「目指すべき方向」とやや内容が被るのですが、結局著作権はどういう風に関係するのか? を考えることにしました。私見ですので間違っている可能性はもちろんあります。あえて著作権の条文は引いてません。
二次著作物
ある「著作物」を改変したものを「二次著作物」と言います。「二次創作物」=「二次著作物」ではありません。言葉が似ているため誤用される可能性が高いように感じます。
「二次創作物」は「既存の作品を楽しむ一環として創作された、当該作品の設定やキャラクターを借用した作品」の意で多く使われます。私は多く「版権パロ」という言葉を使っています。(これもあまり良い言葉じゃないですが…)
「二次著作物」とは原作の内容をかえず表現形式だけを変えたものです。キャンディ・キャンディ事件の判例をお読みください。あのマンガは「原案の内容そのままでマンガ化した」から「二次著作物」です。キャンディのイラストは、「二次著作物」であるマンガのキャラクター画像の「複製」あるいは「翻案」です。
同人誌のほとんどは「二次創作物」ですが「二次著作物」ではありません。
複製
要するに写すこと。
マンガやアニメ・映画・ゲームなど、キャラクターの画像を伴う作品でのファン活動で、侵害が指摘されるのはおそらくこれです。ポケモン事件も複製です。
ときめもビデオ事件は実写で役名はないものの、パッケージの少女がゲームのキャラクターと同じだと認識できることから、「複製」さらに、実写という形に変更していることから「翻案」です。だから似てなくても、トレ―スなど複写でなくても、画像から同一キャラだと判断できるならおそらく複製扱いです。(同人屋としては哀しい)
トレスはおそらく無断利用とかにあたるのではないかと。
基本的にキャラクターは著作物ではありません。著作物になるのは画像があるものです。ですので、擬人化などどう見ても別物の場合は複製にはあたらないかもしれません。小説の場合も、キャラクター利用に限定すれば著作権の侵害だとは考えにくいです。
翻案
ちょっといじって違う形にすること。正直同人誌がこれに入る可能性は低いと思います。
上に書いていますときめもビデオのことから考えても、大概の同人誌は「複製」の範疇です。画像を持つキャラクターのコスプレは、キャラクターの形としての複製であり、画像である原著作物とは表現形式とが異なりますので翻案になるように思います。
『バターはどこへ溶けた?』事件は翻案となっています。パロディだといわれますが、「二次著作物」でも「複製」でもありません。「翻案」の侵害に関しても、展開に関しては退けられ、文章表現にのみに限定されているように読めます。つまり、「『バターはどこへ溶けた?』=『チーズはどこへ消えた?』の翻案」というよりも、「『バターはどこへ溶けた?』の文章中に、『チーズはどこへ消えた?』の翻案となる文章がある」という結論だと私は思います。(判例は表紙やタイトルに関する裁判もあるので、翻案で検索してください)これを思っても、「翻案部分を含んでいる」=「二次著作物」ではないでしょう。
同一性保持
加工はダメですということ。
パロディに関しては写真を加工したモンタージュ事件がありましたが、いまいち参考になりません。映画を勝手に編集したものも同一性保持の侵害にあたるはずです。
同人として参考になるのは、度々上げてますときめもビデオ事件です。「『清純』というキャラクターの特性を改変している」と同一性保持侵害を言われてます。(複製よりむしろこっちの罰金の方が高かった)ですんでやおいや男性向けに関しては、複製と合わせて同一性保持を追及される可能性があります。(ポケモンは複製だけ)
複製ではないキャラクターの場合、同一性保持を言うのは無理がある気がします。(願望?)