そうではなくて――」
屋敷出入りの琴の師匠、敦賀蓮が遮った。
「失礼します」
そう言って蓮は京子の背後から近付き、京子の手に
自分の手を添え、手ほどきしてやる。
計らずも華奢な身体を包み込む様な形になり、蓮の胸は高鳴った。
京子の美しい黒髪から漂う甘い香り・・・・。
不埒な想いから逃れる様に、蓮は京子から身体を離す。
初めて出逢った時から、蓮は彼女に恋をしていた。
無論、華族の姫君である京子は、蓮には決して
手の届かない存在だということ等分かり切っていた。
ただ、こうして彼女の近くで過ごす時間があるだけで幸せだ――。
京子も既に十六歳、そろそろしかるべき相手との
縁談が持ち上がってもおかしくない頃である。
そうなれば、二度と逢えなくなるやもしれぬ――。
せめて今のこのささやかな幸せを大切にしたい、蓮はそう思っていた。
「さあ、先程の所から・・・」
蓮に促されて、京子の指が弦の上を滑る。
しかし、今日の彼女はどこかおかしい。
ほんの僅か――おそらく蓮にしか分からないだろうが、琴の音に乱れがある。
ふと京子の手が止まり、しんとした静寂が二人を包んだ。
「お師匠様」
京子のか細く、それでいて凛とした声が響く。
「何でしょうか、お嬢様」
「“あのこと”・・・・・・・お聞きお呼びでしょうか?」
蓮には何のことか心当たりが無かった。
「はて、何のことでしょう?」
ほんの一瞬、京子の瞳が哀しみの色で染まった様な
気がしたのは、自分の思い過しだろうか。
蓮が答えを見い出せぬ内に、京子は何事も無かった様に、再び琴を奏で始めた。
〜〜〜
それから数日の後。
蓮は屋敷の小間使いの女から、京子の縁談の話を耳にした。
相手は政界にも繋がりを持つ財閥の次男坊だという。
京子は一人娘だから、婿入りという形になるのだろう。
ついに恐れていた時がやって来てしまった――。
覚悟はしていたはずなのに、蓮は自分の一部が
砂の様に崩れていく錯覚に捕われた。
とうとう明日は、婚姻の日。
蓮は、縁側に出て、月を見ていた。
明日、結婚のお祝いを言ったら、姿を消そう―
他の男の妻となる京子を見ているのは、辛すぎる。
けれど、最後に、京子の綺麗な姿は目に焼き付けておきたい。
「お師匠様…」
なんだ、幻覚を見るくらい、自分は彼女に惚れていたのか―
もう、今更、そんなことに気付いても、所詮は身分違いの恋。
京子を手に入れることなんて、出来ないのに。
「お師匠様」
幻覚では…、ない?―
「お嬢様!何をしているんです?こんな、夜更けに」
明日、二世の契りを交わす筈のあなたが―
「こんな男の部屋に、一人で」
「お師匠様…、私」
月に照らされ光る、涙を湛えた瞳を蓮に向けて、京子は言った。
「ずっと、お慕いしておりました」
はらり、涙の粒が零れ落ちる。
「明日、私は好きでもない殿方の妻になります」
「それなら、尚更、こんなところにいてはいけない」
抱き締めてしまいたい欲望を、理性で押さえて告げる。
「いいえ。今だからこそ。」
きり、と一瞬、堅い決意を胸に秘めた目。
「お願いです。私を抱いてください」
「いけません、帰りなさい」
迸る想いを抑え、蓮は京子に背を向ける。
「嫌です」京子は蓮の背に縋り付き、言った。
「私は生まれた時から人形の様に生きる様運命られて来ました。
今迄は父に従い、これからは夫となる人に従わなければなりません。
でも、私も人間です。一人の女です。確かに生きたという証が欲しいのです。
心から人を愛したという証が・・・・。
お師匠様、お願いです。
女の身で恥を忍んで、ここまで来たのです。どうか・・・・」
京子が言い終わらない内に、蓮は向き直り、彼女が壊れそうな程強く抱き締めた。
「私もずっとお嬢様を・・・」
「嬉しい・・・・」
蓮は京子の閉じた目蓋や、涙に濡れた頬に接吻し、それからそっと唇を重ねた。
甘く、蕩ける様な――。
蓮もそれなりに女を知っていたが、今迄に無いその感覚に驚き、無我夢中で貪る。
京子も始めは戸惑っていたが、いつしか蓮に応え様と、ぎこちないながらも舌を絡ませてきた。
それが又可愛くて、一層愛しさを募らせる。
やっと唇を離し、息を乱しながら二人は見つめ合った。
「大丈夫ですか?」
「はい・・・・あ、お師匠様、見て下さい、蛍です」
二人の目前を蛍が二匹、漂っていく。
「短い生命を精一杯生きているんですね」蓮が言う。
「何だか、私達みたい・・・」京子が呟いた。
「さあ、こちらへ」
蓮は京子の手を取り、私室の奥へと誘った。
奥の部屋へと導き襖を閉める。
手は襖に添えたまま、京子に背を向けたまま…蓮は逡巡する。
この…無垢で穢れを知らぬ令嬢を、自分が果たして乱して良いものか…
答えは決まっている。良いわけがないのだ。
しかしこの時を失えば、永遠に触れ合う機会も失われてしまうかもしれない。
それを思うと胸がちりちり痛んでたまらない…
蓮は初めて味わう身体を切られるような切なさに心をかき乱されていた。
「お師匠さま?…お気が変わられたのでございましょうか…」
京子は後ろから蓮の帯のあたりをきゅっと握り締める。
「お師匠さまの気が例え変わられようと、わたくしめの決意は変わりませぬ。
わたくしは、お師匠さまに捧げたいのです…ですから…」
「京子さま…」
蓮は必死に理性を保とうとその手を震わせる。
振り向いて手を伸ばせば、そこに夢にまで見たぬくもりがある!
しかし…しかし…
「蓮…?蓮?いるの?誰か声がしたようだけれど?」
突然の外からの呼びかけに蓮は激しく動揺した。
「---姉君、なんでもありません…!琴の情緒を広げようと、古書を詠んでいたまで」
「そう…でしたらよろしいの。ごめんあそばせ。お気にならずに続けてね」
ホッと息をつき振り返ると、京子は目の前に立ってまっすぐな瞳で蓮を見上げていた。
そしてすっと蓮の手を取り、自らの頬に当てて摺り寄せ、唇へとずらし口付ける。
「京子さま…」
油断すると動き出してしまいそうな自分の指。蓮は慌てて手を握り締めた。
が、京子は構わず首筋へと這わせ、胸元へとすべりおろす。
「お師匠さまに教えていただきたいのです。女の我が身の傷みも、悦びも…すべて」
理性と欲望の狭間で激しく揺らめき、蓮の視界はぐらり歪んだ。
とどめを刺すかのように、京子は伏していたその顔をすいと上げ、潤んだ瞳で蓮を捕える。
「受け取っていただけますか?」
しゅるり――。
帯を解く衣擦れの音・・・。
「―――!」
息を飲む蓮の前で、京子は着ていた物を脱ぎ捨てた。
部屋に差し込む月明かりに浮かぶ白い肌・・・。
人目に晒したことのない“それ”は純潔を
そのまま語るかの様に染み一つなく、美しかった。
(まるで天女の様だ――・・・。)
自分の雄が熱く充血するのを感じる。
「お師匠様・・・」
京子の声に、蓮の中で“もう一人の自分”が覚醒した。
すらりとした首筋、肩から胸の辺りへと、雨の様に唇を落としていく。
それから、ゆっくりと彼女の前に跪き、柔らかな
膨らみの先の薄紅色の蕾を口に含んだ。
「あぁ・・・・」
生まれて初めて知る感覚に、京子の唇から吐息の様な声が漏れる。
舌で優しく蕾を転がしてやると、脚に力が入らなく
なったのか、支えを求めて蓮の頭をきつく抱き締め、
蓮は京子の胸元に顔を押し付けられる形になった。
それが“もっと”とせがまれている様で、
蓮は更に強く吸い上げ、舌で責め立てる。
「あ、ぁあん、お師匠様・・・・」
必死で耐えてはいるが、抑え切れず零れる甘い声が、蓮を更に駆り立てた。
唇を離し、京子の表情を確かめながら、
散々攻められてすっかり堅くなったそこを指で弾く。
「ぃゃあぁん」
清楚な面立ちが快楽に歪み、次の瞬間京子の膝は崩れ落ちた。
崩れ落ちた京子に口付けを落として、両手で胸をまさぐる。
「蓮…と、お呼びください。お嬢様」
耳元で囁いて、首筋に舌を這わせ、再び胸に顔をうずめる。
「あっ、蓮…さまっ」
「呼び捨てで構いませんよ」
そのまま押し倒した拍子に、ちらりと目に映った表情が、艶めきたって美しかった。
「ぁん、…蓮」
名を呼ぶ声が、さらに欲望を刺激する。
「お美しいです。お嬢様」
蓮の舌がぬらぬらと滑り落ち、胸から腹部、そしてその下の茂みの中の、小さな真珠に至った。
「あっ」
生まれて初めての感覚に、京子は身をよじる。
ぬるりと生暖かい舌の感覚が、恥ずかしさを忘れさせていく。
「…んっ、あ、ぁん」
「お嫌ですか?」
口に手の甲を当てて、声がでないようにしている京子に、蓮が問う。
「い、いいえ。ただ…」
「ただ?」
「何だか、ふわふわとして…」
今まで味わったことのない、快楽に素直に身を任せて、
「きもちいい…です」
京子は言った。
しなだれかかる京子を抱きとめた蓮は、そのままゆっくりと彼女を横たえた。
そして、自らも着物を脱ぎ、彼女の上にのしかかる。
下肢の辺りに猛る雄の存在を感じた京子は、刹那びくりと身を震わせた。
「怖いですか?」蓮の問い掛けに、
「いいえ、少しも」微笑みを浮かべつつ、京子が答える。
怖くないはずないのに――・・・。
眼前の男を信頼しきった、汚れない瞳がそこにあった。
蓮は愛しくてたまらなくなり、深く深く彼女にくちづける。
「お嬢様・・・・」
「京子、と呼んで下さい」
「京子――!」
幾度夢の中で、その名を呼んだことだろう・・・。
今この身に起きていることが現であると
確信したくて、繰り返し繰り返し、愛しい女の名を呼ぶ。
常日頃繊細な琴の音を紡ぎ出す蓮の指は、京子の肢体の美しい
稜線をなぞり、滑らかな肌の感触を味わっていた。
蓮の手の動きに呼応する様に、京子も腰をくねらせ、呼吸を乱している。
「はぁ・・・・・あぁ・・・」
蓮は身体を起こし、京子の足元に移動した。
彼女の小さな足に接吻し、指の辺りに舌を這わせる。「や・・・・ぁん」
京子が驚きと快感で身をよじった、その隙を逃さずに、
蓮は彼女の両の脚の間に手を差し入れた。
自らの逸る気持ちを抑えながら、その先にある泉を目指し、
蓮の指と唇はゆっくりゆっくり這い上っていく。
ビクンっ、と身体をこわばらせる京子。
「ああっ…!…ちょっと…ちょっと、お待ちください…っ」
迫ってくる波に脅えたのか京子は制止する。
しかしもう、止められそうにない…
いや正確には、拒否するその言葉すら煽りに思える。
蓮は大きく膨らみ始め熱くなった蕾を思いっきり吸い上げた。
「あああっ!!」
京子は身をよじりピクピクと内腿を震わせた。
1回…
初めての瞬間に顔を紅潮させハァハァと必死に息をする京子の様子。
蓮は見あげてその表情を垣間見た。
さきほどまで必死に保とうとしていた理性は無残にも吹っ飛んでしまう。
まだ小さく痙攣している愛液の源に指を突っ込むと、
ちゅく、ちゅく、と淫らな音と同時に京子の扇情的な喘ぎ声が部屋に広がる。
「やぁ…ぁあ…蓮、どの…っ…わたくし、わたくし…っ」
「…お気が変わられましたか?もしそうであっても…もう私は止められそうもない」
中指だけだった挿入に人差し指も加え、ゆっくり、しかし大きくかき回す。
「ちが…う…違います…んんっああっ、あ、あ、ん…っ
あ、も、もう…何もっ…やぁ、んっ…考え、られない…ぁんー、ん…っ!!」
「もっと考えられなくしてさしあげます」
蓮はそういうと指の動きを早くする。
めちゃくちゃにその中を弄ぶとぐちゅぐちゅぐちゅ、と乱れた音が響き渡る。
喘ぐ声が上がっていくのを危惧し、蓮は押さえつけるように唇を塞いだ。
京子は腕を蓮の背中に回し、抗議のつもりか快楽のためか、蓮の着物を必死に引っ張る。
蓮の指を包む肉壁に力が入り始めたのを感じ、蓮はますます指のスピードをあげた。
「んっ!!ん、ん、んっ…!んん、ん!…んんんーーーっ!!!」
今度はさっきよりも大きくビクビクと震えて京子は再びその瞬間を迎える。
2回…。
蓮は京子が絶頂に達する回数をカウントしていた。
この指で数えられるほどでは足りない。
この美しい肌が他の男のモノになるなど…そんなことにはとても耐えられそうになかった。
何度も…何十回でも、その身体に自分の感覚を刻み込みたい。
そしてそれを忘れられない身体にしてしまいたい。
もう自分なしではもう我慢できないと言わせたい…!
蓮の欲望はますます膨らみ、すでに自分では制御できないほどになっていた。
ぐしゅ・・・・・ぐちゅり・・・・。
わざと淫らな音を立てて、更に掻き回してやる。
雪白の肌が熱に染まり、可憐な瞳が悦びに潤む様を見つめながら、蓮は言った。
「聞こえますか・・・・・良い音色です」
「あ・・・・そんな、恥ずかしい・・・・」
「恥ずかしがることはありませんよ」
そう言って蓮は指を抜いた。
更なる快楽を瞳でねだる京子の唇に、蜜にまみれたそれを加えさせる。
「・・・・・綺麗だ」
蓮はそう言って、京子の唇から指を離し、又甘やかな接吻を交わす。
同時に京子の手を取り、自らの雄へと導いた。
「どうですか・・・・?」
「・・・・熱い、です・・・」
頬を染めながら小声で答える京子に、蓮は煽る様に囁く。
「あなたの物も、同じ位熱くなっていますよ」
とろとろに溶けた京子の泉に又指を差し入れる。
「ぃやっ・・・」
「嫌なのですか?」
京子は恨めしそうに蓮を眺め付けてから、ふるふると首を振った。
「ぁ・・・・ひぁん・・・・やぁ」
蓮は、自分の内の“鬼”の存在を初めて自覚していた。
もっと、自分の全てを彼女に刻み付けたい、
生涯消えない程の印をその肌に残してやりたい、
これが最初で最後の契りならば・・・・。
既に何度も達したそこは貪欲に蓮の指を食んでいた。
蓮は心を決め、絡み付くそこから指を抜いた。
花弁の間の裂け目を何度も雄でなぞってやる。
「あ・・・・はぁん・・・・・・」
入り口の所にぴたりとそれをあてがい、問い掛けた。
「いいですか・・・?」
初めての少女への労りと、荒れ狂う欲望が心の内でせめぎ合う。
「はい・・・」答えた京子の瞳には、覚悟の光が宿っていた。
蓮は労わるようにとなんとか理性を取り出しゆっくりと挿入する。
何度か止まり、様子を見ながら先へと進めるが、京子の中はきつく時間がかかった。
京子はぎゅっと目を閉じ唇を噛みしめているが、
声をあげなかったので痛いのかあるいは心地良いのかもわからない。
蓮は奥まで達したところでそっと京子の頬に手をやり声をかけた。
「痛うございますか?」
「いえ…今は大丈夫でございます…」
今は…ということは我慢していたか。
健気な様子に愛しさが募る。そして同時に京子を手に入れたことに喜びが込み上げ、胸の中が熱くなった。
「今は?」
「はい…あの…なんだかとても…熱くて、変なかんじで…」
「それは…もっと教えてさしあげなければ」
蓮はゆっくりと腰を回す。
次第に京子の中も熱さを増し、少しずつねっとりと湿り気を帯びてくる。
くちゅ…くちゅ…徐々に音も奏で始め、京子は再び熱っぽく啼き始めた。
「ああっ…お、お師匠さまぁ…っ」
「名を」
「れ、蓮…どの…ぁあ…ん…先ほどとはまた…違い、ます…すごく…あ、ああ…」
「お嬢様」
突然蓮は動きを止め呼びかける。
「…はい」
「明日もそのように、淫らな声をお上げになるのですか」
言ってはいけない、と思いながらずっと抑えていたが、
声を上ずらせて我を忘れていく京子の様子を目の当たりにするうち、
蓮は次第に顔も知らぬ京子の夫となる男に激しい嫉妬を燃え上がらせていた。
「そ、そんなっ!そんな…」
「まだ見たこともない男を相手に、
そのように熱く身を捩じらせ繋がりをお求めになるおつもりですか」
突然の蓮の残酷な言葉に、京子はしばらく言葉を失っていたが、
やがてゆっくりと両手で顔を覆い、声を詰まらせ囁いた。
「そんな…お師匠さまだけ…お師匠さまだけです…こんな…」
泣かせたいわけではなかった。
ただ感情が高ぶって抑えが聞かず、言わずにはいられなかっただけ…。
「……いえ、いいんです。すみません、言葉が過ぎました」
蓮は京子の手を退け涙を拭う。
「お許しください…どうか今の言葉はお忘れになってください…」
「…いえ…いいえ、忘れません」
まっすぐに蓮を見据えて答える様子に、蓮は責められているのかと怯んだ。
「今のは、お師匠さまの本心でございましょう?
でしたら…嬉しい…こんな、こんなわたくしの我が儘な願いを聞き入れその胸に抱いてくださる上に…
夫となるという男を妬んでくださっているのでしょう?
お師匠さま、わたくしは…お師匠さま以外の男に抱かれるつもりなどございません」
京子の言葉に突き動かされたかの様に、蓮は再び律動を彼女の中へ送り出す。
「はぁっ・・・・あぁ・・・・・いぃ・・・・」
「その様なお声・・・・他の誰にも聞かせたくない」
「・・・・お、ししょ・・・様、だ・・・け・・・・・ひゃぁん・・・・・、
私の・・ぁん・・・・・心に、はぁっ・・・住む、お方は・・・」
迫り来る快感に乱れた、途切れ途切れの声で京子が言う。
このまま溶け合ってしまえたらいいのに・・・。
そうすれば、二度と離れないでいられる――。
「あぁ、お師匠様、私、もう・・・」
京子は四肢をしっかりと蓮の背に絡めしがみ付く。
熱く蕩けた蜜壺は蓮の全てを吸い尽くさんばかりに締め付けてきた。
もう、限界だ――。
動きを更に速めながら、蓮は熱に浮かされた様な声で、女の名を呼んだ。
「京子・・・・京子・・・・・・!」
「あぁ、蓮、連れて行って、あぁぁんあぁぁゃぁ―――!」
嬌声を紡ぐ京子の唇を、蓮は自分のそれで塞ぎ、激しい接吻を交わす。
一際大きな快楽の波にさらわれた二人は、同時に絶頂を迎えた。
リレー完結1 別離編
リレー結末2(別離編その2)
リレー結末3 やや幸福向けエンド
リレー結末4 不幸エンド
挿話『誓い』