PROLOGUE

 元・超高校級の料理人に師事していた灯滝実ノ梨は希望ヶ峰学園からスカウトを受け、1期上の生徒との肩書き被りを気にしつつも、独り立ちの為に“超高校級の料理人”としての入学を決意する。
 学園に足を踏み入れた直後に意識を失い、校内で目覚めた彼女は、訝しみながらも出会ったばかりの同期生たちと体育館へ向かった。
 だが、入学式で学園長を名乗るモノクマから突き付けられた卒業条件は“誰かを殺す”こと。それまで学園外には出られない――超個性的な同期生との共同生活が幕を開けた。

CHAPTER1

 同期生はなかなかまとまらず、不安も多い中、灯滝は共同生活の料理担当として生活の基盤を築き始めた。石丸清多夏の呼び掛けで全員集合の朝食会も始まり、打ち解ける機会が出来たのも束の間、モノクマは各自に“学園の外の様子のDVD”を渡し、殺人による脱出“卒業”を煽った。

 翌朝、モノクマの思惑通りに舞園さやかの死体が発見され、犯人探しが始まった。
 しかしモノクマを踏みつけ反抗した江ノ島盾子は、見せしめとして全員の目の前で殺されてしまう。ここで今までの出来事が芝居ではなかったことにようやく気付いた葉隠康比呂は、突如取り乱した。
 見かねた灯滝は葉隠を食堂に連れて行き、料理を出して落ち着かせた。だがそこで“超高校級の占い師”の彼に「一回タダで占う代わりに、自分の危機には身代わりになって死んでくれ」と、問答無用で意味不明の占い結果を告げられ、約束を取り付けられてしまった。

 人殺しの犯行を暴けば犯人“クロ”が、暴けなかった場合は他全員“シロ”が、オシオキという名の処刑を受けるという“校則”のもと、容疑者は話し合い“学級裁判”で決められた。
 灯滝は料理担当としての役割に終始し捜査には関わらなかったが、議論では捜査組の話に耳を傾けた。
 多数決で選ばれた桑田怜恩は、元々殺意を持っていた舞園におびき出されたカモであったが、攻勢に転じて彼女を殺したクロだった。彼への苛烈なオシオキに衝撃を受ける一同。今後の学園生活の光を窄ませる出来事となった。

CHAPTER2

 殺人が起き、大半が動揺を拭えない中、十神白夜と腐川冬子は以降の朝食会参加を拒否し単独行動を始めた。翌日から灯滝は、十神や腐川が厨房を使える時間を設けるために昼休みを作り、その時間帯は他の場所で過ごすようになった。
 また、学級裁判以降に開放された区域から脱出や黒幕の手掛かりは見つからなかったものの、生活の自由度は上がった。
 灯滝は倉庫に赴き、居合わせた葉隠と衣服や食材を調達した。途中、葉隠の落下に巻き込まれるが互いに軽症だった。

 朝日奈葵と水泳をしたり、セレスティア・ルーデンベルクのリクエストで餃子作りをしたりと交流も増えるが、モノクマは再び“誰にも知られたくない秘密”を各自にばら撒き動機提示をした。「秘密ごときで人殺しなど起きない」と宣言した苗木誠を始めとする想いは叶わず、翌日、不二咲千尋の死体が発見された。

 前回は怖気づいて捜査を任せきりだった灯滝は、今回こそはと思うもののやはり二の足を踏んでいた。マイペースな葉隠に付いて行く形で、食堂にて捜査の相談をした彼女は、彼のスタンスを聞いて視野が開ける。自分なりの取り組みをすべく現場保全中の大和田紋土と大神さくらへ差し入れを持参し、捜査に乗り出した。

 学級裁判では腐川の別人格・ジェノサイダー翔や、偽装工作を行った第一発見者・十神の犯人説で二転三転するも、不二咲から秘密をカミングアウトされる程に信頼されていた大和田が、一瞬の嫉妬で撲殺したクロであった。
 大和田のクロおよびオシオキに最も動揺したのは、彼との親交を深めていた石丸だった。慟哭する姿に灯滝も心抉られ、部屋で涙に暮れた。

CHAPTER3

 大和田の一件で廃人同様の石丸に代わり、自分が最年長だからと葉隠が場の進行を取り始める。開放区域の探索は空振りだったが、朝日奈の目撃情報が切っ掛けで、不二咲の遺したAI・アルターエゴが事件解決の光を繋ぐ存在として発見された。
 アルターエゴは監視カメラのない脱衣場に置かれていたため、流れで女子のみ大浴場でお風呂に入ることになった。そこで灯滝はセレスほか女子から葉隠との関係を突っ込まれるも、明確な答えはできなかった。
 その夜、モノクマから“100億円”の動機提示をされたものの、誰も折れることなく日々は過ぎた。

 石丸が気がかりだった灯滝は、葉隠に相談を持ちかけたり接触を試みるも不振。翌日、石丸は別人のように狂人化しており、大和田と混ざった“石田”と名乗った。原因はアルターエゴからの励ましで、アルターエゴに恋をした山田一二三といがみ合う関係へ発展してしまった。
 翌夜、アルターエゴが消失。監視を請け負っていた霧切響子は女子に呼び掛け、彼女にパシられた葉隠は男子を招集。一同は翌朝からの捜索を決め、いったん解散した。

 その後、灯滝はセレス経由で葉隠に手紙で食堂に呼び出されていたため、夜時間寸前まで待機したが葉隠は姿を見せなかった。更に灯滝は出ようとしたところを何者かに突き飛ばされ、朝まで食堂内に閉じ込められてしまった。
 翌朝、開放された灯滝が個室で仮眠をとっている間に事件が発生。石丸と山田が殺されていた。十神の往復ビンタで起こされた灯滝は、昨夜の傷心から一連の事件が葉隠によるものだと思い込んだ。

 しかし学級裁判が始まると早々に葉隠犯人説は覆された。事件は被害者の山田が石丸を殺した加害者でもあり、山田を殺した者が真犯人、という複数犯であった。
 灯滝は「葉隠に協力させ山田と共謀した真犯人」だとセレスから追求を受けるが、十神、苗木、霧切により潔白証明され、複数の事件の起点であったセレスこと安広多恵子こそが真犯人だった。

 学級裁判後、セレスが盗み出していたアルターエゴは無事に発見された。
 十神は、夜時間を食堂で過ごし校則のグレーゾーンを生き抜いた灯滝が裏切り者ではないかと疑った。葉隠も彼女を怪しむが、霧切の指摘により疑いは晴れた。
 夕食時、互いを疑い合った灯滝と葉隠は和解。葉隠は灯滝に「3日後に灯滝の血を見ることになる」という不吉な占い結果を「外れることを祈ってる」言い残して去った。

CHAPTER4

 今回の解放区域には鍵の掛かった部屋があり、一同は手掛かりの予感を感じつつも手を出せなかったが、その夜にアルターエゴの情報解析終了の知らせが入った。
 現在の状況の発端が、一同の知らない“1年前の人類史上最大最悪の絶望的事件”であり、共同生活計画の責任者である学園長は今も学園内にいる可能性が高いという情報を得たものの、核心を掴むことはできなかった。

 翌日の夜、モノクマは大神が黒幕の内通者であるとバラした。モノクマに決闘を仕掛け、命に背いた彼女を晒し者にしたのだった。
 親友の朝日奈と決闘の一部始終を見ていた苗木は、大神が内通をやめたと信じたが、十神や彼に追従する腐川、警戒心の強い葉隠は彼女を信じられないと意見が割れた。
 灯滝は大神を信じたいと思いながら信じきれない思いを抱き、態度を決めかねた。中立の霧切が場を収めるも、不穏な空気の中で一同は解散した。
 
 大神の件は尾を引き、翌朝は朝日奈と十神が衝突して朝食会が成り立たなかった。灯滝は葉隠に不安な気持ちを吐露したかったが、機会を逃してしまう。
 その後の昼休みに、灯滝は葉隠の部屋に呼ばれた。葉隠は灯滝への斜め上の信頼から、金銭目的で彼女の人命や人生に響く品々をくれと頼み込むも、灯滝は常識的感覚からそれを拒んだ。互いに失望した二人もまた、不和に陥った。
 その後、数日前からの体調不良が悪化した灯滝は自室に閉じこもった。3日前の葉隠の占いは、灯滝の月経という形で的中していた。

 翌昼、渦中の存在であった大神の死体が発見された。捜査途中、苗木から食事を運ぶよう頼まれた灯滝は、再度葉隠の部屋を訪れた。
 灯滝はかつて取り付けられた“葉隠の身代わり”の約束に対する意思を尋ねられ、「身代わりも見殺しもしたくない、第三の手段を考える」と返した。葉隠はその答えを聞いて、本来の自分の考え方に立ち戻り、「自分も最後まで足掻く」と沈んだ心を吹っ切った。更に昨日の頼み事をいったん白紙に戻し、灯滝と和解した。

 学級裁判では事件直前に大神に呼び出されていた葉隠・腐川・十神のうち、嘘を指摘された葉隠が犯行を自白したが、腐川の別人格・ジェノサイダーも大神に凶行を働いていた。
 しかし十神は朝日奈の犯行を主張。認めた朝日奈は投票を急かすが、霧切と苗木が大神自殺の真実を暴き、偽の遺書から発した朝日奈の道連れ計画は失敗した。
 真の大神の遺書から、彼女が自身の死をもって仲間の団結と黒幕対抗の手段を講じたと判明したことで一同は発奮。コロシアイから対黒幕姿勢へと変化した。

 命の危機が去った葉隠は、学級裁判終了後の夕食で灯滝の料理に好意と執着を見せる。仕事を評価された灯滝は満更ではなく、自由奔放な葉隠の本質を受け入れ始めていた。
 去り際の葉隠の言葉に、灯滝は自分への気遣いを感じた。明かさなかった体調不良の原因や占い的中をどこまで勘付いていたのかと、思案に暮れるのだった。

CHAPTER5

 対黒幕となったことで十神と腐川が朝食会に加わり、十神が指揮を始めた。彼の強硬な姿勢には多少の衝突が起こるものの、全員の意思は打倒黒幕に向いていた。
 校内探索の報告会後に十神は、未だ謎の多い霧切に素性を明かすよう迫ったが、彼女は自分が記憶喪失だと告白して多くを語らず退室し、そのまま行方を眩ませてしまう。

 翌日、灯滝は休養のため植物庭園を訪れ、居合わせた葉隠と過ごす。やがてうたた寝しかけた灯滝に葉隠は直感で仮眠を勧め、彼女は自室へ休みに戻った。
 夜時間、十神が停止したモノクマを発見。全員の呼び出しを試みたが霧切は行方不明、朝から風邪気味と報告していた苗木も部屋から反応がなかったため、ほかの5人で体育館にて夜通しのモノクマ解体作業を行った。

 翌朝、朝日奈と灯滝は朝食の用意のため食堂に行く。後に姿を現した苗木を体育館へ誘導し、現状を説明した。十神は、苗木を加えた6人で黒幕と睨む学園長の部屋・学園長室に攻め込まんとしたが、植物庭園にて正体不明の死体が発見されたことで計画は頓挫した。
 アジト化された情報処理室の鍵を所持していた事から、謎の死体は黒幕と疑われたが、再びモノクマが登場して学級裁判の開催を告げたため、一同は捜査を開始した。

 学級裁判開始直前に、それまで不在で被害者と思われていた霧切が復帰。被害者は17人目の参加者・戦刃むくろと判明した。
 7人でのクロ当ては、アリバイのない苗木と霧切で潰し合いの様相を呈した。灯滝は一瞬白昼夢のようなものを見るが、学級裁判は霧切が実行できない根拠を示し苗木が犯人視されたところでモノクマがタイムアップを宣告した。
 選ばれた苗木はクロだとして、モノクマはオシオキを敢行。しかし途中、アルターエゴの生前の働きによってプレス機が停止し、苗木は即死を免れて地下へと落下した。

 その後、残った一同は翌昼にかけて開放区域と苗木救出の手がかりを探すも不振。痺れを切らした霧切は脱衣場にて、自らがダストシュートを使って苗木のもとに行き救出する作戦を打ち明けた。
 全員で協力して霧切を送り込む事を決めると、葉隠と灯滝は彼女を運び落とす役目を担った。遂行の後に葉隠は霧切の記憶喪失の件に触れたが、灯滝は彼の真意を掴むには至らなかった。

CHAPTER6

 待機組の夕食後、霧切と苗木は無事帰還。二人は戦刃殺しのクロと学園内の謎を暴く“最後の学級裁判”を行うよう、黒幕に交渉してきた事を伝えた。
 最終決戦に備えるべく、一同は再捜査に乗り出す。自分たちの中に黒幕がいるかもしれないという万が一の可能性を考慮し、全員単独で行うこととなった。

 捜査の中、灯滝は寄宿舎2階で偶然自分の電子生徒手帳で解錠されるロッカーを見つける。
 ロッカー内の辞書から“過去の自分が書いたメモ”が出てきた事により、灯滝は自分たちが以前から学園内シェルターで共同生活を送っていた、1年以上の記憶喪失であると悟った。動揺を見せるが霧切の言葉で平静を取り戻し、学級裁判で黒幕に勝つ意思を深める。

 最後の学級裁判は苗木や灯滝の指摘で“全員が記憶喪失”と発覚したところで、モノクマは戦刃殺しの犯人=黒幕当てを促した。
 死んだはずの人間以外に成し得ないと思われた戦刃殺しの犯行は、戦刃が元々は江ノ島として登場し、見せしめで死んだ事によって“本物の江ノ島盾子”だけが行えるものだった。

 暴かれた江ノ島は正体を現し、自分と戦刃が“超高校級の絶望”で双子であること、世間の期待と自分の飽きから実姉を殺したと種明かしをした。
 彼女らによる記憶喪失の意図は、一同が親しかった2年間と“人類史上最大最悪の絶望的事件”により世界が滅んだ状況を忘れさせて無意味な殺人を煽り、更にその姿をテレビ中継して世間を絶望させるためだった。

 最後に江ノ島は特別ルールの投票を一同に迫った。全員が江ノ島に投票すれば、滅んだ世界に出る事になる。誰か一人でも江ノ島以外に投票すれば、終始江ノ島に強い態度を取り続けた苗木だけ処刑され、他全員は老衰を迎えるまで学園内で生きられる。
 全員が黙り込む中、苗木は“希望”の言霊を彼らに放った。苗木の思いを受け、葉隠は占いより直感を信じて「生きたいから前へ進む」といち早く決意し、二人の姿に動かされた灯滝は「成長するために外に出る」と意思を固めた。

 霧切に“超高校級の希望”と称された苗木の希望は全員に届き、投票結果は“超高校級の絶望”江ノ島への満票。
 江ノ島は苗木たちに「希望があるところには必ず絶望もある」と不穏に投げかけると、計画失敗から“死”という最高の絶望を享受すべく自らオシオキを望み、処刑された。

EPILOGUE

 学級裁判を終えた一同は、その日を学園で過ごす最後の1日と決め、休養や準備にあてた。
 終日料理に明け暮れた灯滝は、夜に食堂に現れた葉隠に促されて休憩を取る。
 会話の中で葉隠は、数週間前に倉庫で落下した際に過去の記憶がフラッシュバックし、一瞬だけ“自分が灯滝を好きであった記憶”が戻っていたと明かした。
 何も思い出せない灯滝が詫びるも、葉隠は「以前と今は違うから別にいい」と笑って片付けた。

 葉隠の割り切った態度に灯滝は、これから学園生活が終われば葉隠との関わりが薄れるのだと寂しさを覚え、来たる別れへの切なさを彼に零す。
 しかし葉隠は、灯滝との縁をこれきりにするつもりはない、どこかに出ても灯滝の料理と灯滝自身のある場所に戻りたいと笑顔で返し、灯滝が葉隠に抱く本心を引き出した。

 互いに想い合っていたらしいと把握した後、自室の前で別れかけた灯滝は、気持ちを知る機会をくれた葉隠に謝意を伝え忘れていたことに気付いた。引き止めようと灯滝が無意識に抱きついて告げると、葉隠は彼女の言葉の終わりを唇で奪い、挨拶だけを残して去った。
 灯滝は自分自身と彼の行動に動転しながらも、双方の恋心をはっきりと自覚したのだった。

 翌朝、灯滝は生物室で眠るクラスメイトに別れの挨拶をした後、集合場所の玄関ホールへ向かった。
 これから始まる新たな旅立ちを“卒業”と表現した苗木の言葉に、葉隠は卒業記念になるだろうと“希望ヶ峰学園の指輪”を各人に渡した。灯滝には密かに色恋沙汰リングのペンダントを掛け、彼女の服の中へ隠した。

 希望ヶ峰学園での学園生活を終えた7人は、何があっても前へ進む覚悟――希望を抱き、苗木が押した脱出スイッチによって開き始めた扉を真正面に捉えた。
 灯滝は料理人としての独り立ちと、自分の更なる成長を決意していた。一人きりでなく、繋いだ手の先にいる葉隠と、これからの世界を生きていくことを希望しながら――灯滝実ノ梨は新しい一歩を踏み出した。

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最終更新:141120

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