第1幕 〜著作権って何のこと?〜
第1場 何かをつくった人に権利がある
第2場 「つくった」ってどういうこと?
第3場 つくった人の心のための権利

第4場 つくった人が損をしないための権利
   印刷技術が作者を脅かす。つまるところはとてもだいじなお金の話。
   複製、上演、公衆送信、譲渡、翻案などなど

第5場 できることだっていっぱいある
第6場 勝手に使ってしまったら?

  第1幕 第4場  つくった人が損をしないための権利
つくったやつはほかのやつに向かって「つくったものを勝手に使うな」って言える、と。
その話はまだ続いてるんだよな。

ええ、続いておりますわね。
(話に飽きてしまわれたのかしら?)
先程は「つくった人の人格を傷つけないために、つくったものを勝手に使ってはいけない」ことを確認いたしました。
「つくった人が損をしないために、つくったものを勝手に使ってはいけない」というお話が、まだ残っておりますね。

ああ、そうだったよな。
でもさ、損するとか得するとかって、それってなんだかせせこましくねえ?

決して決してそんなことはありません、小兄さま。
「つくった人が損をしない」 これこそが著作権法のいちばん重視しているところ。
つまりは今まで法律を作ってきた人々が、いちばん気にしたところなのです。
著作権という考え方、法律は、ここからできてきたのですよ。

へえ、そうなのか。
んじゃ、何で著作権って考え方ができてきたのかから説明しろよ。

ええ、それでは早速。
もう一度小兄さま、前にお話しました「著作権という権利がなぜあるのか」、その目的をおっしゃっていただけますか?

(げ、そう来るのかよ・・・・覚えてねえぞ?)
ええと・・・みんなが、自分で、何かをつくりたいって思うように、だったっけ?
みんなが人のつくるものを当てにしてたら、新しいものは生まれねーから。

はい、よろしいでしょう。
では、皆さんに「自分で何かをつくりたい」と考えてもらうためにはどうしたらいいでしょうか?

ん?えーと・・??

(見ていられませんわ、まったく)
何かをつくった人が、利益を得られるようにする必要がありますね。
そして逆に、自分でつくったのではない人が、つくった人の得るはずだった利益を 代わりに得てしまうことのないようにしておかなくては。

そのとおりです。
むかしむかし芸術は、つくる人とそれに資金と機会を提供する人で支えられておりました。

ミケランジェロとジュリオ2世のようにですね。

ええ。そうでなければつくる人は、つくったものから収入を得なくても生きていくのにとりあえず足る、 別の収入源を持っていました。

誰がいいかしら・・陶淵明のようにですね。

おまえら、だからいつの時代の話をしてるんだよ?
ともかく、そのころはものをつくったヤツが、損をしないとか得をするとか考えなくてよかったわけだな?

そういうことです。
その時代には、つくった人がつくったものから利益を得る必要はありませんでしたし、
それによってほかの人が利益を得る方法もほとんどありませんでしたので、
著作権法という法律も、そのような考え方もありませんでした。

そのころ文学は、ひょっとしたら絵画も、手で書き写すことによって世の中に出回っていましたね。
つくったひとはそれを歓迎こそすれ、とくに不都合は感じていなかったと。
まして彫刻や音楽は大量に複製されることはありえなかった。

ふーん。お、大量生産の時代だから問題になるのか?

ええ、よいところに目をつけられました。
時が経つと、活版印刷が普及いたします。 これにより同じものを大量につくることができるようになりました。
それと同時に、パトロンと呼ばれる人々がいなくなり、芸術の受け手は世の中みんなになりました。
例えば一冊の本をつくるのに必要な手間とお金は小さくなり、 ものすごいお金持ちではなくてもそれを買えるようになり、 それだからこそ出版が商売として成り立つようになったのです。

ふんふん、それで?

パトロンを失った芸術家は、新しい芸術の受け手である大衆から、芸術の対価を徴収しなければならなくなりました。

まあ、どこかから金を稼がなきゃ、食べていけねえもんな。

その一方で、人が書いた作品を出版、販売して稼ぐことも、可能になりました。

あっ、そっか。
確かに人がつくったものを使ったほうが楽だし安いよな。
んでもって、せっかく自分で新しいものをつくっても、それでほかのヤツが儲けるんじゃあ、 つくる気なくなるよな。

そもそもそれでは生活にも困ってしまいますし、誰も創作活動をしなくなりますでしょうね。

それじゃあまずいから、著作権っていう権利をつくったんだな。
ほかのヤツが自分のつくったものを勝手に使って儲けることがないように。
でも、つくったヤツが出版するとは限らないだろ。
つくったヤツはどうやって金を稼ぐんだ?

出版する人がもともとの作品をつくった人に対価を支払うようにすればよいのでは?

でもそれっていくらだよ?んなもんどうやって決めるんだ?
うまいヤツにも下手なヤツにもおんなじ権利があるんだったろ?
何が売れるかだってわかんねえしさ。

その通りです。
そこで著作権法では、例えば「人のつくったものを勝手に出版してはいけない」と いうことだけを決めたのです。

はぁ?だから?

(ふふ) なるほど、わかりましたわ。
「勝手に」してはいけないということですから、つくった人が「いい」といえば ほかの人が出版しても構わないのですね。
いくらで、どんな条件で「出版してもいいよ」と言うかは、つくった人と出版する人との話し合いに任せると。

あー。

そうです。ここでは「出版」を例に挙げましたが、ほかの使い方でも同じです。
もともとつくったものを使う権利はつくった人だけにある。
ただしつくった人はほかの人に「使ってもいいよ」と許すことができるのです。
そのときに、代わりにいくら払ってくださいとか、 ただで使ってもいいけれど加工はやめてくださいとか、条件をつけることができるわけです。

使う側も、条件が気に入らなきゃ使わなきゃいいんだな。
結構よくできた仕組みなんだな・・・。

そして値段の点でも、つくったものがいいものでしたら高いお金を支払ってでも使いたいという人がでてくるし、 たいしたものでなければ安い値段でしか使い手が現れないことになるでしょうね。
だからひとはいいものをつくりたくなる。

確かにヘタな絵には買い手がつかねえよな。
いいものをつくるヤツがたくさん得をするわけだ。
うまいヤツにも下手なヤツにもおんなじ権利があるにしても現実はシビアだな。

そうですね、小兄さま。
逆にそういった現実の人間どうしの交渉によってのみ
何がいいもので何がよくないものかをふるいわけていくために、
誰でもが同じ権利を持つようにしたのですよ。

なるほどな。みんなが欲しがるものが「いいもの」なのか。
でもってこの仕組みだと、いいものをつくったヤツがたくさん儲けることもできるし、 そいつが望めば全く稼がないでタダでつくったものを配ってもいいんだな。 買うヤツがいるなら売る条件はつくったヤツ任せなわけだ。

つまり「著作権法」は基本となる交渉の仕組みだけを整えて、
そのあとは人々になるべく干渉しないようにしているのですね。
つくった人が利益を得る方法も、つくったもののうちどれがいいかの判断も、 より「いいもの」への意欲をかき立てるのも「みんな」に任せると。

国が出過ぎちゃいけねえってことだよな。
いくら儲けろ、なんて決められてたらよけいなお世話だし、
もっともっとたくさん稼げるチャンスをふいにするかもしんねえし。
国はもしかしたらいいものを見落とすかもしれねえ。
だいたい国や法律が「つくれ」って命令したって「つくりたくなる」なんて言えねーし、
ホントに自分からつくりたくなるんじゃなきゃ新しいものなんてつくれねえしな。
国が手を出さなくっても「つくりたい」ヤツが居続けてくれんのがいちばんいい。

ご理解いただけましたようでありがとうございます。
そのとおり、「著作権」はつくった人が損をしないために
市場の機能をうまく利用する仕組みなのです。

で、損をしないってのが重要だってことはわかったからさ。
そうすると、つくったヤツが損をしないために勝手にやっちゃいけねえことは何なんだ?

ええ、それをお伺いしなくては。
著作権が、つくった人に利益を与えつつ「みんな」の自主性を尊重するという仕組みなら、
勝手にはできないつくったものの「使い方」は、無制限ではないですわよね。

つくったものを買うのにも、読むのにも許しが要るんなら、 つくったヤツも儲けにくくなるもんな。

そして国が出過ぎないためにも「勝手にはできない使い方」は、
つくった人が利益を得ることのできる使い方に限られなくては。
そこで、勝手にしてはいけないほかの「使い方」には出版以外に何がありますか?

おっしゃるとおり「勝手にはできない使い方」は無制限ではありません。
著作権法では、つくった人が利益を得るために「勝手にしてはいけない」こと、逆の言い方をすれば「もともとはつくったひとだけにある」権利として、(だいたい)11の権利を挙げています。
複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権など、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権など、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利、なんですが。

んな説明で分かるかよ!

全く小兄さまのおっしゃる通りです。
ですがこれを全部ご説明しているといつまでたっても終わりませんし・・
つくったものが何かによっても「勝手にしてはいけないこと」は変わってきますし。
誠に心苦しいのですが、いまのところ私の手に余ります。
複製、公衆送信、翻案などファンサイトにかかわることはこの先亭主がお話しする予定でいるようですが。
それぞれ詳しくお調べになりたい場合は、こちらのリンクなどから外を探していただけますでしょうか。
まったくもって申し訳ございません。

(誰に話しているのかしら?)
ともかく、「勝手にしてはいけないこと」は法律に列挙されているということですわね。
そしてひとまず今回は、これで終わるしかないようですね。みなさま、お疲れさまでした。

勝手にしてもいいこと
かなりむちゃくちゃな構成順序。
でもどうしても歴史はここになってしまって。
一般的にははじめにもってくるものですよね。
そして一般的であることには理由があるはずなのですが。
その理由が分からないわけでもないのですが、どうしてもここに。
疑問点不安点ご感想賛成反論ありましたらぜひ水波まで。
参考文献どうやってアップしようかな。 (13.9.24)

第1幕第3場へ 迷いの森TOPへ 第1幕第5場へ

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル