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奇譚小函―きたんこばこ―

R-18 二次創作テキストサイト

俺屍サマナー

SECRET OF THE SCARLET(R-18)


先輩サマナーにあたる転校生・近江日生から、この町に『死の天使』を追ってやってきたという目的を聞き、たった一人で戦う彼女を放っておけず共闘を願い出たのは灯代の方だった。
足手まといだとかお節介だとか思われるかもしれないが、まだ敵か味方かはっきり分からない相手とはいえ、同じサマナーとして無関係のふりをする訳にはいかなかった。

「また安請合いしやがって……あいつが言ってる事が全て本当とは限らんぞ」
「そんな事言わないで下さい、サマナー同士困った時はお互い様ですよ」

新米のくせに一丁前の事を言う灯代に、タタラ陣内は渋い顔をしていた。
とはいえ、日生が来なければ、経験ある彼女でさえ取り逃がしたほどの厄介な奴と、灯代が単身で戦う羽目になっていたかもしれない……と思うと、やはり今後の事を考えて協力するに越した事はないだろう。

(近栄のサマナーの方はいいとしても、あの骨野郎が問題だ)

初対面の時、灯代は誤解から日生と彼女の仲魔の大江ノ捨丸と戦ったが、その後数日ほどひどい身体のだるさに悩まされた。
高レベルの屍鬼であるあの悪魔は、召喚されるだけで呪いが気化したような濃厚な瘴気を発散させる。
命に別状はなかったが、まだ半人前の灯代はそれに身体を蝕まれ、生気を吸い取られたのだった。
もちろん使役するサマナー自身が瘴気にやられては話にならないので、彼女は訓練によってか、あるいは生来のものか知らないが耐性を身に付けているのだろう。
彼女らの足手まといにならないよう灯代が戦うとなれば、まずあの恐るべき瘴気を防ぐ方法が要ると陣内は考えた。

朝から鬼首家の物置を漁っていた仲魔を灯代は不審に思っていたが、昼過ぎに人払いをした和室に呼ばれて初めて彼の意図を理解した。
畳の上には昼間から布団が敷かれており、その横に陣内が胡坐をかいて待機していた。
傍らにある古びた帳面の広げられた頁には人体図が描かれている。
陶器の壷と小さな器に取られた緋色の顔料、そして太いもの、細いものといった筆が何本も揃えられていた。

「何ですかこれ……? 絵でも描かれるんですか?」
「似たようなものだ、これで、瘴気を防ぐ『結界』をお前の身体に直接描く」

昔、お前の先祖にあたるサマナーが書き残したものだと言い、陣内はさまざまな魔除けの図柄が記された怪しげな帳面をめくって見せた。
特別に調合した顔料を使い、魔力を込めた筆で身体に紋様を描く事で、一時的に敵からの呪いを防いだり自分の能力を引き出すのだという。
灯代も初歩的な結界の張り方なら心得ているが、この方法は平家の亡霊を欺くため、体中に経文を書かれた琵琶法師の怪談を思わせた。

「さ、服を全部脱いでそこの布団に横になれ。 この図の通りに今から描いてやろう」
「お手本があるなら、自分で描けま……」
「いや、背中とかにも描かないといけないからな、失敗したらいかん」

陣内の言葉に、それなら仕方ないと灯代は不承不承うなずき、信頼する仲魔に任せる事にした。
暖房がついているため肌寒くはないが、こうして明るい中、誰かの目の前で衣服を脱ぐのはやはり躊躇われる。
既に陣内と男女の仲であり、初めて迎えた夜から数ヶ月経つというのにいまだ初心な灯代は、恥じらいに瞼を伏せながら制服のリボンに手をかけた。

(陣内様が私の身を守るためにして下さるんだから……)

医者に身体を診せるのと同じだと思って、灯代はぎこちない手つきでブラウスのボタンを外していく。
二人とも無言で視線を合わせない中、室内に衣擦れの音だけがやけに悩ましく響く。
なるべく陣内の方を意識しないように心がけ、太腿にいつも忍ばせている短刀も外して、スカートをするりと下ろした。
何の飾り気もない真っ白い下着だけになり、それも脱いでしまう。

(やっぱり最近、大きくなってきた気がする……)

灯代の尻はどちらかというと小ぶりな方だが、この変化に初めて気がついたのは下着がきつく感じられるようになった時だった。
ここだけではなく、身体のあちこちが急に柔らかく丸みを帯びてきたように思えてならなかった。
太った、というのとはまた違う変化に灯代は少し戸惑っていたが、原因は何となく察していた。
気持ちの変化が身体にも表れているのか、女性ホルモンの働きやらを挙げれば説明がつくのかもしれないが、好きな相手と触れ合う事で自分が少しずつ変わっていくのが灯代は密かに嬉しくもあった。

「では描いていくぞ」

燃えるような緋色を含ませた柔らかい筆の穂先が素肌に触れて、一瞬だけひやりとした感覚を伝え、鎖骨の線に沿ってゆっくり進んでいく。
灯代はそのくすぐったさを堪えながら、布団の上に仰向けになった裸身を恥じらい、肝心な部分を少しでも隠そうと胸を手で覆い、両の太腿をよじり合わせていた。

「おい、隠す奴があるか」
「でも……」
「全身に描かねば意味がないんだ、一箇所でも欠けているとそこから呪いが及ぶ」

そう言う陣内の筆先は絡まり合う蔓草にも、燃え盛る炎にも見える紋様を喉から鎖骨にかけて描き出す。
さっきまで必死に隠そうとしていた胸へと緋色の描線が下降し、心臓の位置へと至る。
一旦筆先が離れてようやく深く息を吐いた灯代だったが、やさしい膨らみのあわいを筆で撫でられ、んっ、と小さく息をのんだ。
寒くないはずなのに、その肌が細かく粟立っている。
灯代の両の膨らみの頂点は、触れられてもいないのに切なげに尖っていたが、そこは緋色に塗り潰されてはおらず、桜桃のように初々しい素の色を残していた。

「線が歪んでしまう……動くなよ」

筆先はさらに下降し、小さな臍のくぼみをくすぐるように二重の円を描いた。
陣内は細筆に持ち替え、臍の周りの円を取り囲むように小さな文字を書いていく。
それは神代文字と呼ばれるもので、研究者や術師など見る者が見れば意味も分かるだろうが、今の灯代には何と書かれているかなどどうでもいい事だった。
布団の生地を握り締め、早くも頬を真っ赤にしている灯代は、筆で全身を撫で回される面妖な感触に翻弄されていた。
くすぐったいと感じるよりも、次第に炙られるような焦れったさが高まり、もっと他のところも触れて欲しいと思ってしまう。

(だ、だめ……こんな時に変な気持ちになったりして……!)

これ以上の淫らな事を期待していると自覚してしまい、灯代は浅ましい自分を必死で戒めようとする。
いくら裸になっているとはいえ、陣内はそんなつもりで触れているのではないと何度も自分に言い聞かせるが、筆の愛撫に身体だけがどうしようもなく煽られていく。
柔らかな脇腹と、最近とみに丸みを帯びてきた腰が緋の紋様に覆われ……そして、これで幾度目か、乾いた筆先に再度顔料をとった陣内に「脚を開け」と言われて灯代ははっとした。
柔肌を緋色に彩る魔除けの紋様は、ごく淡い翳りに覆われた控えめな割れ目にまで及んだ。

「こ……こんな所まで……」

陣内の指に秘処をくつろげられ、その内側に視線を感じて、頬に血が上がるのを感じた。
この男神にしか許していない処だったが、それでもこんなに明るい中でまじまじ見られるのは初めてだった。
既に濡れている様を目の当たりにし、いやらしい娘だとからかわれるのではないかと思うと、灯代は消えてしまいたくなったが、陣内はあえて何も言わずそこへ筆を運ぶ。

「――ひっ」

繊細な粘膜の際をなぞっていく筆の動きに、あらぬ声を上げそうになり、灯代は慌てて口を押さえた。
すべすべした下腹部に無意識に力を入れ、爪先を引きつりそうなほど布団に突っ張らせて嬌声を堪える。
やがて、女の器官をとりまく淫靡な化粧のような紋様が完成した時、延々と生殺しにされた灯代の眼はうつろで、絶えず熱い息を弾ませていた。
描き終えた筆が離れる間際に、襞の合わせ目からちょこんと覗いている小さな蕾を濡れた筆先がかすめた。
たったそれだけの刺激だったが、もともと敏感でここを弄られればすぐに達してしまう灯代に止めを刺すには十分だった。

「んんっ……い、いやぁ……!」

灯代の唇から、抑えようもない悦びの声が上がった。
身を震わせている灯代の余韻が収まるまで待ち、薄紅に色づいた耳のそばで陣内が囁いた。
渇いた喉から発せられたその声はいつもと比べ掠れていたが、気をやった直後で朦朧とする灯代が気付くはずもなかった。

「前が乾いたら、背中側もだ」
「……はい……」

最早されるがままの灯代には、そう答える事しか出来なかった。

白靴下を脱いだ裸足の指の間にも、優美な肩甲骨の浮かぶ背中にも、滑らかなうなじの生え際にも筆を入れられ、もう声を抑える事ができなくなった灯代は、その間中啜り泣くような喘ぎを漏らしていた。
上気した肌にいっそう艶やかに映える緋色の紋様は、汗で滲んだり落ちたりする事もなく、はじめから肌に刻まれたように定着している。
締め切った室内に、官能をくすぐる甘い匂い――もっとあからさまに言うなら発情した女の匂いがむせ返るほどに立ち込めていた。

「もう……気が変になっちゃう……」

肌に筆先が滑るたびに、神経を直に愛撫されるような感覚が灯代の内側を灼いた。
灯代自身の感度の問題もあるが、施術の副作用で肉体が活性化し、体温の上昇や感覚が鋭敏化したせいでもあるだろう。
布団の上でうつ伏せから四つん這いにされ、突き出された丸い尻と内腿にも筆先が滑る。
明かりを落とした床の中でもこんな恥ずかしい格好をするのは経験がなかったが、灯代は理性まで熱で蕩けてしまったように、それさえも従順に受け入れる。
素面の時に同じ事をされていたら泣き喚いて嫌がるはずの行為だというのに、無意識のうちに腰を揺する灯代の姿に、さすがの陣内も自制がきかなくなりそうだった。

「……よし、起きてこっちに顔を向けろ」

首から下の作業を全て終えた陣内は、筆を極細のものに取替え、灯代の髪をかき上げて小さな耳飾りが光る耳を露出させた。
耳朶の内側の複雑な窪みを筆先でなぞるようにして、耳の穴を中心に細かい紋様を施していく。
普段隠れている分、特に敏感な耳に執拗なまでの愛撫を受け、灯代は一気に燃え上がった。

「あ……あぁ……ん!!」

下手に身動きすれば描くのに失敗してしまうと知りながら、灯代は堪らず陣内の大きな肩にしがみついた。
それを予測していたように陣内は直前ですっと筆を耳から引き、震える裸の肩を宥めるように撫でてやる。

「もう少しだからな、頑張れるか?」
「陣内様……私、途中でおかしくなっちゃうかも……」
「大丈夫だ、いきそうになったらそう言え」

感覚ばかりが暴走する身体が自分のものでないようで恐ろしく、泣き出しそうに潤んだ眼で訴える灯代だったが、陣内の言葉に安心したようにまた身を委ねた。
陣内の腕の中で華奢な肢体は燃えるように熱く火照り、悩ましい息遣いに震えながら、堕ちるその時を待っていた。
耳の工程は実際にはせいぜい数分に過ぎなかったが、耳朶を嬲られる灯代には数時間にも感じられ、ついに限界が来た。

「だめっ、もう……い、いっちゃう…… っ!!」

どれほど敏感になっていたのか、耳を責められただけであっけなく二度目の陥落を迎えた灯代は、紅潮した背中に玉の汗を浮かべて荒い息をついていた。
それでも煮え滾るような情欲は収まるどころか、狂おしいほどに昂まり続ける一方だった。

「最後の仕上げだ」

そう言い、陣内は灯代の顎に手をかけて顔を上向かせた。
化粧を施すのと全く同じ要領で、無骨な指に掬われた緋色が灯代の目元と唇にのせられ、艶やかに染めていく。
裸の全身に緋色の紋様を纏った灯代の姿態は、この世のものとは思えないほど奇妙で美しかった。
陣内の指が唇から離れ、終わったぞ、と声をかけられた時、灯代は陣内の首に両腕を回して縋りつき、緋色に塗られたばかりのその唇を相手の唇に重ねていた。
これまで交わした事がないほど情熱的な口付けに、陣内は一瞬戸惑ったが拒んだりはせず、灯代の背中を抱いて同じだけの激しさで返した。

「はあぁっ……」

好き放題貪られた緋色の唇から、火のような吐息がこぼれた。
陣内の隻眼を間近で見つめながら、灯代はいじらしく哀願する。

「もぉ……我慢できないのっ……陣内様、お願い……」

そう口に出すまでもなく、狂おしく燃え盛る春情をどうする事もできず悶えている灯代の状態が陣内にも痛いほど分かった。
職人意識に則って、サマナーを守るためのこの作業をやり遂げた陣内といえどやはり男である。
度々情を交わしている娘がこれほど乱れているのを見て何も感じないはずがなく、従って目の前の据え膳を頂かないはずもなかった。

「!! と、灯代……」

待ちきれないように、灯代の繊手があらぬ所に伸び、陣内の衣服の中に忍び込んでその形を確かめてくる。
いつもなら有り得ないような大胆な行動に不意を突かれ、陣内は硬直した。

「陣内様、ずるい……こんなに硬くなってるのに、自分だけ平気な顔して……」
「平気なもんかよ……」

答える陣内の口調にも余裕はなく、縺れそうになる手で衣服の帯を解いた。
夜毎の戯れでは、ゆっくり時間をかけて陣内が灯代の身体を開いていくのが常だったが、今回に限ってはこれ以上焦らされてもお互いもどかしいばかりだった。
仰向けになった陣内の腰を跨いだ灯代は、緋色に縁取られた自分の秘処を細い指で拡げ、自ら男を受け入れようとする。
溢れた蜜が指を伝うほどにそこは蕩けており、これほどなら今更慣らす必要などないだろうと陣内が思う間もなく、いつになく積極的な灯代は躊躇わず腰を落とした。
くちゅ、と濡れた粘膜が触れ合い、薄い花びらを割り開くようにに亀頭がめり込んだ。

「んあぁ……! あっ……あ……!」

自ら深々と挿入した剛直に襞々を擦り上げられ、何度も貫かれて慣れたもののはずなのに、灯代は甘い声を張り上げた。
緋の化粧に彩られてもなおあどけなさの残る顔が、官能に悩ましく歪む。
震える腰を励ましながら、何とか根元まで含んだ肉杭の力強く生々しい脈動をじかに感じ、切ない吐息を漏らす灯代を見上げ、日頃の快活な姿との差に陣内は思わず生唾を飲んだ。
胎内に収まったものを味わうように、熱い粘膜が心地よく絡み付いてくる感触が伝わってくる。
咥え込んだはいいがどうすればいいか分からず戸惑っている灯代に、抜けないようにゆっくり腰を回してみろ、と陣内は助言した。
自分では怖くてなかなか動けないようだったが、言われた通りにしてみると早くも良い所を探り当てたのか、灯代は小さく声を上げた。

「んっ……うぅんっ……」

まだ拙い腰使いで一生懸命に上り詰めようとするがなかなか難しく、少し身動きするとすぐに休んでしまう。
窮屈なせいでも痛むせいでもなく、灼けるように熱い男根が今までにないほど深く収まっているのをどうしても意識してしまい、腰が芯から蕩けてしまってあまり長くは動けないのだった。
灯代はまるで自慰に耽っているように、ほっそりした腰をうねらせ、控えめながらつんと張り詰めた乳首を自分の指先で苛める。
全身に描かれた妖しげな緋色の紋様のせいで、ただ素裸でいるよりも余程淫靡な姿だった。
この体位に徐々に慣れてきて、より強い刺激を求める灯代は、陣内の引き締まった下腹部に恥丘を擦り付けて貪るように腰を揺すり立てた。
そのあられもない眺めに、自分の方があまり保たないかも知れんと危惧した陣内は、一旦動きを止めさせようと灯代の腰に手を回した。

「きゃっ!」
「やはり、前と比べて幾らかでかくなってるな……育ったのか?」
「そ、そんな事……!」

陣内は明け透けに指摘しながら、さっきまで忙しなくぷりぷりと弾んでいた灯代の尻を、桃が熟れているか見るような手つきで撫で回す。
お尻が大きくなった事をこの方に気付かれていたと知り、灯代は恥ずかしくてならなかった。
騎乗位で自分から腰を使っているこんな状況で今更恥ずかしいもないものだが、それが女心というものなのか、陣内の掌に尻の丸みを愛でられながら灯代は俯いて耐えている。
筆で撫でられるよりも、この熱い掌にじかに触れられる方がずっと気分を昂ぶらせるようだった。

「このいい尻が俺の手でもっと育つと思うと、余計に張り合いが出るというものだ」

嬉しそうにそう言う陣内は、赤銅色の手で灯代の尻をがっしりと掴み、腰を突き上げた。
いきなり奥を突かれた灯代は、んんっと息を詰め、反射的に陣内を締め付けた。
攻勢に出た陣内にいいようにされ、灯代は睫毛に涙を滲ませていやいやをするように首を振るが、それとは裏腹に彼女の内襞は激しい突き上げをねだるように物欲しげに蠢いていた。

「あ、ああぁ! だめぇ、壊れちゃうぅっ!!」

摩擦で火が出そうなほどの熱い抽送に、灯代は身も世もなくよがりながら、惜しげもなく声を上げた。
陣内の身体の上で、全身汗にまみれて湯気を立てそうに上気した肢体が躍動する。
元々淡い灯代の恥毛は濡れて肌に貼り付き、さらに惜しげもなく溢れる蜜は繋がった陣内の下生えまで湿らせるほどだった。
柔らかくこなれていながら引き締まっている秘処は堪らない具合の良さだったが、それ以上に身も心も溶かされてここまで乱れる灯代の姿が陣内を何よりも悦ばせた。
華奢な腰を引き寄せて密着させたまま遠慮なく揺さぶると、根元まで挿さった熱の塊が中で暴れるような感覚に、緋色の紋様に覆われた背中を仰け反らせ、灯代は陣内のものでとうとう気をやった。

「んあぁぁっ!!」

陣内に下からさらに何度も揺すられ、ついに熱く滾る精が最奥に迸ったのを感じ、切なげに眉を寄せて身体を震わせる。
あまりに濃密な交合の果てに、灯代は気を失いそうになるほど消耗し、喉は渇ききっていた。
陣内は上体を起こし、綿のように力が入らなくなった灯代の肢体を支えながら、声をかけた。

「はぁ~……途中から変な事になっちまったが、何とか一仕事終えたな」
「陣内様……私、どうしようもなくなっちゃって……」
「ああ、今日のお前、凄ぇ燃えっぷりだったな……危なく俺の方が先に気をやる所だったぞ」
「い、言わないで!」

まるで力の入っていない灯代の拳を容易く受け止めた陣内は、その手で汗に湿った赤い髪を撫でてやった。

事が済んだ後、あれほど鮮やかだった緋色の紋様は灯代の身体から嘘のように消え失せ、健康的な肌の色を晒していた。
汗で流れて消えたわけではなく、これは結界が成功した証拠で、描き終えて顔料が身体に馴染むと肌の内側に浸透して消えたように見えるらしい。
後日、『天使』を迎え撃つため日生との待ち合わせ場所に到着した灯代は、彼女の傍らに召喚された捨丸を前にしても息も苦しくならず寒気も感じない事で、身体に施された結界の効果を実感した。

(早く呪いへの耐性を身に付けないと、度々こんな事されたら身が保たないわ……)

隣にいる灯代を淫靡な筆遣いで散々よがらせたなど素知らぬ顔で、陣内は日生と手筈を確認している。
そういえば日生はどうやって耐性をつけたのだろう、彼女にも自分と同じ新米の頃があったはずだから、慣れないうちは大変だっただろうな……と考える灯代は、捨丸を使役するために日生が同じ事をしているのを勝手に想像してしまい、頬を赤らめた。

(やっぱり日生さんって凄いなぁ……)

勘違いする灯代の思考を読心したのか、捨丸がケケ、と小さく骨を鳴らして笑った。

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