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奇譚小函―きたんこばこ―

R-18 二次創作テキストサイト

リゾット×トリッシュ

小悪魔なんてこわくない<恋獄編>

※このSSには、リゾトリの他にボストリ描写があります。


赤い部屋の夢を見た。
薔薇の花びらの中のような赤い部屋に、少女が一人で佇んでいる。
こちらに背を向けている少女に近づこうとしたが、透明なガラスに遮られているように、なかなか側に行けない。
夢だと半ば自覚しているのにこんなに必死になっているのは、その少女があまりに寂しげな様子だったからだ。
しかし、いくら前に進もうとしても、どうしても彼女の側に行けない。
その理由は後ろを振り向いて初めて分かった。
自分は首輪をつけられた犬になっていて、自分の後ろにいる男がその首輪の鎖を握っていた。
男の顔を見た瞬間、赤い部屋ごと全てが崩壊して夢から醒めた。

「…………」

硬い床の上で目を覚ましたリゾットを見下ろしていたのは、現実ではバンダナで髪をまとめた目つきの鋭い男だった。

「さっさと起きろ、お嬢様がお呼びだ」

顔も洗わないまま目隠しをされ、連行される。
ここ数週間の間、リゾットは倉庫のような部屋に監禁されていたが、時々そこから出され、あの赤い部屋でボスの娘の相手をさせられていた。
初日に反抗的な口をきいた事をボスに告げ口されるのではと思ったが、トリッシュはリゾットの無礼を父に訴える事はなかったようだ。
もしそうしていれば、リゾットは部下もろともとっくにこの世から抹殺されていただろう。
少なくともトリッシュはリゾットを飢えさせたり取り返しのつかない傷を負わせるつもりはないようで、ある程度の待遇は保証していた。
相変わらず全裸に首輪というみっともない格好だが、今は手錠も外されており、両手が自由になっている。
いまやリゾットは暗殺者ではなく、ボスの娘のお気に入りの玩具だった。
トリッシュはこの生きた玩具を手ずからバスルームに連れていって、犬を洗うように身体をきれいにしてやったり、四つん這いになったリゾットの背中を椅子代わりに、雑誌を眺める事もあった。



今日のトリッシュは黒いサテンのドレスとお揃いの長手袋を身に着け、寝椅子にもたれている。
履いていた華奢な靴は床の上に揃えられ、黒い裾から伸びる細い足首、そのさらに先にあるちんまりした裸足の指をリゾットは舐めさせられていた。
こういう事をさせられるのも初めてではない。
リゾットは初めて足を舐めさせられた時の事を思い出していた。
トリッシュがもういい、と言ったにもかかわらずリゾットは舐め続け、ひどく折檻されたのだった。
命令を無視したリゾットをトリッシュは容赦なく鞭で打ったが、背中を赤い蚯蚓腫れで埋め尽くされてもリゾットは悲鳴一つ上げなかった。
どうしてあの時、耐え難いはずの屈辱的な行為を続けたのか、リゾットは自分自身でよく理解していた。
トリッシュが愛撫に眼を潤ませる悩ましい表情を、できるだけ長い間見ていたかったからだ。
奉仕しながら、一方ではこのお高くとまった令嬢を性的に屈服させる事に、リゾットは倒錯的な悦びを覚えていた。

「はぁ……」

トリッシュがかすかに漏らしたため息は、隠しようもない熱を帯びていた。
ペディキュアをきれいに塗った爪が唾液にまみれている様は淫蕩な眺めだったが、トリッシュの物欲しそうな表情はそれ以上だった。
紅を刷いた唇がさっきから開いたり閉じたりしているが、言葉は出てこない。
何かを望んでいるのに、口にするのを躊躇っている様子を察し、リゾットの唇はつま先から足首、ふくらはぎへとトリッシュを追い詰めるように無言で這い上っていく。
命令にない事をしても、今度は折檻されたりはしなかった。

「リゾット……こっちも……」

覚悟を決めたのか、トリッシュは自分の手でドレスの裾を捲った。
黒い裏地との対比でよけいに白く見える内腿があらわになった。
驚いた事に今日のトリッシュは下着をつけておらず、産毛も生えていない恥丘がすぐ目の前に見えたが、リゾットはうろたえる素振りさえなく、白磁のような内腿に口付けを繰り返しながらそこを目指した。
ただ、リゾット自身はひざまずいているのに一カ所だけ勃ち上がっている、ごまかしようのない器官だけがリゾットの押し殺した劣情を示していた。
女主人のスカートの中に頭を突っ込んで奉仕するリゾットの姿は、飼い主にじゃれつく犬のよう、と例えるにはあまりに淫猥な構図だった。

「あっ……! んっ……くふぅ……」

トリッシュは生まれて初めてそこに父以外の男による刺激を受けた。
唇どころか、手の甲に口付けするのも許していない相手に情熱的なキスを許している。
成長過程の肉体はボスの手によって徐々に開発されてはいたが、最後の一線である処女は手つかずのまま守られており、そういう意味ではまだ初心と言えた。
黒い布一枚で遮られて、トリッシュからはリゾットの奉仕する姿が見えず、リゾットからはトリッシュの悶える表情が見えなかったが、それがお互いをますます燃え上がらせた。
スカートの中で柔らかい太腿に左右から首を締め付けられながら、花びらの中で甘い蜜を賞味する蜂のように、リゾットはボスの娘の秘密を味わい尽くした。

「ひっ……!!」

リゾットの舌技に追い上げられ、寝椅子の上で脱力したトリッシュはあらぬ所を見つめながら熱い息を弾ませていたが、スカートの中から抜け出したリゾットが何事もなかったような顔で自分を見下ろしているのに気付き、怠そうに体を起こす。
乱れたドレスの裾を直してやろうと近付いたリゾットに、トリッシュは理不尽にも平手打ちを食らわせた。

「誰が、お……お尻の方まで舐めなさいって言ったの!? お仕置きしてやるから、覚悟しなさいッ」

しつけの悪い犬を調教するべく、トリッシュは鞭を取りに行ったが、リゾットはそんな事など意に介さず、それにしても後ろの穴を舌先で探った拍子にイッてしまうとは思わなかった、と考えていた。



さらに数日が経過した頃、トリッシュは話したいことがある、と父に呼ばれた。
無論、リゾットをおねだりした時とは別の場所だ。 用心深いディアボロは同じ場所に何度も立ち寄ったりはしない。
今回娘と会う場所に選んだのは、高級ホテルの一室だった。
リゾットを苛めている時とはうって変わって、良家の令嬢然とした振る舞いでトリッシュはホテルのドアをくぐった。
ディアボロは鷹揚に微笑みながら愛しい娘を出迎える。

「お前にくれてやった『犬』のしつけはどうしている?」
「今のところ、命令には忠実だわ。 表向きだけのようだけど」

トリッシュはできるだけ素っ気ない言葉を選んだが、リゾットとの淫靡な戯れを思い出し、ぽっと胸を熱くした。
そういえばあたし、まだ彼の事をほとんど知らないんだわ、と気付き、父にリゾットの過去を訊ねようとする。

「リゾットって、どうして殺し屋なんかになったの? パッショーネに入る前からああいう仕事してたのかしら? 父さんは何か知ってる?」
「……ずいぶんとリゾットを気に入っているようだな」
「そうかしら?」
「もう充分に遊んだだろう、処分するには頃合いだ」

トリッシュは父の言葉に、全身から血の気が引くような感覚に襲われた。
娘の顔が青ざめる様子を見ても、ディアボロは表情を変えない。

「……リゾットを、殺すの?」

娘の唇が、リゾット、と名前を呼んだ事が何故か癇に障った。
すぐに飽きるだろうと思っていたが、ここまでリゾットに入れ込むとは予想外だった。
もともと猜疑心や独占欲が人一倍強いディアボロだったが、それは娘に対しても例外ではなかった。
自分のものである娘が、他の誰かに心を奪われるのが許せないのだ。
トリッシュはお気に入りの玩具を取り上げられた子供のような表情で立ち尽くしていた。

「お願い、殺さないであげて」
「情でも移ったか」

ディアボロはリゾット以下暗殺チームを、遅かれ早かれ一人残らず殺すつもりだった。
今も暗殺チームには常に監視がついているし、リゾットにせよトリッシュの玩具になった事で、寿命がわずかに延びたに過ぎない。

「玩具が欲しいなら新しいものをくれてやる。 この間組織に入った新入りだが、お前と同い年の金髪の小僧なんかはどうだ?」

うつむくトリッシュには、父の声ももはや耳に入ってはいなかった。



翌日、リゾットはいつものように赤い部屋に連れて来られたが、部屋で待っていたトリッシュはどこかそわそわして様子がおかしかった。
ドアの外の護衛を下がらせ、クローゼットの中から鞄を取り出した。
苛めるための新しい道具でも手に入れたのかと思ったが、鞄の中には、リゾットがここに連れて来られた時没収された衣服や持ち物が収まっていた。
それを着なさい、とトリッシュは手短に命令した。

「もうじき港に着くわ」

前置きなしで発せられたトリッシュの不可解な台詞にも、リゾットはおかしな顔をしなかった。
自分のいる所が組織の所有する客船の中だという事に、すでに感づいているようだった。
部屋間を移動する時に目隠しをされているせいで、かえってはっきり感じられる機関のかすかな振動や揺れから、恐らく建物の中ではなく移動する船内にいるのだとリゾットは見当を付けていた。
仮に監禁されている部屋を脱出しても、海上で立ち往生してしまう。 いかにもボスらしい念の入ったやり口だと思った。

「親衛隊のスタンド使いは、食事に薬を入れて眠らせているから、その間にすぐ船を出てあなたの部下に連絡を取って、駅や空港に父の手が及ばないうちに逃げなさい」

言われるままにリゾットが衣服を身に着けている間にも、トリッシュは言葉を続ける。
鞄の底を見ると、リゾットの私物の他にも分厚い封筒があった。
決して少なくはない額のユーロ紙幣が詰められている。 逃亡資金のつもりだろうか。
あまりに都合が良すぎるお膳立てに、リゾットは初めて疑問を口にした。

「どういうつもりだ……?」
「だから、早く逃げて欲しいって言ってるのよ。 父は……ボスはあなたを殺す気だわ」

今の状況は、処刑までの猶予を与えられているに過ぎない事を分かっていたので、それを聞いてもリゾットは別に驚きもしなかった。
むしろこの状況で逃亡を勧められた事こそ罠ではないかと思ったが、リゾットの観察眼をもってしてもトリッシュの真剣な表情からは、嘘や演技の欠片も見つからなかった。

「分かったら早く出て行って、ボスに気付かれたら今度こそあなたの部下も皆殺しにされるわ」
「オレはともかく、部下の事まで心配してくれるとはな」
「だって……あなたは部下のために、あたしの玩具にされたんでしょう?
 一人で逃げるつもりなら、とっくにそうしているんじゃないの」
「お優しい事だ」

汚れ仕事専門の暗殺チームは今まで蔑まれこそすれ、こんな気遣いを受ける事はなかった。
あのボスの娘に身を案じられたと知ったら部下達はどんな顔をするだろうと思い、リゾットは緊迫した状況だというのに急に可笑しくなった。
トリッシュは神妙な顔をして、リゾットに抱きつき胸に顔をうずめた。

「……お別れね。 あなたといて、楽しかったわ」

生意気ないつもの振る舞いからは想像もつかない、しおらしい台詞だった。
無防備な細いうなじが、リゾットの手が触れられるところにある。
今までの意趣返しに絞め殺してやる事もできただろうが、リゾットはそんな事など思いつきもしなかった。

「最後に一つ聞かせてくれ、どうしてオレを逃がす気になったんだ」

いっそ殺して永久に我が物とする事もできたのに、トリッシュはそうせず、自分にまで危険が及ぶリスクを冒してもリゾットを救う道を選んだ。
そこがボスと彼女との決定的な差なのかもしれない。
トリッシュは顔を上げ、リゾットの黒い眼をまっすぐに見つめた。
土壇場でやっと自覚した想いを伝えようとした。

「ずっとあなたを苛めていたのに、こんな事言っても信じてもらえないかもしれないけど……あたし……たぶん、あなたが好き……みたいなの。 ……笑わないでね?」
「……トリッシュ」
「!!」

リゾットは初めて『ボスの娘』ではなく、トリッシュという名を呼んだ。
何度となく見つめたその黒い眼に、いつもと違う感情が宿っているように思えたのは、トリッシュの気のせいではないだろう。

「悪いが、逃げる事はしない」
「どうして!?」

組織の邪魔者を排除し続けてきた暗殺チームは、下っ端のチンピラとは違い、組織にとって命取りになる情報を知りすぎている。
例え外国に逃げようとも、自ら屍体を確認するまでボスは追っ手を差し向けてくるだろう。
何より、今まで自分達を利用してきたボスから尻尾を巻いて逃げるなどリゾットは気に入らなかった。
保身を選ぶより、どんな屈辱を味わっても最後まで刃向かう事だけが、リゾットに残されたただ一つのプライドだった。

「その話が本当なら、ボスは近いうちに自らの手でオレを殺しに来るだろう……願ってもないチャンスだ。 お前の気持ちだけ受け取っておく」

そう言うリゾットは、トリッシュに玩具にされている時とは違う冷徹な暗殺者の顔をしていた。
この人は父を殺す気なんだわ、とトリッシュは今更のように思い出し、一瞬だけ背筋を寒くしたが、ふと、リゾットの姿にある違和感が眼に留まった。

「リゾット、そんなに気に入ったの? ……それ」

今のリゾットは黒い衣服に身を包んでいたが、トリッシュに指摘されて、彼女に贈られた革の首輪を着けたままでいた事に初めて気が付いた。
単に外すのを忘れていただけだが、それぐらい首輪に馴染んでいたのだろうか。
この場にそぐわない妙な空気になり、二人とも堪えきれず吹き出してしまった。

「あなたって本当に面白い人ね……ますます死なせたくなくなったわ、ねえ、あたしに何かできる事はない?」
「とりあえず、部下に連絡だけさせてくれ。 あとは、いつも通りオレを足蹴にしたり椅子代わりにしてくれればいい」
「もう、リゾット!!」

トリッシュの真心に対する暖かな気持ちが、リゾットに珍しく冗談を言わせた。
今までボスの娘に虐げられ、爛れた遊戯に付き合わされながら、彼女を憎みきれない理由が分かった気がした。
リゾットは首輪を外さないまま、悪女のふりをした少女を抱き上げて深紅の寝台へ連れて行った。
トリッシュは驚いて脚をばたつかせたが、すぐに寝台の上に放り出されてしまった。

「どうした? 今日はいつもの遊びはしないのか」

リゾットに意地悪く訊かれ、昨日まであたしの従順な犬だったくせに、と納得行かない気分になる。
でも、あたしが本当にしたかったのは、あんな遊びなんかじゃなくて……

「違うの、今日は『遊び』じゃなくて……本気なのよ」

トリッシュは、リゾットが何故自分を寝台に運んだか分からないほど幼くはなかった。
それなりに知識はあるものの、どうやって交歓の意志を示せばいいか分からず固まってしまったトリッシュを、リゾットは導いてやった。
死者の瞼を閉ざすように、自分の手でトリッシュの眼を閉じさせ、静かに唇を重ねた。
ちゅっ、ちゅ、という気恥ずかしい音に、トリッシュの頭にいっぺんに血が上った。
リゾットの舌が、触れ合った瑞々しい唇の中へと潜り込み、薄い舌を絡め取った。
互いの唇の間で、粘膜を灼きそうな熱い吐息が交わされる。
そう長い時間でもなかったが、キスが終わった時トリッシュは濡れた唇もそのままに放心していた。

「リゾット……」

トリッシュは顔を真っ赤にして、さっきのキスを確かめるように自分の唇に指先で触れた。
もっともキス自体は初めてではなく、父との秘められた戯れの最中では互いに舌を絡ませ合う事もしょっちゅうだったが、さっきリゾットと初めて交わしたキスではトリッシュはただ奪われるままになっていた。

「唇は今したのが初めてだが、そういえば別のところにはもうキスしていたな」

リゾットのあけっぴろげな台詞に、唇での奉仕を思い出したトリッシュは、これからもっとすごい事をされちゃうんだわ、と勝手に想像して胸を熱くした。
トリッシュはどきどきしながら相手に身体を預け、かすかに震える声でこう囁いた。

「今度はあたしを、リゾットの好きなようにして……」

初めからそう言えば良かったのに、だいぶ遠回りした気がする。
リゾットの眼をまともに見られず、トリッシュは怯えながらも期待していた。

(あっ……)

今までしてきた仕打ちのお返しに、どんな乱暴な事をされるかと思っていたが、リゾットの手つきは女主人であった時のトリッシュを扱うのと同じように、繊細で優しかった。
トリッシュは戸惑ってリゾットを見上げたが、彼の表情はいつもと変わらず平然としていた。
面積の少ない黒いレースの下着を取り払われ、生まれたままのトリッシュの肢体は、深紅の夜具にとても映えた。
寝台の上に座ったまま、まだ不安そうにしているトリッシュの首すじや耳にキスをしながら、リゾットは彼女の緊張を解きほぐしていく。

「ん……ふふっ、くすぐったいわ……」

ふざけて犬のように鎖骨の辺りを舐め上げてやると、トリッシュは小さく声を上げて身体を震わせた。
その頬は色づいた林檎のように上気し始めている。
今まで生殺しにされていた分をたっぷり身体で返してもらおうと、リゾットは華奢な身体の中で一際発育の良さが目立つ乳房を手の中に収めた。
はちきれそうな弾力が、掌の中でむにむにと柔軟に形を変える。
いつまでも触れていたいと思うような手触りだった。
張り出した胸とは対照的に控えめな突起をリゾットの指先で捉えられ、ただでさえ敏感なそこをきゅっと摘み上げられたり、そのままくりくりと嬲られたりすると、トリッシュは早くも自分の中から蜜が滲み出るのを自覚した。
実父に手ずから育ち具合を確認された事は何度もあるが、リゾットに触れられるのはそのどんな時よりも恥ずかしく、気持ちよかった。
愛撫が激しくなるにつれてトリッシュの肌は熱を帯び、リゾットの掌や指先もその熱が移ったように熱くなっていく。
トリッシュを丁寧に扱うのは、相手にとって初めての男になった事はまだない、リゾットなりの気遣いだった。

(いやぁ……あたし、変になっちゃいそう……)

トリッシュが服越しに背中に爪を立て、腰をもじもじさせているのに気付き、リゾットはもう良いかと思い、投げ出された脚の間に身体を割り込ませた。
むしゃぶりつきたいようなミルク色の内腿のさらに奥にある、一際柔らかそうな丘を指で左右に開いてやると、薔薇の蕾が開いたような鮮やかな色合いが見えた。

「そんなところ、あんまり見ないで……」

トリッシュが心底恥ずかしそうに、涙目で訴える。
今まで何度も奉仕させていたというのに、勝手なものだ。
おもむろにリゾットが前をくつろげて反り返った肉棒を取り出すと、トリッシュははっとした顔になった。
勃起している状態は何度も見た事があったが、目の前のものは今までのどんな時よりも大きく思えた。
とても怖いのに目が離せない。
舌とも指とも違う感触が大事なところに押し当てられ、トリッシュは反射的に身体をこわばらせたが、リゾットは止めなかった。

「い、痛っ、いやあぁぁぁっ」

亀頭が狭い肉路をくぐり抜けるあまりのきつさに、トリッシュは泣き叫んだ。
リゾットを苛めていた罰なんだわ、と思い、必死に堪えていたが処女を引き裂かれる苦痛は耐え難かった。
リゾットが根本まで収まるまでにそれほど時間はかからなかったが、かつて自分の靴で踏んで弄んでいたもので犯され、トリッシュは痛切な声を上げ続けた。
トリッシュの純潔と同じ色をした寝具のせいで、血の痕は目立たなかったが、結合部から滲んだ血は白磁のような柔肌を痛々しく彩っていた。

(これで、ボスがオレを殺そうとする理由が一つ増えるな)

開通したばかりのトリッシュの中は当然のようにこなれておらず窮屈だったが、細かな襞々が隙間なく包み込んでくるようで、リゾットはすぐにでも抽挿したいぐらいだったが、身体の下で泣いているトリッシュが落ち着くまで待った。

「ちゃんと気持ちよくしないと、許さないから……」

服を着たままのしもべに抱かれながら、裸の女主人は気丈な口をきいた。
とはいえ、いきなり腰を使うのもどうかと思い、リゾットが繋がったところを見下ろすと、破瓜を済ませたばかりで痛々しく張りつめた花襞の間から蕾がちょこんと頭を出していた。
蜜にまみれて光っているそれに誘われるようにリゾットの指が伸び、いつもトリッシュ自身が慰める時以上に繊細なやり方でそこを愛撫した。
慣れたところへの刺激は効果的だったらしく、さっきまでひいひい泣いていたトリッシュは、早くも艶を含んだ声を上げはじめた。

「あっ……あんっ、そこ……」

小さな小さな部品を守る包皮を注意深く剥き、濡れた指の腹でにゅるっ、と擦り上げてやると、軽くイッてしまったように身体を仰け反らせた。
どちらかがほんの少し身じろぎすると、結合部の滑りがとても良くなっているのが分かって、トリッシュはとても恥ずかしかったが、粘膜がひきつれるような辛さは和らいで、もうあまり痛くはない。
頃合いをみて、リゾットはいったん腰を引いた。

「あ! 抜かないでっ……」
「分かっている」

再びゆっくり挿入され、トリッシュは太いものでいっぱいにされる充足感にため息をついた。
まだ異物感の方が強いが、それだけに、あたしのここが今誰でもないリゾットを受け入れてるんだわ、と自覚して嬉しくなった。
トリッシュが痛がらないのを見て、リゾットは徐々にペースを上げていった。

「何か、変な気分だわ……お腹の奥が熱くなってる……」

もうすっかり女の顔をしたトリッシュは、今まで味わった事のない感覚に切なそうに眉を寄せていた。
トリッシュが自分でも知らないところをリゾットは一つ一つ調べていき、どうすればより悦ぶかと力強く突いたりゆっくり擦ったりする。
リゾットの腕の中でトリッシュが淫蕩に目覚めていくのは、固く縮こまっていた蕾が徐々に開いていき、大輪の花を咲かせるのを見るようだった。

(あたし、淫乱なのかしら、初めてなのにこんなになっちゃって……)

安心しきってリゾットに身を委ねるトリッシュには、夜に浮かぶ月のような眼も、爪を立てている広い背中も、身体を支えてくれる大きな手も、愛しくてたまらなかった。
抽挿のたびに細かな襞々を太い肉でくまなく擦り上げられると、身体はぞくぞくと震え、粘膜はリゾットを無意識に締め付けてしまった。
どうして男性器の先端は矢じりみたいなおかしな形になっているのか分からなかったが、こうやって気持ちよくするためにあるんだわ、とトリッシュは理解した。
リゾットの、きもちいい、と知らず口からこぼれ出ていた言葉に、相手が少し笑ったような気がしたが、すぐに何も分からなくなった。
白熱するトリッシュの頭からは父の事など消え失せ、自分の父を殺そうとする男に抱かれながら、トリッシュは堕ちていった。

「リゾットっ、見てて、最後まで全部っ……」

その命令を最後に、トリッシュの腰が小さく跳ね、息絶えるようなため息と共に全身から力が抜けた。
悩ましく寄せた眉、情欲に濡れた眼、名前を呼ぶ形に開いた唇、その全てを見届けてからリゾットはトリッシュの身体の上に大量に射精した。
本当は自分の手の中にでも出すつもりだったが、最後まで冷静でいる事はできなかった。
悦楽が引き潮のように去っても身体は熱く痺れたままで、二人ともシーツの色が変わるくらいにたっぷり汗をかいていた。

「はぁ、はぁ」
「大丈夫か」
「……中で、イけなかったの……? 気持ちよくなかった?」
「赤ん坊ができて困るのはお前の方だろう」

一丁前にリゾットの事を気にするいじらしいトリッシュの台詞に、それとも中に出して欲しかったのか、と言いかけてやめた。
この年端もいかない娘に種付けする事を思わず想像してしまい、一度放ったばかりだというのに後ろめたい情欲が頭をもたげてくる。
せっかくなのだからこの小悪魔に今まで虚仮にしてくれたお仕置きをしてやりたい、とリゾットは思った。
とは言っても、犬扱いされた仕打ちを本気で恨んでいるわけではない。
ただ、お仕置きと称して違う趣向でトリッシュを可愛がりたいだけだった。

「あっ!! な、何するの!?」

トリッシュは初体験を終えて息も整わないうちに、いきなりリゾットに後ろから圧し掛かられ、腰を持ち上げられて寝台の上に四つん這いにされた。
今までリゾットを犬扱いしてきたが、今度は女主人である自分が犬の格好をさせられる事になった。
恥ずかしい体位を強いられ、トリッシュは力の入らない身体で抵抗したがリゾットは許さなかった。
まさに食べ頃といった感じの桃尻や、さっきの余韻が残る割れ目をまじまじと見ているうちに、現金な事にまたもや下のスタンドに血が集まってくる。

「ほら、お前も犬になったぞ。 いい格好だな、トリッシュ」
「だ、だめ、こんなのっ……!! んあぁぁっ」

リゾットの胸に圧されながら、トリッシュはもう一度硬く反り返った肉塊を受け入れてしまった。
擦られて少しひりひりするものの、最初の挿入よりはずっと楽に収まったペニスが胎内で存在を主張するように脈打っているのが、トリッシュにははっきり感じられた。

「あ……あぁ……」

後ろから貫かれたのがよほど衝撃的だったのか、耳朶を真っ赤に染めて、抵抗もできず震えているトリッシュの姿態に征服欲を煽られ、リゾットは丸い尻を指が食い込むくらいわし掴みにし、後ろから力強く腰を打ち付けた。
さすがに二度目で後背位は辛いのか、激しい抽挿にトリッシュが悲鳴を上げる。
切れ切れに何かを訴えているようだったが、リゾットの耳にはこれだけ聞こえた。

「リゾットのが……奥まで、当たって……死んじゃいそうっ……」

しかしその媚を含んだ甘い声といい、物欲しそうに尻を突き出してくる所作といい、苦痛で死にそうになっているとはとても思えなかった。
ついさっきまで処女だったとは思えない順応の早さで、トリッシュは与えられる端から甘美な刺激を貪っていた。
これではお仕置きにならないな、と苦笑しながら、リゾットはぷりぷりと弾む桃尻を平手で鋭く打った。

「っ!!」

もちろん本気で叩いたわけではないが、トリッシュは尻をぶたれた衝撃にびくりと肩をすくめた。
この尻には鞭などではなく、手応えを直に感じられる素手の方が相応しい。
リゾットは抽挿の合間にトリッシュの尻を叩き、そのたびに柔らかい器が逸物を締め付けてくるのを堪能した。

「やめ、やめてぇ、痛っ……あぁーっ……!!」

口とは裏腹にトリッシュは無意識に尻を振っており、深く突き上げられるのと子供のように尻を叩かれるのを両方味わう事になった。
腰を高く掲げ、リゾットを奥までくわえ込んだ恥ずかしい格好のまま失神しそうになる。
何度も叩かれてトリッシュの尻が赤く腫れる頃、リゾットは充実した気持ちで二度目の射精を子宮口に浴びせた。
とっくにイッていたのになおも責められ続けたトリッシュは本当に死にそうになりながら、肉棒の力強い脈動と共に自分の中に熱い子種がどくどくと注がれるのを感じた。

「あぁ……あ……」
「犬に種付けされた気分はどうだ?」

中出しされた上に言葉で嬲られても、もうトリッシュは抵抗する力も残っていないようだった。
ただ、それは無理矢理に屈服させられた結果ではなく、トリッシュの表情はどこか満足げだった。
力を失った肉棒が名残惜しげに抜き出され、トリッシュは寝台に突っ伏したまま汗に濡れた背中を震わせた。

「リゾットのばかっ……あんなにして……赤ちゃん、できちゃうじゃない」
「好きにしろと言ったのはトリッシュの方だ」

トリッシュになじられてもリゾットは悪びれもせず、さっきまでの情事が嘘のようなけろりとした顔をしていた。
そういえば、自分たちが交合っている間に船はとっくに港に着いていたのだろうが、今のトリッシュにはどうでもいい事だった。
全身に汗をかいて気持ち悪いが、身体はくたくたでベッドから一歩も動きたくなかった。

「もうあたし動けない、バスルームに連れてって身体をきれいにしてちょうだい、その後でベッドまで冷えたペリエ持って来て」
「仕方のない奴だな……」

都合のいい時だけボスの娘として命令をするわがままなトリッシュだったが、リゾットは優しい事に言う通りにしてやった。
処女に無理をさせたのを気が咎めていたのかもしれない。

「リゾット! きれいにしてって言ったけど、そんな所まで洗わなくっていいわよッ!!」
「自分の出したものぐらいは自分で始末する」
「今更掻き出したっておんなじよっ……あぁ、指……だめ……!」

バスルームの中でまたひと騒動起きたが、二人は交合の痕跡をきれいさっぱり洗い落とし、まだ熱の残る寝台に戻った。
深紅の夜具に包まって水を口移しで飲ませ合ううちに、荒淫の疲れが出てきたのか、トリッシュは次第にまどろみ始めた。
年相応の少女の顔をして眠るトリッシュをそばで見つめ、リゾットはこう静かにひとりごちた。

「ボスに首輪をつけられるなどまっぴら御免だが……お前を守る番犬にならなってもいい」


TO BE CONTINUED…


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