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奇譚小函―きたんこばこ―

R-18 二次創作テキストサイト
堕楽編

リゾット×トリッシュ

小悪魔なんてこわくない<堕楽編>

※このSSには、リゾトリの他にボストリ描写があります。


2年前、ソルベとジェラートの二人がボスの正体を探って処刑されて以来、ただでさえ疎んじられている暗殺チームの扱いは悪くなる一方だった。
ボスに飼い殺しにされている状況を打開すべく、暗殺チームはわずかな望みに賭けてボスの唯一の身内である娘を狙おうとしたが、その計画は頓挫した。
暗殺チームリーダーであるリゾットは、ボスに刃向かった責任を取らされ、制裁を受けることになった。
首謀者である自分が全ての罪を引き受ければ、仲間の罪は不問にするという条件と引き替えに。

「オレが戻らなかったら、チームの指揮はプロシュートが執れ。 皆いつも通り任務を続けろ」

自分の死刑執行書類にサインをするような取引だというのに、残される部下に指図をするリゾットの口調は他人事のように冷静だった。
もっとも、この男が感傷的な台詞を吐く姿など見たことがない。
生死を共にした部下達は、いつも通りの気安さで死地に向かうリゾットに軽口を叩いたが、お互い次に会えるとすればあの世でだろうと誰もが理解していた。

(オレ達をすぐに殺さなかった事を後悔させてやるぞ……ボス)

処刑台に向かう囚人よりも絶望的な運命にありながら、そう密かに独白するリゾットの眼にはまだ生を諦めない堅い意志の光があった。



同時刻、誰も知らない某所でリゾットの写真を眺める一人の男がいた。
部屋に家具の類はほとんどなかったが、デスクの上には書類や写真が溢れている。
そのどれもが、組織の中でも汚れ仕事を専門とする故に存在自体を秘匿された暗殺チームに関するものだった。
PCのディスプレイのかすかな明かりが、男の横顔を照らす。
この男こそが、暗殺チームが血眼でその正体を探っていたパッショーネのボス――ディアボロだった。

……リゾット・ネエロ。
組織の発展にずいぶん貢献してくれたが、今となってはいいかげん用済みだ。
今まで飼い殺しにしてきたが、組織の内情を知り過ぎた暗殺者を処分するには、この上ない良い機会だった。
卓上に広げられた、リゾットを初めとした暗殺チームの写真を見下ろし、処刑の手順を思案するディアボロの表情はまさに悪魔のものだった。
すると、ドアが静かに開いて部屋に一人の少女が入ってきた。

「お帰りなさい、父さん」

それはディアボロの唯一の血縁者である、15歳になる娘のトリッシュだった。
父親によく似た色の髪に、睫毛の長い大きな瞳が愛らしく、あどけなさの残る顔に不釣り合いな発育のいい体つきが絹のガウンの上からでも分かる。
湯上がりの良い匂いを纏わせて、トリッシュは裸足のまま父に近付く。

「父さん、最近全然帰って来なくて心配だったのよ。 殺し屋にでもやられちゃったんじゃないかって」
「わたしがそんなドジを踏むように思うか?」
「うふふ」

そう言って、トリッシュは椅子に座る父の膝の上にちょこんと丸い尻を載せた。
ディアボロは当然のように、そのまま薄いガウンの胸元に手を滑り込ませる。
くすぐったそうにトリッシュが身をよじると、ガウンが肩から滑り落ちてしまい、瑞々しく張った胸があらわになった。
傍から見れば親子のふれあいにしてはあまりに淫靡な戯れだが、ディアボロはこの愛娘を異常なほどに溺愛しており、尋常でない父娘関係のようだった。
トリッシュは、ふと父が手にした写真に眼を留めた。

「この写真の人は?」
「お前を捕らえてわたしの正体を聞き出そうとしていた身の程知らずだ。 どうやって処刑するか今考えていた」

処刑云々という恐ろしい発言を耳にしても、トリッシュは 少女なりに父の裏稼業を知っているのか、驚きもしない。
トリッシュは自分の身を狙っていたという男の顔を初めて見た。
写真の中の男は、この世のドス黒い悪意ばかりを映すような昏い目つきをしており、トリッシュの視線はその眼に吸い寄せられたが、別の何かを見ている写真の男と眼が合うことはなかった。
ディアボロの膝の上に身体を預けながらも、トリッシュはなぜかこの昏い眼の男の事ばかりが気になっていた。

「ねえ父さん、お願いがあるんだけど」
「何だ? 言ってみろ」
「この男を、あたしに譲ってほしいの」

娘の思わぬ望みを聞いて、ディアボロはそれも悪くないと思った。
いずれトリッシュにはありとあらゆる悪徳を教え込もうとしていたが、その第一歩として生きた玩具を与えるのもいいだろう。
部下の命を盾にとられ、小娘に嬲りものにされるリゾットをあざ笑ってやるのも面白いかもしれない。

「いいだろう、お前にくれてやる。 好きにしろ」
「ディ・モールトグラッツェ」
「それにしても、どうしてこんな男に興味を持ったのだ?」
「どうしてかしら……まあ、そんな事どうでもいいじゃあないの、とにかく彼はもうあたしのものなのよね」

親猫が子猫に獲物を差し出して狩りの練習をさせるようなつもりで、暗殺者リゾットは生きた玩具、あるいはペットとしてトリッシュに贈られる事となった。
しかしこのディアボロの思惑にはただひとつ、小さな誤算があった。
リゾットの写真を見たその瞬間、トリッシュの胸の中に芽生えた感情の名前は、本人さえも知らなかったが、それは恋と言った。



目隠しをされ、手錠をはめられてどことも知れぬ場所へ連行されて来たリゾットは、ただ一人今後の処遇を待ち受けていた。
リゾットは目隠しの布切れ以外何も身に着けていなかった。
身体検査を受け、衣服や持ち物はすべて剥奪されたのだ。
こんな格好にされたのは、今後人間扱いすらされない事をリゾットに理解させ、屈辱感を与える意味も含まれているのだろう。
視界を塞がれながらも、リゾットは感覚を研ぎ澄まして今自分がどこにいるか、手がかりを探ろうとしていた。
すると、不意に室内の空気が動く気配がし、かすかな香水の香りがした。

「はじめまして、リゾット・ネエロ」

耳元で囁く女の声と共に、目隠しが取り去られた。
光に一瞬眼を細めたが、リゾットはすぐに目の前の光景を認識した。
そこは壁紙も絨毯も、家具もベッドのシーツも深紅で統一された赤い部屋だった。
赤といってもシックな色合いのせいかけばけばしい印象はないが、娼館でもこんなインテリアはないだろう。
そして自分の前に、胸を強調した黒いエナメルのビスチェに、同素材のショーツとブーツを身につけた少女がいる。
やや癖のあるストロベリーブロンド、ぱっちり見開かれた瞳、淡く色づいた唇。
華麗さと生意気さが同居するその顔立ちは忘れようもない。

「お前は……ボスの娘か」

実際に会うという意味では初対面だったが、お互い相手の顔は写真で穴が開くほど見ている。
ボスへの唯一の手がかりとしてトリッシュを追い求めていたリゾットだったが、どうして彼女がここにいるのか分からなかった。
組織の幹部か、あるいはボス本人により制裁が下されるものと思っていたのだが…… 
そんなリゾットの考えなど知る由もなく、トリッシュは全裸の男を見下ろしている。
殊更に美男というほどでもないが荒削りの魅力がある、と面食いのトリッシュはリゾットの容姿を内心で評価した。

「あなたの眼って、実際に近くで見ると、写真よりずっと素敵ね……夜の満月みたい」

父の瞳も常人とは異なり、オパールのような斑紋状になっているが、リゾットの眼は眼球の色が反転しており、それが昏い目つきと凄惨な印象をいっそう強めている。
しかし、トリッシュはこの眼が一目で気に入ってしまった。
珍しい宝石でも鑑定するような顔で、陶酔にため息をつかんばかりにリゾットの眼を見つめている。
キスでもしそうなほどの至近距離で美少女に見つめられ、リゾットは顔にこそ出さなかったが、少しばかり動揺した。

「何のつもりだ……オレが用があるのはお前の父親のほうだ」
「父さんは忙しいの。 だから寂しいあたしのためにかわいいペットをプレゼントしてくれたのよ」
「かわいいペット……だと?」
「ええ、今日からあなたはあたしのものになったの」

リゾットはようやくボスの意図を理解した。
自分はこの小娘に下げ渡されたのだ。
なめた真似をしてくれる……と改めてボスへの怒りがこみ上げてきたリゾットに、トリッシュは何かを差し出した。
ベルトにしては小さいそれは、黒い革の首輪だった。

「これ、あなたに似合うと思って作らせたの。 どう?」

ご丁寧に、首輪には「R」を象った銀の飾りがぶら下がっている。
組織に首輪をつけられ飼い殺しにされていたリゾットに首輪が似合うとは、たちの悪い冗談としか思えなかった。

「さすがはボスの娘といったところか……悪趣味な血は争えんな」

リゾットが皮肉を込めて、吐き捨てるように呟いたのを聞きとめたトリッシュは、少しムッとした顔でリゾットに釘を刺した。

「そうね、だったらあたしに向かって口をきく時はあなたのボスに対するようにしてちょうだい。
あたしは別にどうでもいいけど、部下の皆さんが無事でいられるかはあなた次第なのよ?」

アキレス腱である部下の事を持ち出され、一瞬リゾットの眼が殺気を帯びた。
しかし、くだらないプライドのために事を荒立て、事態を悪化させるつもりはなかった。
相手にすぐ殺すつもりがないのはむしろ好都合と思い、リゾットはとりあえず機を伺う事にした。
あくまで表面上であったが、従順にその場にひざまずいたリゾットの態度に気を良くし、トリッシュは手ずから黒い首輪をつけてやった。

「よく似合うわ」

トリッシュはご満悦で、うつむいたリゾットの顔を上に向けさせた。
態度こそしおらしいが、リゾットの毅然とした表情はあくまで硬く、その眼は狙撃銃の照準器のように相手を見据えていた。
気の弱い者なら睨まれただけで縮み上がりそうな視線を受けても、トリッシュは怯えるそぶりすら見せなかった。
もしリゾットが媚びるような眼で自分を見てきたなら、彼への興味は失せていたことだろう。

「さて、何をして遊ぼうかしら」

どうせろくな事ではないだろう、とリゾットは思った。
全裸の男とポーカーをして遊ぶような奇特な趣味の女がいるとは思えない。
その想像を裏付けるように、トリッシュは品定めするような眼でリゾットの全身を眺め回している。
骨格の太さが分かる首筋や広い肩、胸から腹筋にかけての硬質な線、その下の性器までも。
男のそれがどういうふうになっているか知らないわけではなかったが、それでも自分にないものは気になる。
ふと、トリッシュはある事を思い出した。
友達と少しエッチな話で盛り上がっていた時、こんな事を聞いたのだ。

「……それでね、アレを足で踏んで弄ってくれって言われたのよ。信じられないでしょ?」

友達は苦笑しながら言っていたが、トリッシュは内心かなり驚いていた。
ペニスを手で弄るなら分からないでもないが、足で踏むような仕方があるなんて想像がつかなかった。

(そーいうふうにされると気持ちいいものなのかしら……
痛いだけじゃないの? あの娘の彼氏っていわゆるMってやつ?)

それをどうして今思い出したのかは分からないが、トリッシュは目の前の男で実際に試してみたいと思った。
ブーツを履いたままか、それとも裸足でやるか少し悩んだが、とりあえず履いたまましてみる事にした。
トリッシュが何かをする気なのを察し、リゾットは身構えたが、ボスの娘は思いもよらぬ行動に出た。

「!!」
「動かないでね」

黒いエナメルのブーツの靴底が、ひざまずいたリゾットの股間の上に載せられていた。
後ろ手に手錠をかけられているので、突き離す事もできない。
そのまま体重をかけてゆっくり圧迫され、踏み潰す気か、とリゾットは危惧した。
さすがに冷や汗が吹き出たが、いつまでたっても急所にそれ以上の負荷はかからない。
トリッシュは潰れないように加減しながら2・3分、そこを靴の裏で愛撫していた。
動物の死骸のようにぐにゃりとしていて、靴越しでもあまり気持ちのいい感覚ではない。

(なかなか勃起しないわね……この人、もしかして不感症なのかしら?)

トリッシュはそう思ったが、こんな異常な状況下で勃起できる方が無理というものだ。
それでも根気強く、硬い靴底でぐりぐりと単調な刺激を与え続けると、徐々にではあるが肉の塊は充血し、ブーツの底を持ち上げるように反り返ってきた。

「あ……硬くなってきたわ」

トリッシュは嬉しそうに、その変化を指摘した。
勃起し始めたのと前後して、リゾットの息が荒くなりつつある事にも気を良くし、トリッシュは尖ったヒールの部分も使ってペニスを責め続ける。
トリッシュはだんだんコツを掴み始めていた。

「……く……」

リゾットの噛み締めた唇の間から、押し殺した呻きが小さく漏れた。
どんな屈辱を受けようとも、ボスに一矢報いるまでは死んでも死にきれない。
リゾットは長く裏の世界に身を置いてきて、拷問された事や同じ組織の者に私刑を受けた事も一度や二度ではなかった。
その時の苦痛に比べれば、こんなものは悪ふざけのうちにも入らない。
そう思って耐えていたが、小娘にペニスを踏みにじられて勃起している浅ましい自分の姿が、ひどく情けなく思えて仕方なかった。

「リゾット、こんな事されて気持ちいいの? ほら、言ってみなさいよ」

トリッシュは抵抗できないリゾットをいたぶるようなサディスティックな台詞を吐いたが、それはむしろ自分の興奮を煽るための台詞だった。
組織随一の暗殺者を足蹴にしながら、彼は今まで一体どれだけの人間を手に掛けてきたのだろう、とふとトリッシュは思った。
それでも今は、小娘ひとりにこんな仕打ちを受けていながら何もできはしない。
この男を苛めるも可愛がるも自分の思うままにできるという事に、トリッシュは例えようもなく興奮していた。

「きゃっ……!」

いきなりトリッシュの脚に温かいものが降りかかった。
黒いブーツから太腿にかけてをべっとりと汚しているそれは、勢い良く迸った精液だった。
身体にはかすり傷さえも負わされていなかったが、トリッシュのブーツの底で射精させられたリゾットは打ちのめされた顔で呆然としていた。

「あぁ、お気に入りのブーツが汚れちゃったわ……」

トリッシュは上気した顔のまま、脚にかけられた精液を拭おうともせずにベルベットの赤いソファに腰掛けた。

「舐めてきれいにしてちょうだい」

その要求に、リゾットは歯を食いしばった。
この生意気な小娘を今だけいい気にさせてやるだけだ、と自分に言い聞かせ、嫌悪感を堪えてトリッシュの足下に這い蹲る。
自分が出した体液とはいえ、正直言って口にしたいものではないが、リゾットは渋々ブーツのつま先からまだ温度の残る精液を舐め取っていく。
黒いブーツの上に伸びる白い腿へと唇が上っていこうとした時、自分を見下ろすトリッシュと目が合った。
トリッシュの情欲に濡れた眼に、奉仕するリゾットの姿が映り込んでいた。

「どうしたお嬢様、オレを足蹴にして楽しんでいるうちに濡れてしまったのか」

いつものリゾットなら、絶対に口にしないような下卑た台詞だった。
ボスの娘の不興を買うことを知っていながら、どうしてこんな挑発的な言葉を吐いたのか自分でも分からなかったが、リゾットも知らず昂っていたのかもしれない。
トリッシュは見る間に顔を紅潮させ、自分の足下にひざまずくリゾットの横面を蹴り飛ばした。
床に手をつく事もできず、リゾットは無様にその場に倒れる。
口の端から血を流すリゾットには目もくれず、トリッシュはドアを開け、外に立っていた護衛の男に、このクソ野郎を連れて行きなさい、と金切り声で命じた。



赤い部屋に一人になったトリッシュは、ブーツを履いたままベッドの上に横になった。
恐る恐るショーツの中を指で確かめてみると、リゾットの言葉通り、そこは蜜をこぼしたように濡れていた。
妄想や自慰で何度も経験した事はあるが、染みを作るどころかショーツがじっとり重くなるほど濡れてしまったのは初めてだった。
濡れて冷たくなった感触が不快でショーツを履いていられず、放るように床に脱ぎ落とした。
アンバランスな格好のまま仰向けになって、蜜漬けの花びらをなおも指で探る。

(リゾットを苛めて、こんなに濡れてしまったんだわ……)

リゾットの舌が、精液で汚れたブーツを這う様を思い出して、トリッシュの指遣いが一層激しさを増した。
自分の頼りない指なんかじゃなくて、リゾットの舌がいい。
リゾットのあの唇と舌とで、誰にも見せたことのないところも、ふやけた指にまとわりつく蜜も全部舐め取ってほしい。
リゾットの口戯と視線に追いつめられてあたしがイッてしまうまで、あの眼で全部見ていてほしい。
エスカレートする淫靡な妄想の中で、トリッシュはさっきまで足蹴にしていた男に奉仕されながら視姦されていた。
深紅の寝台の上で華奢な身体を震わせ、指を挿入することさえなく気をやったトリッシュがリゾットの名を呼んだ事を、誰も知ることはなかった。


TO BE CONTINUED…


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