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Marin's Note
Web拍手


     
06.

 澄水人がベッドの端に腰掛け、グラスに注いだ何かを飲んでいる。
 スタンドの明かりに浮き上がっているその姿は、透けた金色の髪が淡く輝いて、恐ろしいほど奇麗に見えた。人間とは何か違う異質なヴェールをまとっているようだ。もしも、こいつの背中にコウモリみたいな羽が本当にはえていたとしても、今の俺は大して驚かないだろう。禍をもたらし、恐怖で支配し、俺と俺の日常に取り憑いた澄水人は『魔』そのものだ。
 俺は頭を動かし、頭上で固定されている自分の両手を見た。ベルトで縛られた両手首は、頑丈そうなベッドフレームに縛りつけてあった。フレームは金と黒のまだらな色をしていて、所々鈍く光っている。並んだ棒に茨が絡むような細工には、硬そうで暗いオレンジ色の薔薇が咲いている。もう一度引っ張ってみたけれど、ベルトは解けそうになく、フレームすら揺らすことができなかった。
「無理ですよ。このアイアンベッドは特注で、細工も簡単には壊れない」
 抑揚の無い声で澄水人が説明がましく言い、グラスを傾けた。氷の触れ合う音を聞いた途端、俺は思い出したように喉の渇きを覚えた。
「水……飲ませろ…」
 顔を向けた澄水人が、手に持ったグラスを引っ込める仕草をして微笑む。
「子どもみたいな真似…してんじゃねぇよ、バカ…」
 吐き捨てるように言うと、澄水人はグラスの中に指を入れ、滴る雫で俺の唇を湿らせた。なぜだか知らないが、長かった爪が短く切り揃えられていて、マニキュアも落としてある。あれは付爪だったのかもしれない。
 舌で絡め取ったのは無味無臭の水だった。喉を潤すにはわずかすぎる。もっと飲みたい、と言えば澄水人は喜んで口移しで俺に飲ませるだろうか。それとも意地悪く懇願の言葉を言わせるだろうか。
 俺は黙って天井を見つめた。両手を縛られ、四回もイかされた身体はベッドに縫い付けられたように重い。喉は貼り付きそうなほど乾いている。…俺の人生は最悪だ。囚われて水すら飲めない。理由は俺がバカで酷い奴だったからだ。……涙が出てきた。
「泣いているんですか…?」澄水人は両目を輝かせて俺の顔を覗き込んだ。「ああ、可愛い……ずっと見ていたい…」
 人の泣き顔を見て嬉しがる奴なんて頭がマトモじゃない証拠だ。澄水人は指先で俺の涙を拭いながら、融けた水晶のようだとか醜いとかワケのわからない独り言を呟いている。そして唐突に、
「水が欲しいでしょう」と訊いてきた。
 その顔は何か企んでいる様子なので、素直に頷けない。けれども水を飲んだ時の喉を通る冷たい感触を想像すると、乾きは一層強くなった。
「先輩の顔、欲しくてたまらないって顔……ずっと見ていたい。このまま一滴も飲ませないでおこうか……ああ、でも、そんなことをしたら、最後には死んでしまうかもね」
 澄水人の口からは、普通の言葉のように“死”が出てくる。
「…殺されるために、ここへ…来たんじゃない」俺は長生きしたいと願ったことは一度も無いけれど、こんな格好のまま死にたくない。Tシャツは裂かれて上半身は裸同然、下着もジーンズも膝まで下げられて股間丸出しだ。惨めすぎる。
「復讐なら……他の…やり方で…やってくれ…」
 自由の効かない身体で哀願する言葉が、涙にかき消されそうになった。
 澄水人は表情を変えずに、俺の首の下に手を入て頭を持ち上げた。何をされるのかと怯える間に唇にグラスが押し付けられる。あわてて口を開くと冷たい水が流れ込み、喉を潤し、胃に凍みた。
「ああ…」
 水が飲めただけで、奇妙な安堵の溜め息が漏れた。二の腕に顔を押しつけて涙をぬぐい、今更のように股間を隠そうと膝を立てた。
 静かにグラスを置く音がした。澄水人の手が伸びてきて俺の肩から首を撫で上げる。指は頬へと滑り、まだ濡れているらしい目尻に戯れた。
 いつまでこんなことが続くんだろう? 俺は俺の日常にとどまっていたい。そこへ戻って自由になるには逃げ出すしかない。澄水人が両手の戒めを解くように、言葉で誘いかけてみようか……。
「もう泣かないの?」
 食い入るように俺の瞳を交互に覗き込んでいた澄水人が表情を硬くした。
「逃さない。自由になんか、してあげない」
「…澄…水人…」
 誘おうと呼びかけて開いた唇に、澄水人の人差し指が入ってきた。
「また、噛む?」と澄水人が笑った。
 指は歯列をこじあけ、楽しむように喉の奥へと進んでいる。
「やめろ、…吐…く…」
 不明瞭な発音で言いながら、自分でも顔が歪むのがわかった。澄水人が目を細めたのは、そんな俺を見て嬉しがっているからだろう。
「僕のは、こんなに細くないし、短くもない」
 侵入する指が何の代りなのかを言葉で教えられた。指は舌の先まで戻り、口の中をあちこち触れながら、また奥へ進もうとしている。
「あぁ…」
 溜め息が澄水人の口からこぼれた。
「温かい……柔らかくて、気持ちがいい……」澄水人は瞳を閉じて指だけを動かしている。「先輩の×××も、こんな感じなのかな?」
 惜しむように指を抜いた澄水人は俺から離れ、セーターを脱ぎ始めた。
 ベッド脇のスタンドの明かりを受けて澄水人の上半身があらわになった。腰に差し込んだ銃を抜いてスタンドの横に置くと、動作に合わせて胸のリングが揺れた。白い指がジッパーを下ろしていく。親指がジーンズの内側に差し込まれ、布がたわみながら足首へと落ち、肉の薄い下半身が見えた。
 澄水人の身体は柔らかな石膏でできた彫刻のようだ。なぜだか俺はその白く滑らかな肌に奇妙な違和感を覚えた。なぜだろう? 
 考える間もなく、その外見とは裏腹の力強い手が俺の腰を捉えた。
「触るなっ、俺はおまえがキライなんだ」
 つい本音が出てしまった。澄水人は何も動じずに手を動かしている。
「やめろ、触るなっ、やめろやめろ、バカ!」
 喉に貼りついた切れ切れの罵倒と悲鳴を押し出している間に、俺は下着とジーンズを足首まで下げられ、剥ぎ取られ、下半身を晒された。靴と靴下まで丁寧に脱がされてしまった。
 悪い夢だ、悪い夢だ──俺がこんな目にあうのも、澄水人がこんなことをするのも──。 俯せにひっくり返され、手首に痺れが走る。足先から布が剥ぎ取られ、妙な金属音がした。掴まれていた右足首に重く冷たい感触がして、肩に顔をくっつけて振り返った。
「は!?」
 俺は見たものが信じられなかった。右足首に黒い輪が填められている。
「なっ、なんだよこれっ?」
 輪に鎖が付いているのは俺を繋ぐための道具だと瞬時に理解した。輪は狭すぎて足が抜けず、もう一方の鎖の先がどこに繋がれているのか俺の位置からは見えない。
「どうして……こん…な…ことっ…!?」
「逃げたら困るから」
 目の端に澄水人が映り、軽々と俺の腰を持ち上げ、強引に脚を開こうとした。鎖が嫌な金属音を立てて俺の足に絡みつく。
「やめろッ!!」
 抵抗して閉じた脚の間に腕が割って入り、太腿の内側から腰を掴まれた。そのまま後ろへ引っ張られ、縛られた腕が伸びる。コートの裾を背中までまくられ、俺は自分の身体を肘で支えられなくなって腰を上げ、脚を開き、澄水人の顔の前に×××を突き出す格好をさせられた。どれだけ腰を振って形を崩そうとしても、澄水人の腕に固定されてしまっている。
 嘘だ…、こんな……。頭の中で言葉が渦を巻き、怒りを惨めさが覆いつくした。俺は縛られて、繋がれて、澄水人が求める箇所を剥き出しにしている。けれど──俺たちは愛し合ってるわけじゃない。澄水人がこんなやり方をしたって、それも当然じゃないか──。
「暴れないで。…よく見せて」
 言い聞かせるような言葉に、惨めな思いは羞恥に取って代わった。
「可愛い…、可愛い形……、ここで排泄してるの…」
 怒りすら、遠くへ追いやるほどの羞恥──。澄水人の尖った舌が×××に触れると、身体中の力が抜けてしまいそうになった。恥ずかしくて、耳の先まで熱く感じる。食いしばった歯の間から何度も声が漏れた。
「…もっと力を抜いて……、ここに入れさせてよ…」
 舌が中に入ろうとしている。
「…くっ……はぁあ……っ……あぁっ……」
 俺は我慢できなくて、惨めな声を出しながら泣いていた。舌の動きが執拗になり、唇でついばまれると、涙が出てくるのに、口からは溜め息混じりの声しか出てこない。
「ねえ……指、入れますよ。力…抜いて…」
 大きく喘ぐ間に、舌とは違う何かがゆっくりと差し込まれた。身体の奥の、そのもっと奥まで、痛みとは違う何か異様な感覚に刺し貫かれた気がした。
「あああ……あぁ……っ」
 自分の喉の奥から甘ったるい声がほとばしり、耳を塞ぎたくなる。こんなのは、俺じゃない──。
 澄水人が消え入りそうな声で、嬉しそうに呟く。
「熱い……すごく、……」
「…嫌だ……、こんなのっ……」
「また、嘘ついてる…」
 指は、さらに深く入ってきた。その動きは乱暴ではなく、身体の力が抜けていくのに合わせて侵入してくる。
「聞かせて…、ねえ、どんな感じ? 嫌じゃないんでしょう?」
 何もわからなくなって、何もかも忘れてしまいそうだった。言葉は融けてしまって呻くことしかできないでいる。触れられてもいないのに、硬くなっていくペニスを俺は目を閉じて感じていた。
「どうして何も言ってくれないんですか?」
「うっ……」
「指は、嫌ですか?」
「………っ…」
「感じてるんでしょう? どういうふうに動かしてほしいの? もっと早く? それとも……ゆっくり?」
 澄水人が、ふと指を止めて訊いた。
「…痛い…?」
 その一言で、俺は引き戻された。
 澄水人の爪が短かくなっている理由を直感のように知ってしまい、身体から熱が引いていくのがわかった。澄水人は準備していたのだ。そして俺は、こんな惨めな格好で犯されようとしているのに、澄水人を受け入れはじめている。忘れていた嫌悪感が頭の中に蘇った。
 ゆっくりと抜かれた指の変わりに、熱くて硬いものが触れた。
 俺は腰を落として叫んだ。
「おまえのモノにはならないっ!!」
「聞き飽きました」
 澄水人の声はほんの少しの苛立ちと怒りを含んでいた。
 腰を抱え直され、×××の周辺に狙いを外したペニスが押し当てられる。捉えられた腰を振りながら、俺は逃げまくった。
「痛い方がいいなら、無理遣り突っ込みますよ? 僕はあまりしたくないけど」動きを止めた澄水人が冷静に言った。「でもね、先輩は痛いのは好きじゃないでしょう? そんなセックスは惨めだから嫌いなんですよね?」
 惨め…? 俺が、かよ…? このバカ野郎!! セックスだぁ? 勝手に幻想押し付けてんじゃねぇよ! レイプだろ、コレ!!
「…テメェ、ブッ殺す…」
 俺は低く唸った。
「へえ? この格好で、どうやって?」
 白々しく澄水人が訊き返し、俺の身体を仰向けにひっくり返した。鎖の触れ合う耳障りな音が鼓膜に響く。
 澄水人は片手に鎖を持ちながら、薄笑いを浮かべて俺を見ていた。
「いつになったら、おとなしくなるのかな」
 笑いながら叱るように言う。俺は怒鳴った。
「ならねぇっ!! 俺はおまえが大っキライなんだからなっ!!」
「僕は大好きですよ」
「コレクションとしてかよ、ナメやがって!」
 澄水人はふと、顔を曇らせた。何を考えているのか、軽く曲げた人差し指を唇に当てている。
 その仕草を見て俺はまた(あれっ?)と思った。澄水人の癖が、何か意味のあることのように感じるのはどうしてだろう?
「……を…くみ、かん……よ…」
 澄水人が放心したように何かを口走った。両目は自分の中の世界を旅しているように遠い。奴が次に何を言うのか、何をするするのか、全く予測できない。二年前、こんな思いをした事が無かった俺は、ただビクつくしかなかった。
「何…言っ…てんだ?」
「私を憎み、考えよ……」
 自由を奪われている俺は更に自ら硬直して澄水人を見つめた。奴が怪しい頭の中で何を考えているのか、さっぱりわからない。
「太宰治の『如是我聞』の一節ですよ。聖書の引用かもしれないけど、僕は知らない」
 ……俺だって知らねぇよ!! 
 澄水人は一瞬だけ正気に戻った目を向けて淋しそうに笑った。
「憎まれる幸福もある……憎んでくれていい、僕のことだけ考えて、僕のことで頭をいっぱいにして、他の誰のことも考えないでいてくれるなら…」
 まっすぐに向けられた視線に、俺は耐えられなかった。
「それができないなら……殺してほしい」
 大した事でもなさそうに澄水人が呟き、目の前に銃を差し出した。
「い、いきなり、何言い出すんだおまえはっ !?」
「殺してくれるなら、片手だけ自由にしてあげる」
 瞬きも忘れて、間近で銃を見た。
 俺をこんな目にあわせた澄水人なんて殺してやりたい。もしも、この引き金を引いたら──? 二年前の澄水人の顔──心配そうに俺を見上げている顔、何も言えずに涙ぐんでいる顔、嬉しそうに笑っている顔──を、一瞬のうちに思い出した。
「ひ…っ、人殺しなんてしたくねぇよっ!」
 俺は顔を背けて叫んだ。
 途端に目がじわりと熱くなって、視界が滲みはじめる。腕を濡らしたものが涙だと知っても、どうして泣けてくるのか自分でもわからなかった。
「また泣いてくれてるんですか」
 嬉しそうに澄水人が身体をすり寄せ、顔を覗き込んだ。
「お…まえの……ために、泣いてるんじゃねぇ…」
 睨みつけると、奴は真顔になって答えた。
「わかっています。先輩はいつも、可哀相な自分のために泣いてる。今だってそう。僕を殺したら、最後まで酷い人で終わってしまう自分が可哀相だから。そうですよねえ、僕に散々酷いことをしておいて殺してしまうなんて、最低の人間のすることです」
「…それが……言いたかったのかよ…?」
「いいえ、僕は言いたかったのではなく、犯りたかったんですけどね」
 滲んで見える澄水人の顔が静かに微笑んだ。
「ねえ、先輩。僕の言うことをきいておとなしく過ごしましょう。僕はそれを望んでいるし、先輩だって、少しは罪の意識が薄れるでしょう? それに、自分を最低だと思い知るような、こんな醜い涙を流さなくてもすむ」
「おまえだって犯りたいとか言ってんじゃねぇか! 銃で脅してるじゃねぇか! おまえも最低の人間じゃねぇのかよ!?」
 急に自分の涙が醜いものに思えてきて、顔を隠すように、俺はシーツに突っ伏した。手首の痛みも、鎖の音も、何もかもが嫌だった。醜い涙。融けた水晶のような、醜い涙──。涙はシーツに温かな染みを作っていく。
「僕たちは最低を軸にした左右対称の双子かもしれませんね」
「なんだよ、それ? おまえ、頭オカシイって!!」
 俺は顔を伏せたまま叫んだ。
「結局、似た者同士なんでしょう」
 澄水人の言葉が最も冷酷な真実のように思えた。理由を探ろうとして頭の中を探ってみても、思考の引出には鍵がかけられているようで開かない。そして、澄水人が何かを考えるときに見せる癖がどうして心の隅に引っかかっているのか、もう一つ別の引出にしまわれている気がするのに、そこも同じように開かなかった。
「いきなり突っ込むのは可哀相だったかもね。先輩のアソコはバージンだったのかな…」澄水人が哀れむように呟いて俺の髪を撫でた。
「触るなっ! うるせぇよっ!!」
「答えて。初めてだったんですか?」
「なんでそんなこと、おまえに教えなきゃなんねぇんだよ!?」
 澄水人は俺の表情を観察するように凝視したあと、
「ちょっと遊びましょうか」と、無邪気そうに言った。
 俺は思わず顔を上げて怒鳴った。
「また言葉遊びか!? 今度は何が言いたいんだ、俺に何か言わせたいのかっ!?」
 奴は俺を無視して視界から消え、ベッドの下でゴソゴソしている。何してやがるんだ、と息を詰めて耳をそばだてていると、澄水人は姿を現し、手に持っているものを自分の顔の横で振ってみせた。
「これを使って慣らしましょうか? いい考えでしょう?」
「……?」
 涙でよく見えない。最初は透明の棒のようなものだと思ったが、先が細くて、下の方が太い。目を凝らしてみると、それはアイスクリームの十段重ねみたいに色とりどりの綺麗な球体が連なっていた。先端はビー玉ぐらいの大きさで、下から二番目の球体が、なぜか一番大きい。
 澄水人はそこを指差して、
「7、8倍ぐらいはあるかな? ここに比べると」と言って、先端の一番小さな球体を舌で舐めた。
 ……何だそれ? 
「先輩、知らないって顔してる」
 澄水人はクスクスと笑って目を細めた。
「知らねぇよ、そんなもん」……初めて見るモノだ。
「使い方、教えてあげる」
「使い──? ……使うのか、それ」
 やっと俺にも理解ができた。こんなガラス細工か芸術品みたいな物ではなく、単色の似たような物ならアダルトサイトで見たことがある。寒気がする。足先から、肩から、手の先から、熱が逃げていくように、急に体温が下がり始めた気がする。
「これ、綺麗でしょう、透き通っていて。僕、透き通ったものも好きなんですよ……」
 澄水人はこの変なモノを、俺の中に入れて遊ぶ気だ。冗談ではないらしい。
「そ、そんな太いの、入らねえって……」
「だって、僕のより少し細いんじゃない?」
 俺はぎこちない視線を、裸の澄水人の股間に持っていった。
「ゲッ…」
 それは、絶句するほど、恐怖感を覚えるほど、まだ妙なオモチャの方がマシかも、と思えるほどの大きさだった。そうだった…、このクソ野郎は華奢なわりにデカかったんだ…。
「想像してみてください…」澄水人は四本足の動物みたいな仕草でベッドに登り、全身に鳥肌を立てた俺の顔の前にオモチャを突き出した。「…これが入ったところを。最初は少し痛いかな? でも、ほら、最初の一個を飲み込んだら、少し楽になる。ここが少し細くなってるから」そう言って、球体と球体の間を指で擦った。そして、指がその下の球体に触れた。「それから、今度はこれ。最初のより少し大きいけど、きっと飲み込めると思いますよ。だって、先輩の×××、とっても貪欲そうだったから」
 俺は絶句していた。身体は寒いのに、頭の中とペニスだけが熱い。
「ねえ、先輩って、Mじゃないの?」
 澄水人は笑いながら片手を伸ばして、俺のペニスを掴んだ。自分でもわからないが、俺は勃起している。
「感じてるんでしょう? オモチャで犯される自分を想像して」
「ちがう…、絶対に、そうじゃねえ……」
 俺は訳がわからないまま、首を振って否定した。
「わからないなら、教えてあげます」
 近づいてくる澄水人の顔を、俺は呆然と見ていた。柔らかな唇で口を塞がれても、俺は呆然と受け止めていた。


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