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奇譚小函―きたんこばこ―

R-18 二次創作テキストサイト

俺屍サマナー

IRON HEART IS UNBREAKABLE


灯代が全てを思い出した時には、もう何もかもが遅かった。
身を切られるような夜風が吹きつけるマンションの屋上で、灯代は継承刀を構え、綾人(あやと)と名乗った男を睨み付けていた。

「これはまた、勇ましい剣士様のおでましだね」

涼しげだがどこか底の知れない眼の青年は、揶揄するような薄い笑みを浮かべた。
綾人の腕には、術か薬で意識を失っているのか、ぐったりした若葉が抱えられている。
片手に携えた銀の錫杖の飾りが、風に鳴り澄んだ音を立てた。
彼が彼女を拉致しようとする寸前に駆けつけた灯代は、初めての任務の護衛対象であり、大事な親友でもある若葉を何としてでも取り返そうと剣を抜いた。

『 あなたたち、ここで何を…… 』
『 ……君は鬼首家の新米さんだね? 悪いけれど表の人間に邪魔されるわけにはいかないから、俺達の事は忘れてもらうよ 』

初対面の綾人の言葉が頭の中にフラッシュバックする。
氷魚家に近付こうとしていた彼等を目撃して、記憶を封じる術をかけられた時の事が甦った。
若葉と親しげに話す煉や綾人を見て、何かがおかしいと灯代は常に違和感を抱き続けていた。
彼等が氷魚家に関わり出してから、若葉と従兄の刃曜の仲が険悪になりつつある事も感じていた。
私はどうしてあんないい人達を信用できないと思うのだろう、と自己嫌悪さえしていたが、その直感は実際正しかったと今になって思い知らされた。

(私が……もっと早く気付いていれば!)

灯代が初めての任務で保護観察対象として若葉に出会い、同年代の少女で同じサマナーである二人が親密になるのは自然な流れだった。
それから氷魚家とヤタガラスに纏わる因縁と確執を知った後も、灯代はそれぞれの立場に葛藤しながら、せめて自分に出来るのは若葉とこれからもずっと友達でいる事だと自分自身に誓った。
それだけに、彼女をこんな目に遭わせてしまった不甲斐ない自分が悔しくてならない。

「灯代」

傍らに召喚したタタラ陣内から小さく呼びかけられ、何ですか、と視線だけで答える。
しかし灯代が絶対の信頼をおく仲魔の次の言葉は、全く予想外のものだった。

「……綾人から若葉を取り返そうとは思うな、奴との間に俺が剣の結界を展開したらすぐに退却しろ」

どうして、と聞き返そうとして陣内の顔を見た灯代は息を呑んだ。
もう寒い季節だというのに、陣内は滴るほど汗をかいており、その表情は灯代が今まで見た事もないほど強張り緊迫していた。

「分からんか……すでに若葉が奴の手に落ちたという事は、刃曜と福郎太は恐らく奴にやられたか、他にも敵がいるという事だ、確か煉と言ったか……もう片方の奴は……」

彼女をいつも守っている二人の姿が見えない時点で、陣内は相手の戦力を測っていた。
マンションの室内かどこかで他の敵に足止めされている可能性もあるが、そうだとしても彼らがここにすぐ駆けつけられるとは期待できない。
現状の把握と同時に冷酷な事実を突きつけられ、灯代は居ても立ってもいられない焦燥感に駆られた。
刃曜と福郎太は今どこにいるのか、煉の方と戦っているのか、命はあるのか探しに行って確かめたかったが、意識のない若葉を抱えた綾人を目の前にしてこの場を離脱するわけにはいかない。

「そうそう、黙ってお家に帰るのが賢いと思うよ」

どこかのサマナーみたいに怪我したくなければね、と綾人は続ける。

「捨丸の連れの、ええと何だっけ……弱い人の名前なんていちいち覚えてないけど」

綾人が口に出した仲魔の名に、灯代の表情が険しさを増した。
その狡猾で残虐な悪魔を使役するサマナーを、灯代は知っている。
彼女に相談しようと上級生のクラスを訪ねた時、先週から学校を休んでいると聞かされた事を思い出し、嫌な汗が流れた。

「ちょっと腕をへし折ってやっただけで泣き出して、ボロクズみたいになった仲魔に『助けて』って泣き喚いててさ、本当に無様な事ったらなかったね」

血の気が引くほどの怒りに、灯代の食いしばった奥歯がみしっ、と鳴った。
敗北した日生を嬲った上に嘲笑うような綾人の台詞に、忍耐力は早くも限界を迎えた。
自分の事ならともかく、尊敬する相手をここまで貶められて黙っているなど直情型の灯代にはとても出来なかった。
挑発に乗るな、と陣内が諌める間もなく、迸る怒りのままに無謀にも灯代は飛び出していた。

「お前のような奴が! 日生さんの事を口にするな!!」

剣で灯代を圧倒し、恐るべき屍鬼を従える日生を『弱い』と綾人は言った。
そんな相手に勝ち目があるのか、いや、せめて一矢報いてその隙に若葉を取り返してみせる。
持ち主の激情に応えるように継承刀が赤熱して炎を纏い、駆ける灯代の右目にも炎が宿る。
召喚主の無鉄砲さに陣内は舌打ちし、最低限の被害でこの場を切り抜けようと策を巡らせた。
奇跡的に相打ちに持ち込んだとしても、後から現れた新手の敵に傷ついた灯代がやられるのは間違いない。

(一瞬でも奴を足止めし、その間に灯代を抱えてでも逃走する)

しかし、この相手の前にはそれさえも危ういようだった。
繰り出される斬撃を、炎の術を、陣内の仕掛けた数々の罠を、綾人の細い身体は風に舞う葉のようにかわす。
左腕に若葉を抱えているため、攻撃や防御には右手だけしか使えないが、綾人が片手だけで操る錫杖は、完全に灯代の剣先を手中に収めていた。
灯代もサマナーになりたての頃とは違い、ある程度は場数を踏み、戦い慣れしているつもりだったが、綾人の前ではそれらの経験も児戯に等しかった。
踊るような足捌きからの鋭い踏み込みで灯代の手首を打ち、陣内が足元に出現させたトラバサミの鉄歯が噛み合う寸前に、半歩退くだけの最小限の動きで回避する。
技量の差もあるが、灯代と陣内の次の行動が『見えて』いるとしか思えない動作だった。
人一人を抱えてこの大立ち回りを演じながら、綾人は息も乱していなかった。

「くそ……!!」

刀こそ取り落とさなかったが、錫杖の打撃に痺れる手で灯代は無理矢理に柄を握る。
手首の骨にヒビが入っているかもしれないが、今は気にしている場合ではない。
親友を取り返さんとなおも向かってくる灯代に、綾人が前に突き出したのは、気絶したままの若葉の肢体だった。

「!!」

若葉の顔を認識した瞬間、振り下ろされた白刃は華奢な身体をセーラーごと斬り裂く紙一重で止まった。
人間の、しかも親友の身体を盾に使われる非道に、灯代の頭にかっと血が上ったが、綾人にとっても大事な獲物である氷魚の姫をみすみす殺すような真似をするわけがなかった。
例え灯代が刀を振り抜いていたとしてもその刃は若葉自身にかけた結界に阻まれ、柔肌にかすり傷も付ける事はなかっただろうが、判断力を欠いた今の灯代にはそれを見抜けるはずもない。

(若葉ちゃん! 何て事を……! どうすればいいの、私は……どうすれば!?)

助けるはずの若葉をあわや斬り殺しかけた事に灯代は動揺し、その心理の乱れは残酷なまでに剣に反映される。
一本調子な太刀筋はやすやすと読まれ、灯代がかかって行ってから今までの打ち合いの最中に、綾人は灯代を殺そうと思えば十回は殺せていた、と陣内は寒気を感じていた。

「遊びすぎだ、綾里」
「!!」
「遅いよ煉、あんな奴らに何を手間取ってたんだ」

音もなく屋上に現れた新手は、綾人の従兄の煉(れん)だった。
若葉を狙い、氷魚家に近付いたもう一人の男。
綾人一人でも持て余している上に、煉のシャツに撥ねた返り血を見て、刃曜と福郎太の敗北を悟った陣内は最悪の状況に歯を食いしばった。

「灯代、もういい! 今度こそ退くぞ!」
「駄目! 若葉ちゃんを……」
「馬鹿野郎! 死ぬ気か!?」

タタラ陣内はサマナーの援護という命令に背き、襟首を掴んで退がらせた灯代と自らの周囲に無数の剣を出現させ『結界』を作った。
空中に浮かぶ何百という剣の切っ先は全て煉と綾人に向けられ、攻撃してくればそれに反応し自動的に迎撃する剣の結界だったが、陣内はこれでとどめを刺すなど思ってはおらず、逃走の時間稼ぎのため作り出したに過ぎない。
相手も人質である若葉を傷つけてまで戦い続けたくはないはずだ、この剣の結界が突破されるまでの間に逃げ切れるか、という陣内の算段は、次の瞬間たやすく破綻した。

「な……!!」

結界の中に踏み込んだ綾人が翳した小さな石から放たれた光を浴びた途端、灯代と陣内を囲む何十何百の剣が砂のように脆く崩れていく。
たった一度だけ、主へのあらゆる攻撃を打ち消す守護の力を解放した石は綾人の手の中で砕け散った。

「もしかして、今のが切り札? 何ともチャチだね」
「綾里、氷魚の当主の確保が最優先だ、先に行ってろ」
「はいはい、……優しい俺と違って、煉が相手なら本気でこないと、君死んじゃうよ?」

剣の結界は綾人によってあっさりと消滅させられ、煉が無造作な足どりで一歩一歩近付いてくる。
遊び半分で終始笑みさえ浮かべていた綾人とは違い、煉は感情を押し殺したような硬い表情だった。
闘志をかき消すほどの殺意がゆっくりと迫ってくる、これまでにない窮地に灯代も陣内も気圧されていた。

「悪いが、君達に追って来られるわけにはいかないんだ」
「灯代! 逃げ――」

目で捉えられないほどの瞬発力で、煉は叫ぶ陣内の背後を取り、首筋にしたたかに木刀を打ち込む。
ほとんど予備動作もない一撃で仲魔を沈め、陣内に駆け寄ろうとする灯代に、返す刀で充分に『気』の乗った斬撃を見舞った。
灯代は反射的に刀で受けようとしたが、その判断は失敗だった。
得物が木刀とはいえ、持ち主の気力が込められ真剣以上の威力を帯びたその攻撃は、鍛冶神が鍛えた『紅蓮踏鞴』の刀身を容赦なく叩き折った。

「ああっ……!!」

陣内との絆の象徴である継承刀を目の前で無惨に砕かれ、灯代はこの状況が信じられなかった。
いっそ刀ではなく、自分の脳天が砕けていた方が余程ましだったかもしれない。
折れた継承刀を手にしたまま、なすすべなく倒れた拍子にむき出しのコンクリートでまともに腰を打った。
痛みよりも脳にじかに響くような衝撃に灯代の口から押し殺した呻きが漏れる。
煉の掌に不穏な輝きが集まり、至近距離でそれが放たれる瞬間にも、灯代は固まったまま動けなかった。

「……『原初の火よ来たれ、遍く全てを照らす日輪の加護以って此れを成せ』……!」

言霊と共に、燃え盛る太陽のコロナを思わせる超高熱を極限まで凝縮した光弾が炸裂し、無防備な灯代を跡形もなく粉微塵にするかと思ったが、いきなり足元から出現した鋼鉄の壁に遮られた。
それが壁ではなく後ろに人が隠れられるほどの幅を持つ巨大な剣で、タタラ陣内がこれを造り出し防壁代わりにしたと煉が気付いた時にはその大剣は灯代の身代わりになり、光弾の直撃を受けて粉々に破壊されていた。
すさまじい光と熱波と轟音に、綾人に抱えられたままの若葉が目を覚まし、今の状況に気が付いたその時。
防壁越しとはいえ衝撃の余波を受けた灯代の小柄な身体は空中に投げ出され、15階のマンションの屋上から真っ逆様に転落した。

「いやあぁぁぁ!! 灯代ちゃんっ、灯代ちゃんーーー!!」

若葉の絶叫が闇夜に響く。
煉の背後、綾人の腕から逃れようと必死にもがく若葉の姿に、灯代は落下しながらも手を伸ばそうとしたが届くはずもなかった。

暗闇の中、灯代は必死に手を伸ばしていた。
何を掴もうとしているのか自分でも分からないまま、我武者羅に手探りで何かを見つけようとしていた。
それが若葉の手であっても、折られた継承刀であっても、もう二度と離さないために。

「…………!」

額に冷たい手拭を乗せられる感触で灯代が目を覚ますと、枕元に座ったタタラ陣内は床の中のサマナーを見下ろし「……気が付いたか」と安堵のため息を漏らした。
灯代はあちこちに包帯が巻かれた身体で無理に起き上がろうとしたが、身体中の骨が軋むような鈍痛に息を詰める。
治癒術と秘伝の薬で処置したとはいえ、超高熱に晒された上に全身を強打したダメージは軽いものではないと陣内に止められた。

「まだ回復したわけではない、ゆっくり寝ていろ」

鬼首家に帰り着いた直後気を失い、血相を変えた家人に治療を受け、丸一日寝込んでいたという経緯を聞かされたが、灯代にはそれよりもずっと気がかりな事があった。

「陣内様……若葉ちゃんは……」
「……氷魚の当主の行方は分からない、刃曜は奴らから呪いを受けた上に重傷を負って今は入院している、福郎太も封印されて動けない状態だと聞いた……」
「そんな……」

自分自身よりも、親しい者が傷付く事に悲しむ性格の若葉がそれを知ったら、どれほどショックを受けるだろうか。
屋上から落下する最中に聞いた若葉の叫びが今も耳に残っているようで、灯代はやり切れなさに布団を握り締めた。

「許せない……! 絶対に許せない!!」

灯代が激怒する理由は、若葉や日生達に危害を加えたからではない。
若葉の優しさに付け込んで利用し、最悪の形で裏切ったその行為を。
戦いに敗れた日生を仲魔共々嘲り、誇りを踏み躙ったその行為を。
そして刃曜と福郎太から、何よりも大事な若葉を奪ったその行為を。
人の気持ちを平気で弄び、傷付けた彼等を、灯代は許すわけにはいかなかった。

「陣内様、剣を出してください」
「どこに行くつもりだ!」
「あの人達をぶっ飛ばして、若葉ちゃんを取り返しに行くに決まってるでしょう!」

陣内の右手が翻り、床から立ち上がろうととした灯代の頬がパシリと音高く鳴った。
平手で打たれた頬を反射的に押さえ、遅れて感じられた痺れと熱さに呆然としている灯代を陣内は一喝した。

「正義感をふりかざすのは結構だが、悔しいのがお前だけだと思うな!」
「……でも!! あんなひどい事をする奴を放っておくなんてできない!!」

納得いかず即座に反発した灯代だったが、陣内は冷徹とも言える態度を崩さない。

「俺の平手もかわせない今のお前が、そんな身体で一人で戦って自分の身さえ守れると思うのか? 敵討ちどころか今度は本当に若葉を殺す羽目になるぞ」

陣内が述べたその言葉に、綾人に盾にされた若葉に斬りかかりそうになった事が甦り、灯代は何も言えなかった。
逆立ちしても敵わないほど実力差のある相手に対して、冷静さを欠くのは自殺行為以外の何でもない、それは動かしようのない事実だった。
灯代に同じ轍を踏ませて死なせないため、陣内は心を鬼にして厳しく忠告しているのだと分かってはいても、今こうしている間に若葉がどんな目に遭っているかと思うと気が気でない。
大事な継承刀も折られてしまい、何もできない自分が情けなく、眼に涙を浮かべて俯く灯代に陣内は静かに言葉をかけた。

「一つだけ言える事は、奴らは氷魚の当主を殺すつもりはない、若葉はどこかで無事でいる」
「…………」
「まずは傷を治して気持ちを落ち着けろ、全てはそれからだ」

仲魔が寝室を出て行き、一人になった灯代は床の中で少しだけ泣き、やがて薬の効き目で再び深い眠りに落ちた。

日の暮れかかる鬼首家の縁側で、タタラ陣内は一人、昨夜の灯代の様子を思い出していた。

(……陣内、さま…… 若葉ちゃん……)
(……若葉ちゃん……手を……)
(……陣内様……ごめんなさい……刀が……ごめん……なさ……)

重傷で意識がないというのに、床の中でうなされる灯代は、何度も目の前で拉致された若葉の名を呼び続け、継承刀が折れた事を陣内に謝り続けていた。
陣内は一晩中ずっと傍についてその悲痛なうわ言を聞きながら、火傷を冷やすため手拭を取替え続け、灯代の頬を流れる涙を指で拭ったのだった。

「……灯代……」

陣内の傍らには、折れた継承刀『紅蓮踏鞴』が細長い白木の箱に収まって置かれていた。
はるか昔に自らが造り出し、その御名が付けられた刀身に、鍛冶神の手がそっと触れる。
修復する事は可能だが、それで再びあの煉という男に挑んだとしてもまた折られるのが関の山だろう。
しかし、陣内が考えているのは別の事だった。
かつて陣内は天界にいた頃、訪れる者の心に相応しい形に変化する宮殿を建造した事がある。
それと同時に、持ち主の魂に応じて形を変え、心の強さをそのまま力に変える武器を構想したのだが、神ならぬ人間の身にはとても使いこなせまいと思い、結局形にする事はなかった。
継承刀・紅蓮踏鞴を鍛え直してその力を与え、灯代の強い思いを刃に変える事が出来たなら、奴等を相手にしても勝算はあるかもしれない。
だが、今の灯代のような未熟な精神では、力を暴走させて持ち主の身を滅ぼしかねない、まさに諸刃の剣だった。
危険な手段を避けて別の戦法を練るか、灯代が自分の心を制御できる可能性に賭けるか迷う中、陣内はふと気付いた。

(……あいつが戦う理由は、いつも誰かのためだ)

いつか妖刀ごと粉々になった陣内を身を挺して助けた時も、昨夜の夢の中で若葉を必死で取り戻そうとしていた時も、そうだった。
面と向かってそれを言われれば「私が辛い思いをしたくないから、大事な人達に傷ついてほしくないだけ」と灯代自身は否定するかもしれないが、誰かを助けるために血を流し、誰かの事を思って涙を流す彼女の姿を仲魔として間近で見てきた陣内は、そんな灯代の本質を多少なりとも理解しているつもりだった。
自らの恨みを晴らすためではなく、傷ついた友のための怒りを戦う力に変えられれば、灯代は何度倒れても相手がどれほど強くても立ち向かっていける。
無謀で危なっかしく、真っ直ぐな灯代の心が試されるというなら、彼女を今まで見守ってきた自分の眼を信じようと陣内は思った。

(お前が人のために命を懸けるなら、俺はお前の心に全てを賭けよう)

そう決意する陣内の胸中では確かな希望の灯が燃えていた。
打ちのめされてなお折れない魂を、より強く研ぎ澄ますために。

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