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私が会社を辞めた理由(3/4)

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  I. はじめに
  II. 私がこの会社に入ってしまった理由
  III. 客観的分析から
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  IV. 私のお客がつぶされるまで
3/4
  V. 細かい嫌な事リスト
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  VI. 週の勤務体系
  VII. 入社前から騙されていた
おまけ
  VIII. 辞めるまでの道のり
  IX. 辞める直前
  X. 余談

IV. 細かい嫌な事リスト

私は先物の会社を30社まわり、人事が最もまともだった所として この会社を選んだ。人事の能力に比例して、 その会社で働く人のレベルが変わってくると思ったからだ。 そして今でも、その考え方は間違っていたとは思わない。 先物の会社の中では比較的知的な方だったと思う。 しかし比例定数が社会経験の無い私の予想以上に低かった、 それが現実だと思う。ちなみに、私は自分で会社を選んで入社したつもりだったのだが、 数人の上司の考えでは、他に行くところが無いので、仕方が無く、入るような会社であったらしい。

研修の半ばで営業の残業についての話があった。 私は、日本の中小企業では労働基準法など (少なくとも現在の経済状態では)守っているどころではない、 という事は承知していたので、 残業代が出るとか出ないとかという話はどうでも良かった。 しかし、人事はコンプライアンス(法令遵守)を連発した挙句に、 営業に残業代を支払わないことの理由に 「労働省は営業職についているものについては残業代を払わなくてもいいといっています」 と、間抜けな事を言い張った。

確かに、完全に外回り等の管理することができない時間については、 残業に時間にあたらないことがある。 しかし、電話営業で1日中事業所にいたり、 上司と供に行動したときなど管理できる時間については、 休憩時間を除き8時間を越えた時間については 残業代を支払わなければならないという事は私にとっては常識だった。 ここにも現れた人事の不可解なまでの不誠実な態度に、 私は大きな怒りとこれからこの会社で働いていくことの不安感を覚えた。

ちなみにこの会社でのコンプライアンスという言葉は、 なぜか自己責任という意味らしく、 「各個人で法律・ルールを守ってください。何か問題があったときには会社は責任を負いません。」 という意味らしかった。

6月また事件はおこった。今度は 名前を偽って電話営業をしろという命令が出た。 これにはさすがにショックだった。当時私たちは入社2ヶ月であり、 入社3ヶ月以降でないと商品の外務員資格をもらえず、 それまでは資格の要らない外貨取引の営業をすることになっていた。 しかし外貨取引は金にならないから商品の営業をしろというのである。

それで 『商品の営業には資格が必要なので、あなたたちは資格を持っていないのでできない。 そこで資格を持っている人から名前を借りて営業をしなさい。 これがコンプライアンスです』これは支店長命令だった。 3月入社を含めた新入社員11人中10名が他人の名前で電話営業をした。 ちなみに無資格者の営業をさせてばれた他の会社では、 3日間の営業停止をくらっていた。

私はこの状況に嫌気を感じ人事に電話をして相談をした。 すると人事は「何とかする」といって、仲裁役(?)を派遣した。 そして支店長と話し合った結果、強制から任意に変わった。 その結果、それまで10名が他人の名前で電話営業をしていたのが8人に減った。 そのときの支店長の説明は『他の人の名前で電話をしているのは練習です。 練習なので本番の営業ではなく違法ではありません』だった。 ちなみに支店長は「誰が電話したんだ」と激怒していた。 私はあまりにも怖かったので名乗らなかった。


以前に脳梗塞で倒れ、後遺症で言語障害が認められ、 若干の神経麻痺で字もミミズが這ったような字しか書けず判断力も鈍っており、 明らかな『不適格者(取引の勧誘をしてはいけない人)』であった人に対し勧誘し、 取引をさせていた事もショックだった。600万円ではじめたものが、 12月の時点では1000万近い損失が出ていた。 損をしてしまっていることは仕方が無いとしても、 こんな人勧誘していいのかなぁと言う疑問はあったし、 普通の健康な人以上に可愛そうだと感じた。

ちなみに、やめる際にこの件を人事に話したら、 「ホントにそんなことをやっているのか?」と驚いており、 詳細を私から聞き出し、対処するとの約束をしてくれた…。

実際に何かをしてくれたのかどうかは私には分からない。 しかし、辞めて関係なくなる人間に心にも無いことを言う意味も無い。 そのセリフは人事の、私に対する最後の誠意であったと確信している。 私の支店にいたグループ(コムテッ○スに移った人達)と人事(もしくは会社本体)は 明らかに人間の質が異なっていたと思う。

これが、私の支店にいたグループ(コムテッ○スに移った人達)を批判したいが、 元いた会社を批判したくない理由である。

労働時間が無駄に長いことも嫌だった。 平日は朝7時半出社で雑用が始まり8時から朝礼12時から30分休憩で、 15時と17時に15分ずつの休憩があり20時半くらいで終わる。 実労12時間なので、1日当たり4時間の残業ということになる。 また、土曜と祝祭日は8時半出社で早いと15時に終わる。つまり6時間くらい。 これはあくまでも最低限拘束されている時間で、 多くの場合この後自分の仕事として1〜3時間残業をする。

拘束されている時間で計算すると週66時間で26時間の残業、 1ヶ月では約100時間、自主残業を含めると120〜150時間の超過労働ということになる。 ちなみにこの労働時間は成績を上げていない人が対象であって、 その月に300万円以上の新規を上げた人は5時に帰れるし、 土曜祝祭日は来なくてもいい事になっている。 しかし基準を達成し、「通常勤務権利」を獲得できるものは大体全体の5%〜10%の人にすぎず、 多くの人が月120〜150時間の超過労働をしているというのが実態である。

1年近くもそういう状況のもとで働いていると、慣れてしまう。 そして久しぶりに友人と話し、自分の働いている状況を話すと、 自分が異常な状態のもとで働いていたんだということに気づく。 この瞬間が最も嫌な瞬間だった。 また支店長や課長は定時が来るとさっさと帰ってしまう。 部下が何時まで商談していようと報告は次の日でいいということで、 自分は定時になったら帰る。 そういう自分の都合ばかり考えているやる気のない上司の態度も、 社員のやる気を奪っていたと思う。

仕事の内容は基本的に朝から晩まで電話である。 そして、話しこめたら資料を送ったり、会う約束ができたら、 会いに行ったりする。会いに行く約束が無い者は1日中電話という事になる。 電話をかける先は、NTTの電話帳や名簿屋の販売するものを購入してくることになるのだが、 多くの場合すでに同様の電話が多くかかってきていたり、 怪しいと思って相手にしなかったりする。 1日中断られつづける日もある。 精神的な苦痛を伴う単純作業で「もっとましな仕事がしたい」と感じるのは、 当然だったと思う。


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