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奇譚小函―きたんこばこ―

R-18 二次創作テキストサイト

 

※エロ注意※

 

EPISODE3.5 おとめのおもちゃ その3


「でも本当に大きいわね~、ヴァニラのって」

知っているものと脳内で比べているのか、徐倫はなんともあからさまな事を口にした。

「ちっちゃい頃フロ場で見た親父のより大きいみたい」
「ふーん……でも、ヴァニラも始めからこんなになってた訳じゃないのよ。 刺激を受けた時だけ勃起してこうなるの」

トリッシュは先ほど実際に見ただけあって、平常時と臨戦時の違いについてしっかり理解しているようだった。

「あ、そうだ! こうしたら喜ぶって何かで見たの」

根本のあたりを掴んだまま、真上からぱくりと徐倫にくわえられ、ヴァニラは思わず腰を浮かせた。
その情報は多少過激なティーン雑誌から得たものだったが、まさか早速試してみる機会が巡ってくるとは徐倫本人も思っていなかった。
徐倫の思わぬ行動に、横のトリッシュはびっくりして目を見開いている。

「わぁ! そ、そんな所口にッ……!?」

口に入れたはいいが、どんなふうに舐めればいいかまでは覚えていなかったので、徐倫はとりあえず飴玉か棒アイスと同じ要領で舐めてみた。
彼女が知っているどんな食べ物とも違った味のものは、甘くもないし口の中で溶けもしないが、熱くて張り詰めていて、脈動が唇や舌に伝わるのが面白かった。
この新しい遊び方を、トリッシュは興味津々で見ていた。

「あ……あたしもやってみていい?」
「どうぞどうぞ」
「わたしの意志は無視かッ!?」

ヴァニラの声も耳に入らない様子で、トリッシュは少しためらいながらも徐倫に倣って『味見』してみた。

「くぅっ」

あたたかく濡れた感触と共に雁首に軽く歯が当たり、ヴァニラの口元から押し殺せなかった声が漏れた。
二人の美少女に同時に舐められるという、甘美な悪夢に酔いそうになりながら、ヴァニラはある事を思い出していた。
いつだったか、高等部の生徒であるマライアがDIOにこうやって奉仕していたのを見たことがあったのだ。
彼女はソファに腰掛けたDIOの脚の間に身体を沈め、猫がミルクを舐めるような音を立てて口で愛していた。
その音が次第に、本当に交合って抜き挿ししているような激しくはしたないものに変わり、やがて放出されたものを飲み干したらしいマライアは荒い息を吐きながらヴァニラのいる物陰に挑発的な視線を送った。
彼女の方はDIOに愛撫さえされていなかったが、上気した満足そうな顔をしていたのを覚えている。
その時は特に何も思わなかったが、自分がされてみてどんなものか初めて分かった。
加減を知らない二人の唇と舌はがむしゃらに動き、名前が名前なだけに本物のアイスと間違えているんじゃないのかと思うほどに熱心で、ヴァニラの肉棒は唾液と先走りにまみれてぬるぬると光っていた。

「徐倫ったら、先っちょばっかり舐めてずるい……」
「何言ってんの、そんなに一生懸命タマを弄ってたらこっちに興味ないんじゃないかって思うじゃない」
「だってこれ、ぷにぷにで面白いんだもの。 徐倫も触ってみなさいよ、結構はまる手触りよコレ」

鈴口を丁寧に舌でなぞっていた徐倫と代わり、今度はトリッシュが可愛い唇でしゃぶり始めた。
膨れ上がった亀頭はとても彼女の口には入りきらないが、その代わりにいい所がどこかを覚え始めたらしく、裏筋と包皮のつなぎ目を唇でついばむようにされ、ヴァニラの下腹部がひきつった。
二人がそうやって初めての口愛を楽しんでいる間に、ヴァニラには決壊の瞬間が刻一刻と迫っていたが、その時を少しでも遅らせようと爪が食い込むほど拳を握り、血が出るほど唇を噛みしめて堪えるのが彼にはせいいっぱいだった。
トリッシュに扱かれていたさっきまでは早く済ませたいと思っていたのに、今ではこんなに必死に我慢している。
二人がかりでおもちゃにされて無様に射精したくないのか、この甘く澱んだ時間が過ぎ去るのが惜しいのか自分でもわからなかった。
無駄なことと知りつつヴァニラは心の中でDIOに助けを求めたが、幻のDIOは口元に笑みを浮かべて勢いよく親指を突き出すだけだった。
ヴァニラの目の前は真っ暗になり、次の瞬間真っ白になった。

「!!」
「きゃ……」

今までおとなしくしていた獣がいきなり暴れ出したように肉棒が大きく震え、二人の顔に白濁をぶちまけた。
みずみずしい頬や唇は濃い蛋白液でべっとりと汚れ、長い睫毛にも精がこびりついてひどいことになっている。
徐倫とトリッシュは互いに顔を見合わせて吹き出した。

「徐倫、変な顔……ふふっ」
「あんただって顔中べとべとじゃない」

ヴァニラは物も言えず、精液といっしょに魂まで体外に出てしまったように放心した顔で壁により掛かっていた。

「この液で赤ちゃんが出来るなら、こんなにたくさん出して何だか勿体ない気もするね」
「言えてる、無駄にしちゃって残念だわ」

トリッシュは顔を拭くためウェットティッシュを取りに行こうとしたが、徐倫はその場にぺたんと座ったまま動かない。

「どうしたの?」

トリッシュがのぞき込むと、徐倫は勝ち気そうな眼を潤ませ、今まで見た事のない切なげな表情になっている。
トイレに行きたいのを堪えるように、腰をもじもじさせていた。

「ヴァニラが気持ちよくなってるの見て、あたしもドキドキしてきちゃった…… 変な気分……」

自分でマスターベーションをする事はあっても、こんな形で他人の、しかも男が自分の愛撫で絶頂に達する様を見るのは初めてだったのだろう。
トリッシュも同じだったが、途中から参加した分だけ徐倫のほうが刺激が強かったようだ。

「はぁっ……あたし、もうだめ……こんなになっちゃった」

そう言う徐倫の足下に滑り落ちたのは彼女が履いていた水色のローライズの下着だった。
その一部に蜜がたっぷり染みて布地の色が変わっている。
この濡れた感触が気持ち悪くて、脱がずにはいられなかったのだろう。
生々しいのに目をそらせないものを見て、トリッシュもはじめて自身の下着の中がどうなっているかを自覚した。

「徐倫、あたしもあなたと同じみたい……」

いつもならこんな事を素面で口になど出せないはずだが、隠微な雰囲気にあてられてかトリッシュも恥ずかしそうに自白してしまった。
その様子を見た徐倫は自分を棚に上げてついからかいたくなり、にやにやしながらトリッシュの顔をのぞきこむ。

「あたしと『同じ』ってどーなってるの? 確認したいから、大事なところ見せてくれる?」
「あぁん、だめっ!!」

抵抗空しくスカートを捲られ、ピンク地に白い水玉模様の下着を引きずり下ろされてしまう。
肉付きのいい恥丘とその下の割れ目はとても魅力的な眺めだったが、まだヘアは生えていなかった。

「へぇ~、パンティーと同じでここも可愛いのね」
「もう、やだ……あんまり見ないでよ」
「ごめんごめん、あたしのも見せてあげるから」

徐倫は床に腰を下ろし、ご開帳とばかりに奔放にハイソックスの脚を広げた。
その動作自体はあんまり堂々とし過ぎていて色っぽくはなかったが、すらりと伸びた腿の奥のとても繊細な器官に、トリッシュはいけないものを見てしまったような気持ちになった。
それでも、同い年の女の子のここがどうなっているのか気になり、好奇心を抑えきれずちらちらと見てしまう。
徐倫のヘアは年相応で薄いなりにちゃんと恥丘を覆っていて、少しだけうらやましく思った。
捲れたスカートの下で熟れかかった割れ目が内側の果肉を覗かせ、そこから溢れた天然の果汁を滴らせているのを見て、トリッシュの内側まできゅん、と疼くようだった。

「あ、あたしのも見て……」

トリッシュもその場に膝を立てて座り、おずおずとスカートを捲り上げた。
何も着けていない剥き出しの秘処に友達の視線を浴び、トリッシュはとても恥ずかしかったがその一方で全身が熱くなるほど興奮していた。
座ったまま無意識に腰を突き出しているせいで、お尻の穴まで見えてしまっているのに本人は気づいていない。
真っ赤になりながらも自ら欲情をさらけ出している様は淫猥で、どこか可笑しかった。
ふとした悪戯心を起こし、徐倫が手を伸ばした。

「ちょっと失礼……」
「あぁんっ!!」

徐倫の指にそっと割れ目を広げられ、あらわになった内側の熱い粘膜に冷たい外気が触れ、トリッシュは悲鳴を上げた。
まだ自分の指しか知らないお上品な作りの花襞が発情して蜜漬けになっている様は、思わず唾を飲むほど悩ましい眺めだった。
後ろの奥まったアナルの淡い色までもが徐倫のきらきらした眼差しにさらされ、それは彼女の後ろにいたヴァニラの眼にも焼き付いてしまっていた。

「見てよヴァニラ、トリッシュのここ、すっごく可愛い」

襞の内側まで検分するように凝視され、トリッシュは焼け付くような恥ずかしさに顔を覆った。
徐倫は奥へと続く花園を見つめながら、こんな狭そうな所に本当に男のものが入るのか不思議だった。
両の花びらの間からちょこんと頭を出している蕾に目をつけ、濡れた指先で優しく弄ってみると、それだけで耐えられなくなってトリッシュが身をよじった。

「あはっ、ちっちゃくてお豆みたい」
「んはぁっ……そこ、やめてぇ」
「いつもここで気持ちよくなってるんだ? あたしとおんなじね」

そう言う徐倫の眼も濡れている。
性の愉しみの片鱗を知った二人は、衝動に収まりがつきそうになく、今度は女同士で気持ちよくなる事にした。
指で互いの秘処を探り合うのも一興かと思ったが、それより刺激的で面白そうな仕方をトリッシュが提案したので、徐倫も乗り気でそれを試すことにした。

「あんたの事、まじめな娘だって思ってたけどすごいのね、こんなやらしい事思いつくなんて……」
「言わないでよ、えっちなのはお互い様じゃない」

トリッシュが思いついたのは、お互いの性器を擦り合わせて愛し合う、俗に貝合わせなどと呼ばれる仕方だった。
あおむけになった徐倫の上に、大きく開いた脚を組み合わせるようにしてトリッシュが跨り、位置を確かめながら恐る恐る腰を落とす。
パンティーだけはとっくに脱いでいたが、二人とも制服を着たままだった。
まだ幼い印象の二つの性器が上下に重ね合わされ、割れ目と割れ目があたたかく密着した。
制服のスカートの下で交わされる淫靡なキスを連想し、後ろめたい快感と期待に震えながらどちらからともなく腰を動かし出す。
その拍子にぷっくり膨らんで剥けかかった蕾がくりゅっ、と擦れ合い、蕩けそうに甘い刺激に二人は思わず声を上げてしまった。

「はぁ……あ、あぁ……っ」
「すごいっ……あったかくて、きもちよすぎっ……」

自慰とはまるで違う悦さに徐倫は眼を輝かせて、より多くの快感を得ようと自ら指で割れ目を広げてみせた。
さっきまで大胆にヴァニラを翻弄したくせに、指さえ挿入した事のない二人の処女には、最も敏感な部分を擦り合わせるこの仕方が一番適していたらしく、今や夢中で腰を使っている。
重なり合った花襞もいたいけな蕾も、どちらから溢れたか分からない蜜にまみれてますます潤滑になり、ヴァニラに見られている事も忘れて二人が燃え上がる様はまさに絶景だった。

「んっ、ん、くぅっ……徐倫のここ、ふわふわしててすっごくいい……」
「ひぁあっ、お、お豆擦れてるぅっ、そんなに動かないでぇ……!!」
「あぁっ、い、いいっっ……!!」

激しい戯れに清楚な制服は乱れ、絶えず腰を動かしているためスカートも捲れ上がったが、トリッシュは桃尻が丸見えになっている事も気にせずに無毛の恥丘を徐倫の淡い茂みに擦り付けていた。
下になっている徐倫の満開になった花びらからは二人分の蜜が溶け合って流れ、気持ちよさそうにひくついているアナルの周りを濡れ光らせていた。

「んあぁっ!?」

トリッシュと徐倫は、二人の間に熱く野太い何かがいきなり侵入してきたのを同時に感じて驚きの声を上げた。
振り向くと、トリッシュの背後からヴァニラがのし掛かり、性器の間に脈打つ巨根が挟み込まれている。
二人がいけない遊びに耽るのを間近で見ていたせいか、それは二度も射精したにも関わらず見事に勃起していた。

「わたしも楽しませてもらうぞ」
「ヴァ、ヴァニラ、何する気……!?」
「やだ……そんなの無理矢理ねじ込まれたら絶対死んじゃうわッ」

凶器のような雄があてがわれている事に二人は怯えたが、どうやら弄ばれた意趣返しに処女を奪ったりする気はないようだった。
毒食らわば皿まで、と最後まで彼女らの悪ふざけに付き合うつもりらしい。
それでもヴァニラの気が変わりやしないかと本能的に身体をこわばらせていたが、不安はすぐに嬌声に変わった。
彼がゆっくりと腰を引き、同じ速度で再び突き入れられ、花襞が硬いものに割り開かれる生々しさは、挿入の疑似体験のようだった。
同じ感覚を二人で共有し、トリッシュと徐倫はしなやかな身体を震わせて軽い絶頂を味わった。

「んんっ……!! ヴァニラの、すごいっ……」
「もっと……もっとしてっ、んはぁぁっ」

今やあらゆる刺激に貪欲になっている二人は、男根を間に挟んでの遊戯にもすぐ夢中になってしまった。
ヴァニラが動くたびにぬちゅ、ぬちゅ、という蜜音がトリッシュの耳に入り、触れ合っているところがどうなっているか思い知らされて顔が灼け付くように熱くなった。
徐倫が耳まで真っ赤になりながら不器用に腰をくねらせると、どうしようもないほどいきり勃ったものがあたたかな粘膜の間でもみくちゃにされる。
同時に二人を犯しているような気になり、一層硬くなったヴァニラは我を忘れて腰を突き込み、抽挿を繰り返した。
最早いつもの冷静さは理性と一緒に失われていた。
二人も挿入こそされていないが、肉棒が割れ目を往復するたびに桃尻を振ってよがっている。
指とは比べものにならない太いもので繊細な粘膜を擦り上げられるのが堪らないのだった。

「やだぁっ……すぐに、イっちゃう……」

あんまり悦すぎるのか、泣きそうな顔で徐倫が肩にしがみついてくる。
背中に感じるヴァニラの体温がとても熱くなっているのが制服越しに分かり、彼の荒い息がうなじにかかって妙にぞくぞくした。
二人の友達の間に挟まれてトリッシュは少し苦しかったが、互いの熱と密着感が興奮を一層高めた。
三人は蜜の海で溺れるように悶えながら、交合に限りなく近い行為に耽っていたが、やがて終わりが近付いてきた。
自慰とはまるで違う激しさで何度も何度も蕾を擦り上げられ、行き場のない甘い衝動が二人の少女を貫いた。

「んあぁ! だ、だめぇ!!」
「いやぁ……!! もぅ、イっちゃ……!!」

トリッシュと徐倫はお互いの嬌声に煽られるように仲良く上り詰め、身体の奥で育ちきった官能が弾けるのを確かに感じた。
重なり合ったまま長い絶頂感に指先まで浸りながらも、二人はまだ無意識に腰を動かし続けていた。
わずかに遅れてヴァニラも限界を迎え、ほとんど隙間のない花びらの間で劣情を爆発させ、迸った精の熱さを二人は最も敏感な部分で感じた。
三人それぞれの荒い息と鼓動ばかりが響く中で、トリッシュが徐倫の汗ばんだ額に軽くキスをすると、彼女もトリッシュの頬にお返しをし、手を伸ばしてヴァニラの髪を指に絡めた。



「ふぁぁ……すごかったぁ……」

あまりに鮮烈な体験にしばらく腰が立たなかったが、トリッシュはようやく起き上がれるようになった。
同じく隣でへたりこんでいた徐倫と目が合ったが、さっきまであんなに乱れていたせいでお互いの顔を見るのが少し恥ずかしく、思わず視線をそらしてしまった。
ふと、トリッシュは自分たちが今までしていた行為が、図書館で目撃した情事や保健の授業で知った事とは明らかに異なるものではないかと思い当たった。
一線を越える寸前までいったとはいえ、自分たちの行為は単なる好奇心によるもので、愛を育み、子孫を残す事を目的とするものではなかった。
友達同士での悪ふざけで、本当の性交渉とは違うはずなのに、それなのにあんなにどきどきして気持ちよかったのはどうしてだろう? この充実したあたたかい気持ちは何だろう?

(そもそも、もっと知りたくてヴァニラにあんな事お願いしたのに……よけい謎が増えちゃったわ)

それでも、トリッシュの本来の目的はある意味で成功したと言えた。

「あぁ……こんな事アナスイが知ったら殺されるかも知れないわ……それとも同じ事されちゃうかしら?」

徐倫は体を起こしながら、なんとなく照れくさそうに微笑んだ。
ヴァニラはいつも通りの顔で、情交の匂いのする籠もった空気を入れ替えようと窓を開けている。
この、誰にも言えない艶かしい体験を共有したのが彼女らで良かったとトリッシュは思った。

(徐倫やヴァニラも、そう思ってくれたら嬉しいな……)

きっと、恋人でなくて友達でも『好きな人』なんだから『好きな人』と触れ合って気持ちいいのは変わらないんだわ、と結論付けたが、ヴァニラや徐倫への『好き』と、まだ見ぬ相手への『好き』の違いが何なのかはまだトリッシュには分からなかった。

「トリッシュ!」

徐倫が何かをこちらに投げてよこした。
空中でキャッチしたものを見てみると、それは脱ぎ捨ててくしゃくしゃに丸まった自分のパンティーだった。

「汗かいて気持ち悪いでしょ? ちょっと早いけどみんなでお風呂入りに行って、それも洗おう」

言われてみれば、身体はまだ暖かかったが激しい興奮と運動でかなり汗をかいており、何よりびっしょり濡れた腿の間が冷えて不快だった。
とはいえ濡れて汚れた下着をもう一度履くのは嫌だし、濡れたところに新しい下着を履くわけにもいかず、どうすればいいか悩んでいるトリッシュに、徐倫は極めて明快な解決を述べた。

「何言ってるの、履かずに行けばいいじゃん。 どうせすぐ洗い流しちゃうんだし」
「何というか……徐倫って本当に肝が据わってるのね……」
「行くぞ、新しい下着とタオルを忘れるなよ」
「あっ、待ってヴァニラ!」

自室から浴場までの短い距離をノーパンで行く間、トリッシュは誰かとすれ違わないか気が気でなかったという。



「あのさ、ルーシーは性殖行為の経験ってある?」

翌日の教室で、大真面目な顔でFFが投げ掛けたあまりにストレートな質問に、周りにいた生徒はみな度肝を抜かれた。

「ちょっ……!! FF! 何つー事聞いてんだ!!」
「だってルーシーなら『だんなさま』がいるし、あたしたちよりも知ってるだろうから、直接聞けばもっとよく分かるんじゃあないと思ってさ」

性教育の授業以来、人一倍好奇心の強いFFはトリッシュ以上に気になって仕方なかったらしい。
悪気がないとはいえ公然セクハラのような質問に、ルーシーは真っ赤になりながらもしどろもどろで答えた。

「……そういう事はまだした事ないわ」
「なんで? まだ子供欲しくないから?」
「ん~……そうじゃなくて、あたしの準備ができるまであの人が待ってくれてるの」
「???」

恥じらうルーシーの表情はなんとなく幸せそうで、言葉の端々からも夫が彼女を『好き』だからこそ手を出さず紳士的に扱っている事が分かり、人それぞれ色々な『好き』があるんだわ、とトリッシュは思った。

(でも、ルーシーがまだ未経験でなぜか少しほっとした気分……)

自分もまだ男を知らない身体のくせに、昨日の経験の分だけ小さな優越感を抱いているのに気づいたトリッシュは内心苦笑し、淫靡な秘密の共犯者である徐倫とひそかに目配せし合った。
ルーシーもあたしたちも、いずれ準備ができたその時は幸せな初体験になるといいな……と思いながら。



一方、ヴァニラはいつものように図書館で司書のDIOの仕事を手伝っていた。
館内の清掃と書架の整頓を終えて一息ついたところでDIOに声をかけられ、背筋を正した。

「ああ、構わん。 楽にしろ」
「はっ」
「時にアイス……昨日はずいぶんお楽しみだったようだな?」
「!!!」

ヴァニラは卒倒しそうになったのを強靱な精神力で踏みとどまった。

「ゲロを吐きそうになるほどうろたえなくてもいいじゃないか……
 お前がどういうふうに上手くやったのか……ひとつこのわたしに話してくれるとうれしいのだが……」

いっその事、命をよこせと要求された方がましだったかも知れない。
友人との秘密を守らなければならない義務感と、全て自白して泣きつきたいという複雑な気持ちの間で葛藤するヴァニラをDIOは面白そうに見つめていた。



<……HAPPY END?>

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