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奇譚小函―きたんこばこ―

R-18 二次創作テキストサイト

俺屍サマナー

NYMPHET AND OBJECTS(R-18)


締め切った寝室は男女の情交の熱気で満たされ、切ない息遣いが響いていた。
部屋の明かりは点けたままで、柔らかい布団の上には、赤い短髪を乱した少女が横たわり、男の指と唇に蕩かされるがままになっている。
玉の汗が浮かぶ日焼けした肌を覆うべき服は、とっくに下着まで取り去られていたが、両脚の白靴下だけそのまま残されているのが何やら余計に淫靡だった。
小柄な肢体に覆い被さり、火照る耳朶に口付けを与えている男の趣味なのか、そんな事は今の彼女にとってどうでもいいようで、熱い愛撫を素肌に受けるたびに白靴下の爪先を布団に突っ張って堪えている。

「陣内様……もう、欲しいです……」
「……灯代」

深い藍色の眼を潤ませ、少女は誰に教わったでもない精一杯の媚態で愛しい相手を求める。
すぐに陣内がもっと熱いもので最奥まで満たしてくれると思ったが、今日ばかりは違っていた。

「――の前でも」

陣内が耳元で呟いたのは、灯代が親しくしている同じサマナーの少女の名だった。
どうして今、彼女の名前が出るのか。
蕩けた思考で不審に思ったが、次の言葉は灯代を正気づかせるに十分なものだった。

「そんなふうにおねだりしたのか? それとも、お前があいつに言わせたのか?」

睦言とは程遠い尋問するような口調に耳を疑ったが、陣内にいきなり強い力で押さえつけられ、混乱と驚愕、そして恐怖に灯代の身体が強張る。
見上げた陣内の隻眼に暗く燃えている感情に気付き、灯代は始めて目にするその険しい顔に物も言えない。
先日あの人と何をしていたか陣内様は知っていたのだと、不貞が露見した事を悟り頭が真っ白になった。
魅力的な『同性』につい入れ込みがちな灯代の悪い癖を、仲魔である陣内は前々から承知していた。
だが、先程名指しにした少女と灯代が、とても『友情』の範疇で収められない悪戯に耽っていたと知ってしまっては、さすがに平静ではいられなかった。
女同士だから浮気には入らないとか、好いた男は陣内ただ一人だからとか、理屈では分かっていても胸の奥で燻る仄暗い気持ちはいつまでも押し殺せるものではない。
自分の与り知らぬ所で悪さをしていた、可愛さ余って憎さ百倍の召喚主に『仕置き』が必要だと陣内は決意した。

「俺を差し置いて他所の娘と遊ぶような悪い灯代には、これが似合いだな」
「……っ!?」

陣内の膝の上に裸のままうつ伏せにされ首根っこを押さえつけられた灯代は、これから首を刎ねられる罪人のような絶望的な心境でいたが、先程までの前戯で濡れたままの秘処に触れられ、びくりと背中を震わせた。
灯代が必死に首をねじ向けても、あてがわれたものが何かは見えないが、慣れ親しんだ男のものでも指でもなく、何やら無機物らしいという事しか分からない。
何をされるのか不安で血の気が引いたが、『何か』を使って愛撫を始められると、灯代はまたすぐに火をつけられてしまった。
陣内は異物をすぐに突き込む事はせず、灯代の秘処にその形を覚えさせるように割れ目を往復させ、全身に蜜を塗して馴染ませる。
潤滑さを増したもので何度もなぞられては擦り上げられながら、複雑な凸凹を備えた反り返った棒状をしたその形を、灯代は目にする事無く秘処で感じるだけで知ってしまった。

「ん……くぅっ……い、いやです……ああぁ、っ」

興奮しきった蕾を弾力ある突起に嬲られながら、灯代は無意識に尻を突き出して自ら擦り付け、焦れったい快感を得ようとしている。
入念な下準備の甲斐あって、ほころびた花びらからは蜜が溢れるほどで、刺激を求めひくひくと震えていた。
良い頃合と見たのか、いよいよ陣内は灯代の秘処に面妖な道具を咥え込ませようとする。
押し当てられたものにゆっくりと力が込められるのを感じ、繊細な器官に異物を挿入される抵抗と恐怖に灯代は全身を強張らせた。

「あぁぁぁっ! だ、だめぇ……!! はいって……はいってくる……!!」

体温のない硬い先端が、ぬる、と花びらを割り開いて潜ってくる感触に、灯代は切羽詰った声を上げた。
何事にも好奇心旺盛な灯代だったが、いわゆる床で使う小道具の類の知識はなく、こういった趣向も当然未経験のため、不自然で恐ろしいものとしか思えなかった。
そんな灯代の意思とは裏腹に、十分に濡れて慣らされた秘処は押し込まれるものを抵抗なく受け入れていく。
奥まで到達すると、生き物のように身をうねらせ出し、悦ばせようとひとりでに動き始める。
食い締めた柔肉に淫具が擦れる初めての刺激に、灯代は汗に濡れた背中を仰け反らせた。

「嫌っ!! これ、嫌ぁ……陣内様のが、いいの……!!」

何度となく受け入れてきた、生きた熱い肉とは違うものだったが、胎内に食い入る異物から生み出されるものが確かに快感である事に灯代は混乱していた。
陣内との交合に比べればその振動は控えめな位だというのに、これ以上中で暴れられたら壊されてしまうと思い込んで怖くなり、紅潮した顔をしきりに左右に振りながら、色責めに屈するまいと必死に唇を噛む。

「これじゃ……いや……いやですっ……」

胎内で蠢く淫具に合わせて腰を動かしそうになり、いや、いやとうわ言のように繰り返しながら、灯代は自分の腹に当たる相手のものを求めるように身体をよじる。
まだ身に着けている下衣越しに確かに感じられる強張った熱からも、陣内が欲情しているのは明らかだった。
だが陣内は自分が快楽を得るよりも灯代への仕置きを優先させると決めているようで、その意志が揺らぐ事はなかった。

「もう咥え込んでるのに、俺のまで欲しいのか? 欲張りな奴め」
「やあぁんっ!!」

膝の上に押さえつけられたまま、お仕置きとばかりに剥き出しの尻を大きな手の平で打たれる。
陣内は十分手加減しており、戦いの負傷に比べれば痛いというほどでもないが、尻を打たれた拍子に硬い異物に奥を深く抉られ、灯代は大げさなくらいの悲鳴を上げた。
二度、三度と続けてひっ叩かれ、小気味良い高い音と共に灯代の噛み殺せなかった声が混じり、次第に啜り泣きに変わっていった。

「やめ……んっ! うぅっ、ひぐっ……あぁ! 痛……!」

思う様叩かれた形のいい桃尻はほんのりと赤い痕で染まり、その谷間の底では深々と埋められた玩具が緩く振動を続けている。
叩かれて泣きべそをかきながらも、息を荒くして尻をもじもじと揺らしている艶かしい様子から、絶頂にはほど遠いもどかしい感覚に悶えているのが、観察している陣内には手に取るように伝わってくる。
一旦抜いてやるか、と陣内の手によって、玩具が灯代の中からゆっくりと取り出される。

「ひ、ぁあ……っ!!」

粘膜の襞を複雑な凸凹に擦られ、堪らず灯代は今にも気をやりそうな甲高い声を上げた。
蜜にまみれて濡れ光る玩具を陣内は灯代に見せ付けるように、目の前に持って行った。
今し方まで自分のなかに収まっていたものを初めて目にし、灯代の蕩けた表情が怯えに一変する。

「や、やだ……こんなのが……」

男根を模して作られたそれは、灯代の知っているものと比べて明らかに違う外見をしていた。
当然ながら生きた肉ではなく、鈍い光沢を持つ金属のような質感がまず異様だった。
大きさ自体はさほどでもないが、先端から括れにかけては実際よりも太目に造形されている。
それだけではなく反り返った幹は蛇腹状になっており、裏筋に沿って根元までいくつも並ぶ小さな突起を備えていた。
こんな凶悪なもので気持ちよくなっていたとは信じられなかったが、玩具をいやらしく濡れ光らせているのはまぎれもなく灯代自身の蜜で、誤魔化しようがなかった。
陣内の方もその『成果』を確認して満足げにニヤリと笑い、口付けでもさせるように灯代の唇に作り物の亀頭を押し当てた。
濡れた感触に灯代はんんっ、と小さく声を上げ、生々しい情欲の匂いから反射的に顔をそむけようとする。

「灯代が気に入るように丹精込めて作った甲斐があったな……俺のよりもずっと悦かったんじゃあないか?」
「そんな……! 違います、私……こんな……!」
「何ならお前が女友達と『遊ぶ』時にも使えるように、もう一つ作ってやってもいいぞ?」

陣内の意地悪い台詞に、灯代は眼に涙を浮かべて真っ赤になった顔を覆った。
愛しい男への罪悪感と、友達と互いに玩具で愉しんでいる様を否応なく妄想してしまった浅ましい自分への羞恥に居たたまれなくなる。

「ごめんなさい、陣内様……もう、許して……」
「ん? 何だって?」
「私が……女の子同士で、あんな事してたの、怒ってらっしゃるんでしょう?」

灯代の発言に、陣内は少し我に返る。
もし他所の男と浮気していたなら、原因が灯代の側にあっても間男を殴りに行くような分かり易い行動に出ていただろう。
女同士の事で対処に困ったがゆえに、こんな『仕置き』に走ったのかもしれない。

「……怒っちゃいねえが、俺だってな、嫉妬ぐらいするんだ」

半分独白のように陣内は呟く。
灯代が自分では無い誰かにあられもない姿や声を晒していたと思うと、今でもやはり面白くない気持ちが湧いてくる。
しかもその相手は同じ女で、男である自分とは最初から土俵が違うだけに余計に悔しかった。

「折角こしらえたのだからな、一度これで気をやってみろ。 自分で、出来るな?」

その言葉の意味を理解し、灯代の頬はさっきまで責められていた時よりも熱くなった。
この玩具で自分自身を犯せというのだ、しかも陣内の見ている前で。
普通ならとてもそんな恥知らずな事など出来ないが、煽られるだけ煽られて中途半端に放り出された肉体の奥はいまだ刺激を求めて疼いている。
どうなってしまうのか怖くてたまらなかった。

躊躇いながら玩具を手にした灯代は、座り込んだままの格好で立てた両膝をおずおずと開いた。
「俺によく見えるように」と陣内に命じられるがままに、いまだ熱の引かない秘処を震える指先で広げ、自分の体温とぬめりが残る先端をあてがった。
慣れない感触以上に、物欲しげにひくひくと収縮する器官に陣内の食い入るような視線を感じ、「見ないで……見ないで下さい……」と繰り返し涙声で訴える。
好奇心が強く、床の中でも何でも試してみたがる灯代だが、自分から挿入するのがどうしても怖いのか、玩具に添えた手を動かせないでいる。

「見られながらは嫌か」

仕方ない、というふうに陣内は灯代の背後に回り、自分もその場に腰を下ろして後ろからすっぽりと抱き込んだ。
自分の胸板に華奢な背中を預けさせ、互いの温もりを感じる態勢で灯代を安心させようとする。

「このままでは辛いだろう? 頑張って挿れればさっきのように気持ちよくなれるぞ……?」

言葉だけは優しく耳元で囁き、脚を閉じないよう丸い膝頭に手を沿えながら、凶悪な形をした淫具の挿入を促す。
灯代は戸惑いながら、生殺しにされた身体をどうにかしたい一心で、とうとう観念して張型の頭をゆっくりと埋め出した。

「んっ……んん……ん、ふぅっ……」

蕩けた粘膜の中心へと無機物を突き立て、最も太い部分を沈めながら灯代は拡張感に息を詰まらせる。
一見金属質で硬そうな形状は、意外なほどの弾力と柔軟さで身体に馴染み、先程までと同じ充足感で灯代のなかを満たしていった。
彼女を『悦ばせるために』陣内が作っただけあって、人の身体とはまるで違うものだというのに、苦痛や違和感はなかった。
奥まではいっちゃった、とぼんやり思いながら、息をつくたびに中に収めた玩具の突起や蛇腹の細かな形状までも分かるようで、まだ動かしてもいないのにもどかしくなる。
さっきまであんなに怖かったというのに、一度は収めたもののせいか、早くも恋しくなってしまったような感覚が不思議だった。

「ふぁ……あぁ……」
「美味そうに咥え込んでるじゃねぇか……そら、動かしてみろ」

陣内に命じられるまでもなく、灯代の手は押し込まれた玩具をゆっくりと引きずり出し始めた。
たっぷりと蜜が絡んだ張型がいやらしい音をたてながら半ばまで外に露出し、その濡れ光る擬似男根を灯代は身体を震わせながらまた胎内へ収めていく。
痛くも苦しくもないが、やはり生身の肉と違う形状なだけに摩擦の刺激が強過ぎて、ずいぶん控えめな仕方であっても慣れない灯代にはこれが精一杯だった。

「あぁ……ん……やっぱり、これ、太いっ……」
「悦くないか」
「……そんな、事は……」

床の中では随分と大胆な灯代だが、今日初めて使う玩具の具合の良し悪しなど口に出せるはずがない。
とはいえ、緩やかな抽送のたびに太く張り出した雁首に蜜を掻き出される灯代の切なげな表情を見れば、悦んでいるのが陣内には一目で窺い知れた。
玩具の動きに快楽が引き出されるにつれ、理性は蕩け出し次第に羞恥心も薄れていく。
それにつれて、灯代の手つきもただ出し挿れする単調な動作から、小刻みに奥を突いて刺激したり、中を掻き回すような激しい抽送へと変わっていった。

「すごいのっ……こんな、擦れて……変になっちゃうぅ……!」

入り口から奥までの経路を連なった突起に擦り上げられる、今まで知らなかった鮮烈な刺激に、灯代は眉を寄せて泣きそうな声を上げる。
陣内の腕の中にいる事も忘れ、息を荒げて玩具での自慰に耽る姿をもし彼女の友人が見れば、どれほど驚くだろうか。
いまや灯代は無我夢中で自分自身を犯し、陣内はその痴態から目が離せないでいた。

「んっ、んっ……はぁあ……いいっ……!」
「おお、随分気に入ったみたいだな、何ならすり減るぐらいこき使ってくれていいぞ」

しかし、灯代は善がりはするものの一向に絶頂への気配を見せない。
これまで受け入れてきた血の通った肉体とは違う模造品だと無意識に感じているのか、十分過ぎるほどの快感はあっても気持ちが抵抗してなかなか気をやるまで至れないようだった。
ふと思いついて、灯代から一旦離れた陣内が彼女の前に持って来たのは、灯代が毎朝の身繕いに使う古びた鏡台だった。
熱い息を弾ませながら顔を上げた灯代の視界に飛び込んできたのは、はしたなく開いた脚の間、露わになった秘処に自ら玩具を使って悦んでいる、鏡の中の自分自身だった。

「あ、いやっ!!」

自らの浅ましい格好を直視してしまった灯代は慌てて脚を閉じ、鏡に映らない角度へ逃れようとしたが、背後から陣内に捕まえられ、両膝の裏に腕を回されて掬い上げられてしまう。
一人遊びを陣内に見られる以上に恥ずかしい状況に陥り、灯代の顔は湯気を立てんばかりに紅潮した。
隠しようも無くあからさまになった女の部分が、異様な形状の玩具に生々しく拡げられているのを目にし、灯代は反射的に顔をそむけたが、その淫靡な有様は瞼の裏に焼きついてしまった。

「あんまりいい格好だから、お前にも見せてやりたくてな」

陣内にそんな事を言われても灯代はもう物も言えず、目をきつくつぶって俯いた顔を左右に振るばかりだった。
内心の衝撃に手が止まっている灯代に発破をかけるように、陣内の指が秘処に伸びた。
玩具で塞がった箇所よりも上の、襞の合わせ目から小さく主張している、膨らんだ蕾を探り当てる。

「少し手伝ってやろう」
「んんっ……!!」

陣内の指先に蕾を軽く挟み込まれ、灯代は鼻にかかった声を漏らした。
前方に視線を向けられないまま、蕾への刺激に後押しされるように震える手で再び玩具の抽送を始める。
辱めに耐えながら灯代がここまでしているのは、やり遂げなければ陣内に許してもらえないという切迫した気持ちになおも苛まれているせいだった。

「あんっ、あっ」

合いの手を入れるように蕾を弄られ、鋭く甘い刺激が襲う。
外と内からの二重の快感に灯代はたちまち追い上げられ、恥ずかしい姿勢を強いられているにも関わらず一層燃え上がってしまう。
灯代自身の熱で温められた玩具も襞の間を行き来するたびに、蜜の潤滑で絶えず秘めやかな音を立てている。
目をつぶったままの灯代だったが、その悩ましい音にさえも官能を刺激され、怖いもの見たさと言うべきか、恐る恐る薄く目を開けてそこが今どうなっているか再び確認しようとした。

「うわ……ぁ」

健康的に張ったしなやかな腿の奥、柔らかく盛り上がった丘が真ん中で割り開かれ、地肌に張り付く淡い恥毛の下に珊瑚の色をした粘膜が透けていた。
抽送のたびに擦られて赤みを増した粘膜の花びらが歪み、まるでそれ自体が血の通わない玩具を貪欲に食んでいるように見える。
さっきは居たたまれず目を逸らしたのに、灯代は今度は目が離せなくなってしまった。
自ら夢中になって掻き回している狭い肉路の奥よりももっと深い所で、戦慄にも似たぞくりとした疼きが広がるのが分かった。
それが引き金となったように、自らを犯す玩具を包む柔肉のあわいからとろりと蜜が溢れ出る。

(私のここって、いつもこんなにいやらしくなってるの……?)

そして、この様をいつも陣内に見られているのだと想像した途端、灯代の中で躊躇いも羞恥も振り切れてしまった。
何かに取り憑かれたように、灯代は手を動かし続けてこの淫戯の終わりを目指した。
連なった突起に責められ、太い雁首に抉られ、命を持たない男根の形をしたものに容赦なく追い上げられていく。

「陣内様っ、もう私、あ……っああぁぁ……!!」

抗えない刺激が灯代の肉体の芯を貫き、溜まりに溜まった快楽が最後の一突きで弾けて全身に溢れた。
白靴下を履いたままの脚がぴんと上を向いて引き攣り、次第にゆっくりと弛緩する。
陣内の指に蕾を摘み上げられたのと、灯代自身が一際奥に突き立てたのと、どちらで果てたのか灯代自身も分からなかった。
まだ余韻にひくつく花園から、締め出されるように抜け落ちた玩具が蜜の糸を引いて灯代の足元に転がった。



後ろから背中を抱き込まれたままの格好で、灯代は陣内を受け入れていた。
両脚を広げられているのも同じだが、その中心の秘処に濡れた音を立てて出入りしているのは、今度は無機質な玩具ではなく生身の肉根だった。
血管が浮くほどに張り詰めた熱い猛りを、さも愛しそうに食い締めているのが正面の鏡に映っている。
まだ男女の事など何も知らないような灯代のあどけない顔立ちや、成長途中で青さの残る体つきに相応な小作りな器官が、深々と埋め込まれた男根の太さに拡げられているのは何とも淫猥な眺めだった。
陣内の逞しい腰に支えられて上下に揺らされ、自分の重みで貫かれながら灯代は背中を震わせる。

「あれに慣れちまったんなら、俺のじゃ物足りなくないか?」
「もう……そんな意地悪、言わないで……っ」

口ではそう言いながらも、灯代との境目が分からなくなるほど深く溶け合っている陣内には、彼女の喜悦が直に感じられた。
すっかり力が抜けて綿のようになった華奢な肢体の中で、女の部分だけは積極的に陣内に絡み付いてくる。
先程まで模造品で隅々まで捏ね回されていた襞は、とろとろになって吸い付いてくるような感触で陣内を歓迎した。
まだ生硬さを残す内側を自らの熱で溶かすのとは違う、既にじゅうぶん熱されて奥までこなれた状態を堪能するのも悪くなかった。

(そういえば、灯代は後ろからされるのも好きなんだったな)

灯代の小麦色の肌は内側から血の色を上らせ、どこもかしこも火照って汗を光らせている。
大きく開いた脚を支える陣内の掌も、内腿をつたう汗の滴に滑ってしまいそうだった。
視界の端でちらちらと白いものが揺れているのが見える。
小柄な身体がいいように揺すられるのにつれて、陣内の腕に抱え上げられた腿の先、白靴下の足も頼りなく揺れているのだった。
相手と抱き合う事も自ら求める事もできない体位で、陣内に一方的に貪られながら同時に与えられるままになり、その全てを灯代は受け入れるしか出来ない。
それも結合部を鏡で見せ付けられるのだから堪らず、視覚までもが灯代を責め苛み、煽り立てていた。

「あぁっ!」

いきなり深く突き上げられて、灯代の細い腰が上下に弾み、甲高い声と共に顎が上がる。
深い位置で留まったままの太い先端に繰り返し奥を抉られ、灯代は意志と関係なく痙攣する腰をよじって逃れようとしたが、陣内は許さなかった。

「陣内様ぁ……! そんなにしちゃ、だめです……また、私だけ……!」
「お前だけ?」
「私だけ……また、いっちゃう……一緒が、いいの……」

自分だけ上り詰めさせられるのを恐れ、悶えながらも灯代はいじらしく懇願する。
短い髪から露出したうなじを嬲る熱く荒い息に加え、突き込まれる器官がこれ以上ないほど硬く怒張しているのが分かるだけに、陣内にも思う様吐き出して満足して欲しかった。

「じゃあ、これで仲直りという事にするか」

灯代の耳朶に吹き込まれる吐息にかすかに笑ったような気配が混じり、陣内が一層激しく動き出す。
けなげに絡み付いてくる柔襞の心地よい抵抗を愉しみながら、力強く上下に擦り立てると密着した灯代の肢体がびくりと跳ねた。
甘く上擦った声で啼く灯代の表情が正面の鏡で分かり、終わりが近いと訴えるそれは陣内がよく知ったものだったが、繋がったところも気をやる寸前の反応を示しているのは鏡で見るまでもなかった。

「…………っ!!」

それこそ剣で刺し貫かれたように身体を硬直させ喘ぐ灯代の唇から、もう声らしい声は出てこなかった。
玩具には望むべくもない反応をねだるように、幹の半ばまでを本能だけで絞り上げる。
その一瞬後、密着した粘膜に前触れの脈動を感じるや否や、勢い良く叩きつけられる熱い吐精に最奥を染められた。
胎の中を強く穿っていた肉根が望みを遂げ、やがて硬さが失われても、灯代は後ろから抱きすくめられたまま息もできずに震えていた。

いつもなら床を共にした後も睦言を交わす位の余裕はあるのだが、今日ばかりは精根尽き果てて繋がったまま眠り込んでしまった灯代を起こさないよう、陣内は後始末を済ませた。
先程までの乱れようが嘘のように、枕に顔を埋めて小さな寝息を立てている灯代の頬を指先で突付く。

「女同士でどうこうするのをやめろ、とまでは言わんがな……誰がお前の一番か忘れないでいりゃ、それでいいんだ」

俺も甘いな、と陣内は一人苦笑する。
それはそうとして、もし灯代が今回仕置きに使った小道具に味をしめて、こっそり持ち出して同性を相手に愉しむような事があったらそれをネタにしてまた苛めてやろうか、とあまり褒められたものではない企みを練る陣内であった。

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