第1幕 〜著作権って何のこと?〜
第1場 何かをつくった人に権利がある
第2場 「何かをつくった」
第3場 つくった人の心のための権利
第4場 つくった人が損をしないための権利
第5場 できることだっていっぱいある

第6場 勝手に使ってしまったら?
  人としてどうですか。
  犯罪であり罰則がありそして親告罪であるということ。
  民事裁判の手間暇お金と損害賠償額。
  第1幕 第6場  勝手に使ってしまったら?
なあ、旦、一応聞いておきてえんだけどよ。
勝手につかっちゃいけねえものを勝手に使っちまったら、結局どうなるわけだ?

人として恥じるところはございませんか?

(ぐっ・・・)
あ、いや、その・・・・・でも。

まあそういった倫理的な責任も重要ですが、
それはさておきどうなるかは一応知っておかれたほうがよろしいでしょうね。
まずそれは著作権法に違反する犯罪です。
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金を課せられることがありえますね。

犯罪、つまり逮捕されることなどもある、と。
国が罰則という強い力を使って著作権という仕組みを守ろうとしているわけですね。

ええ。ただし国の役割という点では、ふつうの犯罪と違うところがひとつございます。
例えば殺人や窃盗などのふつうの犯罪では、被害者の気持ちに関わりなく国が捜査して訴えて罰すことができますが、 著作権法違反では、被害者が訴えなければ違反した人を処罰することができません。

へえ。被害者っていうのはつくったものを勝手に使われちまったやつだよな。
つくったやつの気持ちが大事にされてるってことか?

そうでしょうね。
国は出過ぎてはいけないというのは著作権という仕組みの重要点のひとつでしたから。
つくられた方が望まないのであればわざわざ処罰する必要はない、と考えているのでしょうね。

んじゃ何も言われなけりゃ問題じゃねえんだ?

罰を受けないという面だけ見ればそうかもしれませんけど・・・
とはいえ、罰せられない、ということと、罪ではない、ということは、同じではありません。
例えば強姦罪も被害者の訴えがなければ捜査も処罰もされませんけど、
訴えがあろうとなかろうとレイプはまぎれもなく犯罪ですよ?
絶対に許せませんが。

だいたい何も言われてないのかどうかは、 ある日警察官が踏み込んで来るまでわからないって場合もございますしね。

えっ、そうなのか?

例えば泥棒を捕まえるとき、いまからあなたを捕まえに行きますよ、なんて予告するはずないでしょう?

そりゃあそうだよな。それと一緒になるのか。怖ぇな・・。

ええ、怖いですね。
もちろん、つくった方が「勝手に使われても構わない」、いえそこまでではなくても「勝手に使われるのは嬉しくないけど訴えようとまでは思わない」とお考えの場合もありうるとは思いますよ。
けれどそうお考えなのか、「処罰してもらいたい」とお考えなのか、をあらかじめ知ることができるとは限らないのです。

そっか・・・。

さて周公旦さま、逮捕されるのは怖いですけれど、
つくった人の方から見れば勝手に使った人が捕まったってそれだけでは嬉しくないかもしれませんよね。

罰金ってのは国が持ってっちまうから?

ええ。つくった自分はお金を手に入れられないのに勝手に使った人が大儲けしていたりしたら、悔しいでしょう?
勝手に使った人が罰金を払っても、それはつくった人がもらえるわけじゃありませんからね。

ええと、太公望が掻いた本を俺が書き写して売り払って小遣いを稼いだ、ってな場合だな?
著作権てのはそもそも最初につくったやつが損をしないための仕組みってことだったもんな。
そーすると、太公望は俺が売ったその本の代金を取っていけるってことか?

正解ですよ、小兄さま。
本当であればつくったひとである太公望がその本を売ってお金を稼ぐことができたはずですよね。
小兄さまが代わりに売ってしまった分だけ太公望は損をしているわけです。
だから太公望は損をした分の金額を小兄さまが払うように求めることができるのですよ。

それが取り返せねえと極端な話、300万円以上のお金を稼げるんなら、
つかまっても罰金を払えばいいから勝手に使ったほうが得だってことにもなっちまうもんな。

これは国がするのではなくて、つくった人が勝手に使った人に直接請求するということですわね。
少なくとも使った人が儲けた分はつくった人が損をした分だと言えて、
つくった人からの請求が来るわけだから、
勝手に使うことで得をすることはできないようになっているのですね。

んじゃあ勝手に使うんでも金を稼がなきゃいいんだ?
あれ?でも俺が太公望の本を写してただで配っちまっても、
太公望がそれを売れなくなっちまったことに変わりはねえよな。
ってゆーか、余計売れねえ?

そうですわね。勝手に使っている人がお金を儲けていなくても、 つくった人は損をしますね。

そしてそんなふうにつくった人のものが売れなくなる場合以外にも、
そもそもつくったものを勝手に使われているときは、
使うことを許すときに求める使用料を払ってもらっていないのですから
やっぱり損害はあるのですよ。

結局その時々で金額はいろいろだけど、 ともかくつくったやつが勝手に使ったやつのせいで損した、その金額を、
勝手に使ったやつが儲けたかどうかに関係なくつくったやつに払わなきゃいけなくなるってことだな。

あらうまく整理されましたわね。

んで、損ってどれぐらいの額になるんだ?
写してただで配ってたってときなんか予想外の高さになったりするんだろうな。

その金額はお互いの話し合いでまとまればよし、
まとまらなければ裁判となって裁判所が決めるということになるのでしょうね。
裁判所は損害の金額を決め、それを支払うようにとの命令を出す、と。

補足しておきますと、裁判所は「お金を払いなさい」という命令だけでなくて「これ以上勝手に使うのはやめなさい」という命令を出すこともできますね。

ふんふん。
んで実際のところ損害分の金を払えっていわれることと、
前に言ってた捕まって罰せられるってことと、どっちが多いんだ?

たぶんいちばんよくあるケースは、つくった人が勝手に使っている人に直接警告をすることでしょう。

「勝手に使うをやめなさい、止めなければ損害分のお金を払えという裁判を起こしますよ」とか
「勝手に使うをやめなさい、止めなければ警察に訴えますよ」とかの警告ということですね。

そうですね。その両方かもしれません。
また、「止めなければ」という交換条件ではなくて、
「止めなさい、かつお金を払いなさい」と言うかも知れません。
先ほど言いましたようにまったく事前の連絡なく訴えるということも充分ありえますけれど、
勝手に使うのを止めるようにと直接警告があることが多いと思います。
つくった人が相手に勝手に使われるのを止めさせたい、ということだけを目的としている場合、
直接の警告だけで止めさせられるのならつくった人にとってもそれがいちばん楽ですから。

警告するか、しないか、
損害分のお金を請求するか、国に処罰を求めるか、またその両方とするか、
それらはすべてつくった人が好きに選べるということですね。
つくった人は自ら何を目的にするのかを考え、その目的を達成するためにもっとも効果的な手段をとる、と。

ってことはつくったヤツによっても、勝手に使ってるヤツによっても、
それからその勝手な使われ方によっても、
つくったヤツに得なやり方ってのはいろいろ変わってくるし、
こういう請求が来ますよ、とか一概に言えねえってことだな。

ええ。小兄さま、私の意をお汲み取りいただきありがとうございます。

まあ、勝手に使わなければ訴えられることはない、
いえ訴えられてもおそらく負けることはないとだけは言えますでしょうね。

まあ、なあ。

さて、それではこれまでのところで著作権の基本的な考え方についてはざっとお話いたしました。
ひとまずご挨拶を。
思いのほか長くなり亭主は頭を抱えているようですが、これも彼女の理解度に応じた文章。
改善の余地は多く時に過去の文章の修正なども行われると思いますけれども、 どうかご寛恕くださいませ。
最終目標のファンサイトの話題まで、道のりは長いと思いますが少しづつでも進んでまいりますので どうかよろしくお願いいたします。

4ヶ月・・読み返したら直したいところだらけですし、どうしよう。
でもやります。まだやります。見守っていただければ幸いです。

疑問点不安点ご感想賛成反論ありましたらぜひ水波まで。
あ、参考文献・・・・ (14.02.24)

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